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強い陽射しの元では、影もまた濃くなる。

いつかケープタウンに行ってみたいとずっと思っていた。

そう思うようになった元々のきっかけは南アフリカ発端ではなく、アフリカの中でも最貧国のひとつと言われるコンゴで実際に存在するサプール(SAPEUR)を取り上げた写真集に出会ってから。
それから緩やかにアフリカのひとたちやその独自の文化に興味を持つようになった。

サプール(SAPEUR)とは。
高級ブランド品を全身で3色以内にまとめてコーディネートした「サップ」と呼ばれるファッションで、街を闊歩する男たちのこと。彼らが身にまとうファッションには現地でおよそ1ヶ月分の給料がつぎ込まれているが、この特殊な行為にはコンゴがさまざまな悲しい歴史を経験したうえで平和を渇望する「服が汚れるから戦争はしない」という力強いメッセージが込められている。

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サプールに魅せられたのち、アフリカについていろいろ調べている中で見つけた南アフリカ・ケープタウンの街並みの美しさに圧倒された。

いつかここに行きたい。
ここで写真を撮りたい。

本気でそう思っていた。


が、
昨日たまたま「ケープタウン」(2013)という映画を観てしまい、なかなかの衝撃にまだその心の傷が癒えていない。

https://filmarks.com/movies/58302

ケープタウンの美しい街並みは、本作ではほとんど出てこない。
表現し難いほど残忍な暴力・殺人・人種差別、薬物でボロボロにされていく子ども、いつでもどこでも酒しか飲まないオーランド・ブルーム(※刑事役)のムキムキの肉体と、「ポロリもあるよ」どころの騒ぎではない女の裸。。。

わたしが憧れた美しい街並みのケープタウンは、この映画ではカケラも描かれていなかった。


わたしが見ていたのは、あくまでもこの国、この地域の「陽の当たる場所」でしかなかったのだ。

強い陽射しの元では、影もまた濃くなる。
暗い暗い影のほうをスタンダードに生きているひとも、確かに存在するのだ。

感受性強めのわたしは、あまりに残忍だったり悲惨な描写を目にするとしばらく本当に落ち込む。

「だったら見なければいい」のだろうけれど、
わたしは物事の一部の側面だけを見てすべてを決めつけることはなるべくしたくないと思っている。

だから今回この映画を観たことに後悔はないし(※食事しながら観るべきでなかったという点においては少しだけ後悔した)、

そういう「影」の側面があることも知ったうえで、
もちろんそういう側面だけがこの国のすべてではないだろうとも思っている。
(結局実際に行ってみないと本当のところは分からないだろうし、たぶん観光レベルで行ってみたところですべてが分かることもないとは思う)

たぶん、すべてのことにおいて
同じことが言えるんだろうな。

一部だけを見て物事を決めつけたくないし、わたし自身も決めつけられたくない。

全体を俯瞰して、わたしはどう思うか。
どんな事実や経緯や歴史があって、いろんな価値観や考え方があると知ったうえで、わたしはどう感じるか。

それを大事に生きることはたぶん多少の苦痛や遠回りを伴うこともあるだろうけれど。

これからもこの価値観は大事にしたいな。
と思った今日。

でもわたしの心のために、しばらくショックなものは観ないでおこうっと。

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