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プレゼント・フロム・エリア51

「これが例のブツだ」
「これが、ねえ…」

 俺は、「例のブツ」を胡散臭げに眺めた。

「何だよ、信じられないって言うのかよ」
 笹島は、不満そうに言った。

「いやあ、だってさあ、これ…」

 俺は、同級生の笹島仁の部屋で、奇怪な物体を見せられていた。

 全体的には、銅色をした一片が30㎝ほどの金属製の立方体だ。
 俺から見て、正面に当たる部分には、大きな丸いレンズが1つ据え付けられている。
 そして、頭の上からは、3本のコイルが、角のように突き出ていた。
 さらに、立方体の頭の後ろ半分から後頭部に掛けて、真っ黒い長い毛のような物が、びっしりと生えているのだ。

 一見したところ、金属製の鬼と言った感じだ。
 正直、どっかの美大生が作った前衛芸術か何かにしか見えない。

「こんな物が、エリア51からの流出品か?」
「トムは、そう言ってたぞ」
「トムって誰だよ」
「このブツの出品者」
「…やっぱり、怪しい。お前、だまされたんじゃないのか?」
「いや、それは無いね。見た瞬間分かった。本物だって」
「まあ…お前のカンは、多少信頼してるけどさ。そもそも、トムは、これをどうやって手に入れたんだよ」
「言えないって。言うと身の危険があるんだって」
「いよいよ、怪しくなってきたな。だいたいさ、今どきエリア51って何だよ。今、何年だ?」
「2019年。それがどうした。エリア51は、現在でもUFOと宇宙人のホットスポットなんだぞ!」
「俺は、普通の警戒強めな軍事基地だって聞いたけどねえ」
「真実ってのはな、常に隠されてるものなんだよ」
「それが、これか?」
「それを、これから調べるんじゃないか」
 そう言って、笹島はパソコンの電源を入れた。

「実はな、お前が来る前に、少し調べたんだよ」

 笹島は、物体の髪の毛を掻き分けた。
 すると、絡まり合った髪の毛の奥、ちょうど後頭部に当たる部分に、USBの差込み口にしか見えない穴が1つ、口を開けていた。

【続く】

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