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人生に焼かれつつパルプを書き続ける

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    最近の記事

    死道53号線

     死道53号線。首都「東京」まで1週間の地点。  月明かりの中、坂巻鉄男は使い古したクロスカントリー車を必死に走らせていた。  バックミラーの向こうには、馬上でドレッドヘアーをなびかせるミイラのように痩せ細った異形の男。  「死道」を行く旅人を襲う、彼方からの妖魔の一匹。  愛知地区第三インターから死道へ出て数分後、妖魔は禍々しく響く蹄鉄の音と共にどこからともなく現れ、鉄男の車を追い始めたのだ。  エンジンが悲鳴のような唸りを上げる。  車の速度は、限界に達しようとして

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      • 俺は如何にしてマッド・ジョーンズから生還したか

         椅子に縛りつけられた手足、こめかみに突きつけられた拳銃。  絶体絶命だ。  しかし、そんなことは屁でもない。  なにしろ、とびきりのブロンド女が、俺の前にひざまずいて、ムスコをくわえ込んでいるんだ。  その快感ときたら!  掃除機……いや、もっと優しくて……とにかく、たまらない。  射精すれば、銃の引き金が引かれて俺は死ぬ。  しかし……それもいいんじゃないか?  クソみたいな人生の幕引きとしちゃ、これは最高の1つかもしれない。  どうせ、俺が死んでも悲しむ奴は1人も居

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        • 地獄まで1週間

           頭痛。  そして覚醒。  俺は、ふらつきながら立ち上がった。  体の奥底に残る、鈍い怒り。  辺りを見回す。  廃倉庫らしき建物の中にいる。  右手には、大量の武器が掛けられたボード。  拳銃、ナイフ、SMG、ライフル。  およそ考え得る限りの武器が並んでいる。  そして、目の前には縛られ、ズダ袋をかぶせられた男が転がっていた。  ズダ袋の中からは、くぐもった声が漏れている。  俺は自分の右手が小さな紙片を握っている事に気付いた。  紙には、こう書かれていた。

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          • アンダーグラウンド・デーモン

             苦痛と怒りが俺を苛む。  忌々しい炎が体を駆け巡り、俺を駆り立てる。  ニューヨーク地下にある石造りの遺跡。  俺は、炎の剣に導かれるまま、奥へと向かう。  暗がりから、恐怖と憎悪に満ちた、いくつもの唸りが聞こえる。  グール。あるいは屍肉喰らい。  デーモンに使える惨めな奴隷たち。  「罪深きもの」の存在を感じ、剣が、その炎を強める。  俺を苛む苦痛も増し、魂を焼き焦がす。  俺は、苦悶と憎悪の叫びを上げる。  それに答えるように、闇の中からグールの大群が一斉に

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            • 俺は如何にしてマッド・ジョーンズから生還したか

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              1年前
              • 地獄まで1週間

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                • アンダーグラウンド・デーモン

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                  1年前
                  • 鉄拳ニックと鳥人軍団

                     俺の体は鋼鉄製。だから、大抵のことは平気だ。  撃たれても切られても、猫に引っかかれたようなもんだ。  今まで散々撃たれたり切られたりした俺が言うんだから間違いない。  それでも、高度3,000mから落っこちるっていうのは、何度やっても慣れないな。  そんなことを考えながら、俺はクレーター状にへこんだ落下地点から起き上がった。  周囲は草木一つない荒野。  殺風景だが、溶岩の沼に落ちたりするよりはマシか。  ここは、モザイクゾーンなんだ。  「何もない」っていうのは何

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                    • プレゼント・フロム・エリア51

                      「これが例のブツだ」 「これが、ねえ…」  俺は、「例のブツ」を胡散臭げに眺めた。 「何だよ、信じられないって言うのかよ」  笹島は、不満そうに言った。 「いやあ、だってさあ、これ…」  俺は、同級生の笹島仁の部屋で、奇怪な物体を見せられていた。  全体的には、銅色をした一片が30㎝ほどの金属製の立方体だ。  俺から見て、正面に当たる部分には、大きな丸いレンズが1つ据え付けられている。  そして、頭の上からは、3本のコイルが、角のように突き出ていた。  さらに、立方

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                      • 忘死郎冥府下り

                         冥府の空の色は、薄墨に血をぶちまけた色だった。  赤子の声が響く風の中、俺は亡者を袈裟懸けに斬り伏せた。 「鎮守裏の池に気を付けろとあれほど…」  痩せこけた亡者は現れた時と同じく、意味の無いことを呟きながら二つ別れになって地面に崩れ落ちた。  俺は刀を収め、砂利石に覆われた冥府の道を再び歩き出す。  ひねこびた木の上で、骨だけのカラスが断末魔の声で鳴いた。  そして、乾いた笑い声と共に飛び去って行った。 「忘死郎、忘死郎」  陰鬱な声が耳元でした。  墓場百足

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                        • 神々の賭博場(9)

