『聖なる犯罪者』低温の緊張感

■ Watching:『聖なる犯罪者』

ポーランド映画、かつ『パラサイト 半地下の家族』とともに第92回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされた作品とのことで、ぜひ観ておきたいと思い鑑賞。

罪を犯して少年院に収容されていた主人公のダニエルは、そこで信仰に目覚める。聖職者になりたいと夢見ているが、前科者は聖職者にはなれない。しかし仮釈放中にひょんなことから新任の司祭であると勘違いされ、そのまま司祭に成りすますが…という話。

主人公・ダニエルを演じるバルトシュ・ビィエレニアがとにかくヤバかった。

ダニエルは陰鬱で不健康で危うくて、その心の内を窺い知るのが難しそうである。し、できればあまり関わり合いになりたくないような不穏さがある。しかしそのイメージは、叶わぬはずであった夢を叶えた瞬間に一変した。それまで冷たく生気のないように見えていたダニエルが、急に神々しく見えるようになった。緑の法衣を身に纏ったというだけで、表情も口調も大きくは変わっていないのに。これには本当に驚かされた。

全編を通して奇妙な緊張感に包まれている反面、ずっと低温のままで進行していく。そんなところもダニエルの物語らしいと思った。

ところで司祭ダニエルは破天荒な司祭として描かれているという理解で良いのか?キリスト教についての知識がほとんどなくて残念。映画で観る聖職者や彼らが執り行うミサは明らかにどうかしちゃってるものも多くて、普通がどうなのかあまり分かんないんだよな〜

(2021.04.17)

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