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GLOBISエンジニアマネジャー座談会  CTO/VPoE/CPO各領域の進み方と関心 後編 #キャリア

エンジニアの転職は?

元スタートアップ代表の染谷洋平さん、メディア企業CTOだった岡本浩治さん、生物医学工学研究室出身でブログサービス会社の立ち上げにかかわった大沼和也さん。さまざまな経歴の3人が考えるこれからのエンジニアのキャリアとは。

――後編はエンジニアのキャリアに焦点を移したいと思います。たとえば、若手エンジニアに「転職したいんだけど」と相談されたらなんて答えますか?

岡本:「次の仕事がやりたくて転職するのか、今の仕事がやりたくないから転職するのか、よく考えろ」といいますね。後者なら次の仕事もすぐ辞めるでしょうから。ただし、今の会社がブラック企業なら一目散に逃げるべき。辞めるところから始まる話もありますからね。

大沼:転職先としてすすめるなら、大きくデジタルにシフトしようとしている会社や成長企業です。組織が新しい分、裁量が大きいから経験の幅も広がりますし、限られたポストを奪い合うなんて問題も起きないですし。

コメント 2020-06-23 123543

――グロービスはエンジニアにはおすすめですか。

大沼:組織も含めてかなりまだ若いので、まだまだ整備の余地があります。「一緒に最強の組織をつくっていきたい!」と思える人には向いていると思います。

岡本
:単なる新規サービス開発ではなく、これまでのグロービスがやってきたことを踏まえたうえで「グロービスの20年先の未来を背負った新規サービス」という複雑な問題を解かなければいけないので、デジタルトランスフォーメーションにチャレンジしたい人にはおすすめですね。

染谷:いいことだけですとリアリティがないのであえて厳しいことをいうと、今のフェーズはジュニアなプロダクトマネージャーにはおすすめしません(笑)。プロダクトも体制も常に試行錯誤しながら、つくっている最中なので、今は大変です。ただし、社員はMBAホルダーも多く、ビジネス視点での学びが加速しますし、コミュニケーションスキルが高いので伝え方1つとっても学ぶことは多いですよ。

――エンジニアはフリーランスになる人も多いですよね。でも、新たな技術が続々と出てくる時代、フリーランスを続けるのは大変ではないですか?

岡本:フリーランスは会社の外にいるので、納得のいかない経営判断が降ってきても避けようがないというのはありますね。また単発仕事を拾い続けると、価格競争に巻き込まれがちです。それから世の中の情勢には敏感でないと。日経平均はつねに見ておくといいです。

染谷:いろんな分野の仕事を通して知見を広げたいなら、フリーランスもいい。でも「製造業全体を変えてやる!」といった大きな野心をもっている人は企業で働いたほうがいいと思います。

キャリアをつくるうえで重要なこと



――なるほど。では、新卒のエンジニアが自分のキャリアをつくっていくうえで重要なことは何でしょうか?

染谷:聞けばちゃんと教えてくれる人、いわば恩師を見つけられるかどうかでその後の成長スピードはずいぶん変わると思います。自分の場合も、その人がいたから頑張れた、というのはあります。それから、自分がどういう性格なのかを把握するのも重要です。モノをつくるのが好きな人は、つらいことがあってもずっと続けられると思います。

岡本:挫折を恐れず挑戦することです。キャリアを積んでいくうえで大事なのは「自分の仕事の何をもって世の中に影響を与えたいか」という志ですかね。あと原体験。モノをつくって、人に見せる喜びを経験している人は強い。

コメント 2020-06-23 123615

大沼:プログラムは「2回つくり直すといいものができる」と言われます。特に初心者の場合、1回作ったあとで「ああ、これ違うな」と気づくことが多い。新人は、まず作ったプロダクトコードを運用して勉強することが大事だと思います。

――若手から始まってエンジニアとして生き抜くために大事なことは何でしょうか。


岡本: 1年目、2年目ぐらいって、モノをつくっていれば楽しい時期ですよね。でも、そこを過ぎたら、自分のやっている仕事の価値を考える習慣を身につけることが欠かせません。

――価値というのは、「ビジネスとしての価値」という意味ですよね。

岡本:そうです。3年目、4年目、さらにテックリードとポジションが変わると、会社全体に目線を広げなければいけない。たとえばテックリードになると使用するテクノロジーも選定しないといけないし、費用や売上のことも考えなければなりません。もちろん、指示されたことを爆速でやるタイプのエンジニアもいますよ。でも、その道はかなり大変そう。言われたことをこなすのではなく、ビジネス目線で考えて価値を出すための仕事をすることが大事です。

大沼:製造コストが下がり、大規模な工場などなくても個人がものづくりに参加できる時代です。Googleを見てもわかるようにIT業界は個人がパワーを発揮できるチャンスに恵まれています。今後、単純労働の価値は下がっていくと思うので、ただ「作る」のではなく、「課題解決する」ことをぜひ楽しんでもらいたいですね。問題の真因を探し、深掘りすることです。

染谷:プロダクトのソースコードは1つしかなくても、実はそこにいろんな人が関わっているんですよね。だからエンジニアはプロダクトに向き合いながらも、専門やバックグランドの違うさまざまな人とコミュニケーションしなければなりません。コミュニケーションの行き着く先はユーザーにとっての価値。世の中に価値を届けるためにも伝える能力を磨くことだと思います。

コメント 2020-06-23 123236

CTO、VPoE、CPO、それとも起業?広がる未来の夢

――ところでみなさん自身は、この先のキャリアをどう考えていますか。一般的にはテックリードは全社の技術戦略に責任をもつCTOを、エンジニアリングマネージャーは開発組織づくりや運営、カルチャー作りに責任を持つVPoEを、プロダクトマネージャーはプロダクトに責任をもつCPOをめざす、というキャリアラダーになるのかなと思うのですが。

染谷:ユーザーに直接何かを届けられるのがCPOですよね。顧客にとって満足度が高いプロダクトをしっかりつくっていく。一方、VPoEは良いプロダクトをつくるために良い組織をつくっていく人、というイメージかな。僕の場合はどうだろう。「日本のすごさを世界に伝えたい」という動機で働いているので、スーパーテックかといったら、そうじゃないですね。

大沼:自分も今は人と組織のマネジャーをしていますが、VPoEに特化したいとはあまり思っていないです。組織とプロダクト、両方への目線を持っておきたい。

岡本:僕は”ベンチャー馬鹿野郎”なので、たしかに組織にはあまり関心はないですね。エンジニアって1つの会社に長くて5年ぐらいしか在籍しないですし。

――決まったレールはなく、自分の興味次第で未来のキャリアが変わってくる、ということですね。最後にみなさんの今後の展望を教えてください。

染谷:今の具体的な目標は「グロービス学び放題」「GLOBIS unlimited」を世界中に認知してもらい、使ってもらうこと。それをクリアできたら起業したいなと。「Fromジャパンto世界」が個人的なミッションなので、そこにひも付くような仕事をしてみたいですね。

大沼:たとえば機械学習のような技術を使って、、思わぬことが効率的に成し遂げられる技術は今後どんどん誕生するはずです。新しい技術を生かして価値提供できたらと思っています。

岡本:もうキャリアを1周してしまったんですよね、一応CTOまでやりましたし、心肺蘇生を受けて死にかける事件もありましたし。だから2周目は楽しもうと思っています。じつは人生の目標があってですね、「10年続くサービス」と「100万人に使ってもらえるサービス」をつくりたい。もう1回プログラミングを覚えるところから鍛え直し、チャレンジします!

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