                           私は時空遮断カプセルに入れられ、超空間の中をダルマー海賊艦隊へ向けて一直線に射出されていった。  名も知れぬ場所の過去、現在、未来が周囲を通り過ぎて行く。  視界の片隅には、ヒースー・ヤの資産価値を表す折れ線グラフが表示されている。  グラフの下部に引かれた赤い線、それが「銀行」によって定められた取引限界額だった。  資産価値が、線を下回った時、いかなる神であろうとも、「休息場」に滞在することは許されない。  それが私にとってのタイムリミットだった。  結局、ナルニサ

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                          • 神々の賭博場(8)

                             270度ねじ曲げられたヘルメスの頭部と、目が合った。  ヘルメスの口が動いた。  「よお」と言ったらしかった。  拘束具が、キリキリと音を立てて動いた。  ヘルメスの四肢がマリオネットのように動き、別の角度にねじ曲げられる。  ヘルメスの目が大きく開き、口が声にならない悲鳴を上げた。  苦痛に慣らさないよう、常に新しい苦痛を与える仕組みになっているらしかった。 「彼の胃の中には、惑星ダガ産の多頭蛇が、生きたまま1,000匹収められていた。知っているかね?あらゆる金属を喰

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                            • 神々の賭博場(7)

                               ナルニサスはデスクの向こうから、私をそれとなく観察しているようだったが、やがて「ふむ」と一声つぶやくと立ち上がり、応接セットへと向かった。 「どうぞ、君も掛けたまえ」  そう言って、ナルニサスは革張りらしきソファに深々と腰を下ろした。  特に断る理由もない。私は警戒を怠らずにゆっくりと反対側に腰を下ろした。 「葉巻はどうだね」  ナルニサスがテーブルの上にあった葉巻ケースを差し出していった。 「いや、結構」  ナルニサスは「そうか」と言って、また再び私を観察し始めた。

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                              • 神々の賭博場(6)

                                 まず気付いたのは目の前にある半透明の何かだった。  その向こうには、おぼろな人影がいくつか、せわしなく動いていた。  かろうじて首を動かすと、ガラス製の鉢を逆さにしたような何かが頭の周囲を覆っているのが分かった。典型的な精神探査装置の端末のようだった。  手足を動かす事はできなかった。椅子のような物に座らされ、拘束されているらしい。 「なかなか抵抗するな。出力を上げるか」  誰かが言った。  次の瞬間、コズミックヘルムが警報を発した。強力な精神探査の網が、私の脳をかき回

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                                • 神々の賭博場(5)

                                   あたり一面が闇だった。  私は、その中で必死に前へ進もうとする。  しかし、周囲の闇はコールタールのようにまとわりつき、私を進ませまいとする。  一筋の光もない中でもがき、あがいて、永遠の時間が過ぎていくかのようだった。  一つの顔が浮かび上がる。  ハリスン、スペースレンジャー隊の伊達男。  若く自信にあふれ、無鉄砲と機知の危ういバランスの中で、何度も隊の危機を救った。  若く無軌道な神々によって、自分たちを除く人類が絶滅したことを知ったとき、我々レンジャー隊員は復讐

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                                  • 神々の賭博場(4)

                                     幾重にも重なった贅肉のひだに付いた短い手足と不格好な頭、、それがヒースー・ヤの見た目だ。  今、ヒースー・ヤは、醜く肥満した体を前後に揺らしながらゲームに没頭していた。  常に変化し続ける盤の上を骰子が転がるたびにどんよりと濁った目が左右に動き、だらしない口がつり上がる。  驚いたことに、醜悪の極みのような奴にも、それなりに崇拝者がいるらしかった。  「ヒースー・ヤ、ヒースー・ヤ、おお、ヒースー・ヤ」  怠惰の神の肉ひだの隙間に、ぽつぽつとニキビのように、様々な種族の

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                                    • カラテ・アゲインスト・ライスケーキ

                                       眠ること無き貪婪の都ネオサイタマ。  二人のサラリマンがトボトボと家路についていた。  周囲には、廃ビルがならび、人通りも少ない。  わびしい光景だった。 「いよいよ、明日ですね。ヤワサキ=サン」  サラリマンの一人、ユラギが、もう一人に声をかけた。 「ええ、明日ですね」  ヤワサキが、答えた。 「いっぱい頑張ったんです。きっと大丈夫ですよ」 「‥‥そうですよね」  ヤワサキの答えは、どこか力無い。 「ダイジョブ、ゼッタイ割れますよ、オモチ」  力強いユラギの言葉にも、ど

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                                      • 神々の賭博場(3)

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                                        • 神々の賭博場(2)

                                          「相変わらずの酒浸りか」  私はフライヤーを飛ばしながら言った。 「そう言うあんたは、相変わらずバケツをかぶっている」  ヘルメスは私のコズミックヘルムを「バケツ」と呼ぶ。遠目から見れば、確かに銀色の円筒形のバケツか何かに見える。  しかし、近くで見れば、両目と口元に開いた穴、そして、表面に薄く刻まれた幾何学的な量子回路が見て取れるだろう。 「まったく、今に始まったことじゃないけどさ、こんな所に来てまでその恰好はどうなんだ」  ヘルメスは酒で赤くなった顔を、大げさにしかめて見

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