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ホテル文化に学ぶ(3)

<ヒューマンウェアの重要性>

 「ヒューマンウェア」という言葉は、ホテリエ幹部育成についてコンサルティングを行う時に、初手から遣う言葉である。それは、「ヒューマンウェア」、「ソフトフェア」、そして「ハードウェア」の三位一体論の中で、最重要課題なるものとして熱弁を奮う。

 一方、地方自治体などが絡んだ地域興しなどでは、プライオリティとしては、先ずはハードウェアありきで、ソフトウェアが後から付いて予算配分が行われ、気付けば尻切れとんぼになるケースが絶えない。それは、ソフトウェアよりハードウェアを優先してるのが要因であると考えられるが、助成金や補助金などは、杓子定規にハードウェア先行と成らざるを得ず、旧態依然とした血税の無駄遣いが続いているものがある。何とも理解しがたい。

 写真群下は、この数年間で撮影した、熊本ホテルキャッスルの各レストランのシェフやスタッフの業務中の姿。これこそ「ヒューマンウェア」を構成する精鋭部隊である。適材適所に配属され、各スタッフも天職としてプライドを持ち、日々厳しい業務に立ち向かっている。いつも各人に会う度に、「歴史と伝統を誇るシティホテルを一人一人が支えている!」と、感服しながら取材をさせて頂いている次第。

 一人一人が育ち、常に情報共有の連携が保たれ、各部署のタスクフローと「ヒューマンパワー」が噛み合ってこそ、初めて円滑に諸業務が完結して行く。どこにでも「先輩面」して、頭ごなしに恫喝する人間もいるが、それは論外であり、「ヒューマンウェア」を構成する一員に含める必要はない。何故なら、そういう人物が癌となり、折角築かれつつある「ヒューマンウェア」の礎が足元から崩れてしまうからだ。

 人を育てるには、その場でミスをしたスタッフを徹底的に叩くのも一つの方法(昭和的蛮行)だったかも知れないが、必ず、逃げ道を与えながらアドバイスしなければならない。又、良いところはしっかりと褒めてあげることが必要だ。それは、多くの部署を抱えるホテルにおいては、必要不可欠な人財育成のための鉄則の一つ「称賛のマネジメント」でもある。

 よって、各部署のリーダーやコマンダーの采配ぶりが重要な鍵となり、全体がバランス良くエキスパンドして行くと、そこには、徐々に、揺るぎのない「ヒューマンウェア」が確立されることになる。

バイキング会場で指導する先輩と後輩
シェフの卵たち
フレンチをサーブするギャルソン

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