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コロナ禍リモートワークのチームマネジメント②マネジメントマインドセットと5つのコミュニケーションの仕組み化

前回はコロナ禍リモートワークのチームマネジメントのコツとして「①通常のリモートワークとの違い」について触れてきました。

コロナ禍では自分だけでなく世界の人が不安になっている状態です。そんななかで今回はチームをリードするためのマインドセットと、コミュニケーションの仕組み化についてお伝えしていきます。


マネジメントのマインドセット:仕組み化はできる!

「プロセスが見えなくて不安……」
「会わないと部下の気持ちがわからない……」

不安になる必要はありません。今こそ「同じ釜の飯」「阿吽の呼吸」神話を捨て、多様な仲間と再現性の高い成果を生むことに挑戦するときです。そもそも、今まで物理的に隣に座っていたからといって、成果に対するプロセスが見えるという思いこみを捨て、仕組みを変えることが必要です。

これからは、グローバル化・テクノロジー化によって、異なる年代・職種・文化の人と一緒に柔軟にスピーディに成果を出すことが求められます。そのためにも、前提条件やミッションビジョン、業務の可視化・仕組み化は重要です。

ほとんどの業務には最終的なアウトプットがあり、そのプロセスは分解・把握できるはずです。それができていないということは、メンバーとマネジメントの間でアウトプットのゴールイメージとそのスケジュールの見積もりが甘いか、アウトプットまでのプロセスの分解ができていないか、プロセスを進めるにあたっての報連相(情報連携)がそもそも可視化・仕組み化されていなかったのではないでしょうか。

それぞれの業務にあわせ、アウトプットを最大化するための報連相(情報連携)についても仕組み化はできるんだ!と思うことがまずは大事なマインドセットになります。

といいつつ、仕組みだけでは人は動きませんよね。

情報連携しやすい、コミュニケーションを取りやすいチームになるためには仕組みも重要ですが、基礎的なコミュニケーション力は不可欠です。

やはりオンラインでは会話し、触れ合うことによる信頼ホルモンの分泌や、リアルな人間味、つながりの感覚が失われるので、今後デジタル時代に個人のコミュニケーション力を磨くことはとても重要です

例えば、
・相手と自分の前提知識や、言葉の定義を揃え、解決すべき問題を目線合わせするクリティカル・シンキング力
・チャットやテキストでの文章による説明・表現力
・長い文章で伝わりづらい時のためのスライド作成・図解力
・その人の興味関心に合わせた質問・雑談力

などです。これらは、リモートじゃなくても「人に何かを伝えて動いてもらう」時には重要なスキルですね。オンラインだからこそ、より丁寧にコミュニケーションやその機会の設計を行う必要があります。

コミュニケーションの仕組み化

コミュニケーションのスタンス

「気持ちの良い伝え方で、お互いすべきこと、考えていること、困っていることをオープンに共有・議論・解決しましょう」とチームの皆さんにお伝えしています。

「全員自分とは違う考え・背景の持ち主」という前提にたつと、相手の動きや要求、空気を読むようなコミュニケーションは業務上時間の無駄だと考えていることを明確に示しています。

特に最初のうちは「オープンさの重要性」をいい続け、リーダー自らも自己開示し、発言を促す必要があります。優しい方ほど、気を使って質問できなかったり、疑問に思ってもいえなかったりします。発言してくれたら受け止め、リアクションすることを繰り返していくうちに「このチームは自分の意見を発言しても大丈夫」という認識になっていきます。


仕組み①情報のやりとりは全てSlackでオープンに

グロービスではチャットツール「Slack」を利用しており、私の所属部署内でのやりとりは原則Slack(エンジニアが多く、メール文化ではないためメールNGです)。そして、業務に関することは、宛先が1人でも公のチャットルーム(SlackではChannelと呼びます)でやり取りをし、全員が見ることができる状態にしています。情報の透明性を保つため、業務に関することはダイレクトメールを使うことをやめています。

そうすることで、全員が誰がいま何をやっているのか、チームでいま何に向かっているのかが見えやすくなります。また、困っていそうであれば横から助けることもできます。

仕組み②毎朝のチーム日報の3つの質問でなんでも話せる雰囲気をつくる

全員、勤務開始時には
 ・今日はどんな日ですか?
 ・今日は何をしますか?
 ・力を借りたいこと、ふしぎなこと、ひとりごと
を日報Channelに投稿してもらいます。

