川端康成作「ざくろ」の続きを考えてみた
「ざくろ」は川端康成の「手のひらの小説」の中に収められた珠玉の短編として知られた一作です。川端康成と言えば「雪国」が有名で、ノーベル文学賞を受賞された日本文学界の巨匠と言われる方です。残念ながら近年では読まれる機会もめっきりと減ったようですが、今でも時々国語の試験問題に採用されたりもしています。
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/207010.pdf
↑青空文庫では見つからず、広島県のH28年公立高校入試問題に「ざくろ」が全文掲載されていました。概要は↓です。
今回はこの話を、僭越ながら続きを考えるシリーズでいかせて頂きます。現代に沿った世界観を取り戻せたなら、このおフザケも川端先生に喜んで頂けるかも、です。
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拝啓 静江様
先日は結構な贈り物をお送り頂きありがとうございました。こちらは平和と戦時の合間のような、忙しない日々を生きています。私は昨日ようやく柘榴の実が熟しているのに気付いたくらいです。そちらの秋はいかがですか。
それにね、静江さん、昨日啓吉さんが家に来てくれたの。短い時間だったけど、最後に会えて良かった。でも実はね、静江さん。啓吉さん、実は内緒で会いに来てくれてたんだ。お寺のお堂で待ち合わせて、話している内に胸が苦しくなって。どうしたって啓吉さんに言われて、苦しいのって言ったら強く抱きしめてくれた。頭の中が白くなって、痛かったのとお腹が熱くて、啓吉さんが何度も抱きしめるから二人とも汗だくで。でも母さんにもまだ何も言えてないから、だから内緒にしていてね。お願いです。
きっと柘榴は私と啓吉さんの想いを紡いでくれたんだと思います。悲しくて寂しい世の中だけど、でも私たちは命を繋いでいくって。言葉にはできなかったけど、二人でそう思っていた。父が亡くなって6年経つけど、母は相変わらず父を思って生きていて、私も同じなんだなって、そう思っています。
静江さんもお元気で。焼夷弾が落ちてこなくなって、静かに暮らせるようになったらまたお会いしたいです。一緒に柘榴の実を頬張って、秋の陽を味わって、秘密のお話をしたいです。
秋の佳き日に きみ子
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