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アート・小説エッセイ

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小説、映画、アートにまつわるエッセイ。
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物語の功罪−−物語ですくわれるもの、物語でうしなわれるものと『この世界の片隅に』

物語の功罪−−物語ですくわれるもの、物語でうしなわれるものと『この世界の片隅に』

今夜のテーマは、物語の功罪について。

功罪っていうとなんだかカタイですね。私は物語が好きで、このブログでも物語そのものについて書いたりしています。人は物語のなかでしか生きられないんだなあとも思っています。

自分のアイデンティティとか、人生の意味とか、国の歴史とか、全部物語の構造で成り立っている。

というと話がずれてしまうかもですが、物語、いわゆるフィクションってなんで存在しているんだろうと、

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どこまでも厳しく、それでいて優しい映画、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』

どこまでも厳しく、それでいて優しい映画、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』

高校2年生のころ、シカゴに引っ越しました。そのころといえば、友だちといるのが最も楽しい時期。

別れが名残惜しくて、別れをするのに必死で、シカゴでの先の生活なんて、考える余裕がありませんでした。

シカゴ行きの飛行機に乗って初めて、「で、シカゴってアメリカのどこらへんにあるんだっけ?」という思考にたどり着くものの、携帯は使えない機内、ガイドブックも持っていない私。

画面に映る「あと何マイルです」

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