日報Channelは、雑談から業務の困りごと、ちょっとムカついたこと、お子さんの状態、おすすめ動画、音楽、レシピ、特売情報などなんでも自由に話せる場としています。

「どんな日ですか?」という質問で体調や気分を話すようにしてもらっています。もちろん、気分がいい日もあれば悪い日もあるよね、というスタンスです。私自身も「飲みすぎた」「新作の靴で気分がいい」など気軽にシェアしています。

「どんなこと言ってもいいんだ〜」という雰囲気になるように、あえて「ひとりごと」という枠を作り、私自身もプライベートのちょっとしたことをシェアしています。そこにチーム以外の方からもレスや絵文字でのリアクションがつき、業務以外でのコミュニケーションが活発化します。そうすることで、信頼関係が深まり、お互いの困りごとや相談事もしやすくなっていきます。

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仕組み③話しかけていいのか迷わないよう、予定を可視化する

リモートだと相手の状況が見えず話しかけづらいということがありますよね。突然の相談がしやすいよう、社内で共有しているGoogleカレンダーで外部折衝は予定の頭に★、社内MTGは☆、作業は作業内容をタイトルに記載し、その時間であれば急なMTG設定可能としています。


仕組み④業務以外のことを考える時間を1on1でつくる


業務ミッション達成のサポート、育成、キャリア開発のために私たちのチームでは1on1(1対1でのミーティング)を多用しています。各メンバーとリーダーの1on1だけでなく、メンターと新人の1on1、メンバー同士の1on1も奨励し、新しく入った方には必ず全メンバーと対話の時間を設けていただきます。

私たちのチームは業務の相談は定例や、一緒に仕事をする他の人がいる場でするようにしているので、1on1では2人きりだから話せることに集中します。

雑談や、プライベートの困りごと、働き方、愚痴、将来目指したいこと、プロダクトの進化の妄想、お互いへの期待、励ましなどさまざまです。

特にリモートで1人でPC画面に向かっていると、タスクをこなすだけになりがちで偶然の雑談アイディアや質問が少なくなってきます。なので、少し視野を広げ、リラックスしたムードで自分と、仕事に向き合ってもらうことをサポートする時間にしています。

オンラインで1on1をしていたメンバーと話が盛り上がり、違うメンバー2人に突然「何してますか〜お茶しませんか」ときてもらって15分雑談する、などもあります。

会社で起きていたことをオンラインでも行えばいいと思うのです。


仕組み⑤月一回は勉強会を行う

リモート前からの習慣ですが、ランチ時間にその時チームに必要な学びを本や動画で事前にインプットし、お題を誰かがつくり簡単なレポートを当日発表・ディスカッションする、という学びを大切にするグロービスらしいことを行なっています。勉強会は「業務に必要なことを学ぶ」場でもありますが、チームのメンバーが「物事をどういう捉え方・感じ方をするか」が良くわかる場でもあります。学びを通して相互理解を深める、一石二鳥です。


【番外編】オンラインMTGではリアルより大げさに


仕組みではないですが、リモートワークでは大切なポイントです。ZoomなどのWEBカメラを通したMTGでは、リアルと違い相手にこちらの温度感などが伝わりにくいです。アイコンタクトや、呼吸の間が取りづらいので、画面に映った相手の顔ではなくしっかりカメラを見て話したり、声が被らないように一拍間をおいて話す、拍手や頷きのジェスチャーなどリアクションを大げさにして気持ちを伝えるなどの工夫をしています。

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次回は、コミュニケーションのスムーズさを土台とした組織運営自体の仕組み化のトライについてお伝えしたいと思います。

もともと私達のチームでは全員が「事業推進として機能を横断してリーダーシップを発揮しどんなプロダクトでもスケールさせることができる」強くてしなやかなチームになるため、昨年末からエンジニアと相談し、アジャイル開発に用いられるチームマネジメントの手法である「スクラム」体制を少しずつ導入していました。

それが今回のコロナの不安かつ流動性の高い状況でもお互いの動きを可視化し、連携しスムーズに結果を出すことに繋がっているので紹介していきます。

まずは今回ご紹介したコミュニケーションの機会の仕組み化にトライしてみてはいかがでしょうか。

執筆者:越田愛佳(こしだ あいか)グロービス グロ放題法人事業 チームリーダー