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#読書感想文

第37号 2022.02.18

■ 摂取エンタメ記録Reading:『文藝 2022年春季号』- はらだ有彩「山姥がハハハと笑うとき」はらだ有彩さんの著作「山姥がハハハと笑うとき」は、物語における母親の役割の「固定」についての論考だ。多くの物語によって形作られた「いくつかの母親像が溶けあった巨大な塊」を、四象限に切り分けている。

x軸は母の「強弱」、y軸は母の「善悪」。第一象限から第四象限までの概要は下記の通り。

第一象限:

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第35号 2022.02.15

■ 摂取エンタメ記録Reading:『文藝 2022年春季号』- ダンティール・W・モニーズ 岸本佐知子 訳 「敵の心臓」痛快だった。

この母は娘を守るためにどんなことをするのか(または何もしないのか)。それはおおかた娘の目から見たらみっともなくて滑稽で憎い足掻きに違いない。そう思いながら読んでいた。

完全に裏切られた。読み終わった今はもうタイトルを見ただけでゾクゾクする。

初めは状況が掴め

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第28号 2022.02.02

■ 摂取エンタメ記録Reading:『文藝 2022年春季号』- 児玉雨子「じゃあ何から産まれたかったの?」頭も心もグチャグチャに掻き乱されるような感覚。境目の曖昧さ。異常さを異常さと捉えられない閉じた世界。ぐらぐらした。怖かった。美苗は、ママは、優羽花は、どこへ向かうんだろう。作為的な楽園はどこに行きつくのだろう。

Listening:『アフター6ジャンクション』- 特集:SFドラマの金字塔!

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第26号 2022.01.31

■ 摂取エンタメ記録Reading:『文藝 2022年春季号』- 金原ひとみ「愛を知らない聖者ども」『蛇にピアス』が芥川賞を受賞したとき、私は小学生だった。それを読んだ時期を正確には思い出せないけれど、成人する前であったことは確かだ。金原さんが『蛇にピアス』を書いた年齢を超えた今読んだら、昔とは違う感想を抱きそうだなと思う。とはいえ昔読んだ時の感想はどこにも残っていないのだけど。

「愛を知らない

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第20号 2022.01.24

■ 摂取エンタメ記録Reading:『文藝 2022年春季号』- イ・スヒョン すんみ 訳「韓国SFと世界SFのフェミニズム」SFはフェミニズムとの親和性が高いということ、考えたことがなかったけれど、異なる世界を作り出すことがSFの特技であり本質だと考えるとなるほど納得できる。



読んでいて気になったのは、「冒険に出かける女性」の章。

強い女性-戦士もこの分野における主なテーマのひとつだ。

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