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#04 地方で心理的安全性を作るには②

 #03地方で心理的安全性を作るには①では恐れのない組織から心理的安全性をつくるには、「土台をつくる」「参加を求める」「生産的に対応する」ことが重要だという話をしました。しかしこれらは、組織的な変革が必要です。

「明日から心理的安全性の高い土台をつくります!!!」や
「積極的に参加してね!!!」とか
「失敗は宝だー!!!」など

と宣言してできるようなものではありません。
しかし、僕たちは心理的安全性が高いチームの方が生産的で効果的であることを知ってしまっています。どうすれば心理的安全性を高くできるのでしょうか?

心理的安全性のつくりかた

 「心理的安全性のつくりかた」(石井遼介著)では、より具体的な行動としてチームに変革を起こす方法が説明されています。

 心理的安全性の変革には3段階あるそうです。それぞれ、変化を起こしやすい順に、
①行動・スキル
  一人一人が行動をとるかどうか。
②関係性・カルチャー
  チームとしての習慣・行動パターン
③構造・環境
  会社や事業・ビジネスの仕組み自体に起因する構造・環境要因

 心理的安全性をつくっている構造や環境(土台)は非常に重要ですが、ここから変化を起こすことは難しそうです。まず、一人ひとりの行動に変化を促し、関係性やカルチャーを変え、構造や環境を作っていく必要があります。

 本書では、関係性やカルチャーを変える方法として、自分自身とチームメンバーの行動を変える「行動分析」というスキルを提唱しています。

「きっかけ」→「行動」→「みかえり」フレームワーク

 このフレームワークは本書で初めて知りましたが、習慣化でよく使われるif-thenルールに似ています。
 if-thenルールは、「もし、〇〇した時、〇〇する」といったルールを事前に決めておく方法です。
  例えば、
  読書時間をなかなか作れないと悩んでいる時に、
  「もし、ゲームをしたくなった時、5分だけ読書をする」
  痩せなたいのに、どうしてもおやつを食べてしまう時に、
  「もし、おやつを食べたくなった時、スクワットをする。」
この時、「〇〇しない」ではなく「〇〇する」というルールを作ることが重要です。

 if-thenルールで言う「もし、〇〇した時」が「きっかけ」で「〇〇する」が「行動」です。個人の場合は良い効果が得られれば、この方法を続けるだけですが、僕たちが求めているのはチームの変革です。
 つまりチームを変革するとき、「きっかけ」と「行動」を変えたことによる「みかえり」が良いか悪いかを検証する必要があります。

 エイミー・C・エドモンドソンは2015年フォルクスワーゲンの起こした「ディーゼルゲート事件」(ディーゼルエンジンの排出規制不正)について、厳しい基準が原因の一つであったと述べています。当時のフォルクスワーゲンのカルチャーを表す内容として、フォルクスワーゲンの元会長、CEO、筆頭株主であるフェルディナント・ピエフが行っていた心理的に安全でない環境を作って社員をやる気にさせようする方法を紹介している。

コツを教えよう。私は車体設計エンジニア、スタンピング担当者、製造担当者、エグゼクティブの全員を会議室に集めた。そしてこう言った。「このボディはどこもかしこもみっともなくて、うんざりだ。六週間で世界トップレベルのボディを完成させろ。誰が何の担当かは、すべてわかっている。六週間で完成できなかったら、全員クビだからな。異常だ」

恐れのない組織

 結果としてフォルクスワーゲンは不正を行いました。
 極端な例ですが「みかえり」を考える重要性が分かるのではないでしょうか?

この例を「きっかけ」→「行動」→「みかえり」フレームワークで考えてみると、

きっかけ:上司から不可能に近い厳しい基準を求められる。
行動:基準を越えられなかったことを報告せず不正を行う。
みかえり:上司が上機嫌になる。

 結果として不正は上司に報告されることなく第三者機関により不正が発覚しました。

本書では、より具体的な「きっかけ」→「行動」→「みかえり」フレームワークの内容と、よい行動に繋がる「きっかけ」や「みかえり」を言葉で変えていく方法なども記載されています。

当記事をきっかけにぜひご一読していただきたい良書です。