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【第29回】【論文賞受賞論文】津波避難経路設定の選択肢としての地区防災計画における災害時要援護者支援手法の類型

質問 2021年度地区防災計画学会賞(論文賞)について教えてください。

概要 

 ①受賞論文「津波避難経路設定の選択肢としての地区防災計画における災害時要援護者支援手法の類型」
 ②著者は、大津暢人(消防庁主任研究官)及び北後明彦(神戸大学教授)
 ③地区防災計画学会第8回大会(オンライン開催)で表彰
 ④論文目次

解説

①受賞論文「津波避難経路設定の選択肢としての地区防災計画における災害時要援護者支援手法の類型」

 地区防災計画学会では、2014年度から毎年、地区防災計画に関する優れた論文の著者及び地区防災計画学会の発展に寄与した功労者に対して、地区防災計画学会賞を贈っています。
 当該学会賞には、論文賞、奨励賞及び功労賞の3種類があります。本日紹介するのは、2021年度の地区防災計画学会賞のうち、2021年度の論文賞の受賞論文です。

 受賞論文の題名は、「津波避難経路設定の選択肢としての地区防災計画における災害時要援護者支援手法の類型」で、2021年8月に発刊された『地区防災計画学会誌』第21号に掲載されました。

②著者は、大津暢人(消防庁主任研究官)及び北後明彦(神戸大学教授)

 本論文の著者は、消防庁消防研究センター主任研究官で神戸大学客員准教授でもある大津暢人氏と神戸大学都市安全研究センター教授の北後明彦氏です。
 本研究では、複数のコミュニティにおける災害事例及び訓練事例を基に、支援者が災害時要援護者を避難支援する際にとる経路の平面移動の避難支援手法を類型化することを試みています。
 そして、コミュニティや住民にとっての最適な避難類型を地区防災計画作成時の選択肢として提供することを目的として、実災害や訓練における避難行動16事例の平面移動について図示を行いました。
 その上で、対象事例を単独避難型、経由避難型、集合避難型の3類型に分類しました。
 コミュニティにおける地区防災計画内の避難計画を作成する際に津波避難経路を設定する場合は、この結果を踏まえて適切な類型による避難手法を選択することで、津波災害での人的被害の軽減を図ることが可能になります。

③地区防災計画学会第8回大会(オンライン開催)で表彰

 本論文については、2022年3月5日(土)の地区防災計画学会第8回大会(オンライン開催)で表彰予定であるほか、『地区防災計画学会誌』第23号(3月5日発行)に受賞者コメントが掲載される予定です。
 なお、本論文は、援護する者、援護される者、搬送機材を空間的関係の中で調査分析した研究であり、地区やコミュニティレベルの防災について、地区の人的資源や空間条件を一般化した重要な研究であるといえます。

④論文目次

1 はじめに
 1.1 背景と目的
 1.2 先行研究
 1.3 本研究の新規性および目的
2 方法
3 結果
 3.1 類型
 (1)A単独避難型
 (2)B経由避難型
 (3)C 集合避難型
 3.2 各事例の避難経路上の距離
 3.3 逆行(支援のための避難場所とは反対方向への移動)
4 考察
 4.1 避難経路の距離
 4.2 既往の類型との対応
 4.3 類型A、BおよびCの長所と短所
 4.4 類型A、BおよびCが適用可能な条件
5 まとめ
 5.1 本研究のまとめ
 5.2 今後の課題

参考

 地区防災計画学会の関係者による地区防災計画学の最新テキストがまもなく発売されます。多くの地区防災計画づくりの実例が、大学教員等によって紹介されています。
   室﨑益輝矢守克也西澤雅道金思穎 編著
 『地区防災計画学の基礎と実践』弘文堂(2022年3月7日発売)


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