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僕が『まごチャンネル』を作った理由

こんにちは。代表の梶原です。

さて、突然ですが。離れて暮らす家族とのコミュニケーション、皆さんはどんな風に取っていますか?

「親はスマホを持っているし、家族で写真を共有するクラウドサービスもある。何も不自由はない」と思う方もいるかもしれません。

でも僕は、これまでのやり方にはもどかしさを感じていました。子どもが生まれてからは特に、離れて暮らす家族と“一緒に暮らしているような感じ”になれないことに、ずっとモヤモヤしていたんです。デジタルな技術がこれほど浸透してきている現代では、スマホの小さな画面の向こう側とは世界中のどこでも繋がることができる時代になりました。一方で、実際に生活の中で一緒にいるときと比べると、体験的にはまだほど遠いのも現実です。

今回はそんな自分が、『まごチャンネル』を作ることになったきっかけ、そしてチカクが実現したい世界について書きたいと思います。

スマホやタブレットでは、「実際に会っている感覚とは程遠い」

僕の実家は兵庫県の淡路島というところで、瀬戸内海(実際は大阪湾なんですが笑)に浮かぶ島育ちです。海と山と田んぼに囲まれ、当時はコンビニすらなかったような田舎で、僕は18歳で高校を卒業するまでずっと三世代で同居していました。

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祖父母は米と菊をつくる農家だったのですが、両親ともに公務員で共働きだったこともあり、保育園のお迎えはいつも祖父が軽トラで来てくれて、納屋で農作業をする祖父母の隣でしょっちゅう遊びながら、母親の仕事が終わり帰宅するのを待っていました。特に祖父は不思議とうまが合うというか波長が合うのか、小さい頃から大好きで。祖父母はすでに他界していますが、一緒に住んでいた頃のことは今でもよく思い出します。

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大学入学で上京してからはずっと東京に住んでいるので、実家に子どもを連れていけるのはせいぜい年に1〜2回。会わせられない代わりではないですが、画像や動画を頻繁に送ってきました。子どもが生まれた当時はApple Japanで働いていたので、iPhoneやiPadを親に渡していて。これを使えば家族を身近に感じてもらえると思ったんです。

でも親は、僕らのようにデジタルツールを使いこなすことはできません。スマホやタブレットの小さい画面でなんとか子どもの画像を見ることができても、実際に会っている感覚とは程遠い。距離の離れた家族でも「一緒に暮らしているような感じ」になれないかと、ずっとぼんやり考えていました。

『まごチャンネル』の原体験となったできごと

まごチャンネル』は昔、僕が自分の親にやっていたことが原型になっています。きっかけは、帰省したときにテレビにパソコンを繋ぎ、子どもの動画を見せてあげたときのこと。テレビの大きな画面上で等身大の動く孫を見て、親がめちゃくちゃ喜んだんです。スマホやタブレットで共有していたときとは比較にならないぐらい。自分にとっては意外な瞬間であり、驚きでもありました。

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あまりに親が食いつくので、日常的にテレビで子どもの動画を見れるように当時、簡単な仕組みを用意しました。Macを買ってきて実家のテレビにつなぎ、こちらのスマホで撮った写真や動画をオンラインストレージサービスのDropbox経由で実家のMacに共有するというもの。「親が朝起きる頃には昨日の孫の動画がMacに入っていて、繋いであるテレビで見ることができる」という状態を目指しました。

ところが親はDropboxとはどういうものかよく理解できません。仕組みがよくわからなかったんですね。なので仕方なく親のMacにリモートログインして、共有された写真や動画のファイルを、ドラッグ&ドロップしてiPhotoというフォトビューワーに移動するという作業を、毎朝、何年もしていました。

そのときに思ったのが、「こういう仕組みってなんで世の中にないのかな?」ということ。自分はある意味この作業に慣れてしまったけど、普通はめんどくさすぎて無理だろうな、と。でも「孫や家族に会いたい」という気持ちは万国共通だし時代を問わず普遍的なはず。だったらこんな面倒なことをしなくても済むように、誰もが日常生活の中で当たり前のようにある体験をつくれたら良いのではないか?こんな風に思ったのが『まごチャンネル』誕生のきっかけです。


目を背けていた『まごチャンネル』への思い

Appleを辞めて起業したのですが、実は、Appleを辞めてからすぐに起業したわけではないんです。恥ずかしい話、Apple出身であることを気負っていて、「クールでイノベーティブなこと」をやるべきだと思い込んでいて。『まごチャンネル』のビジネスは何度も頭に浮かんでいたのに、無意識のうちに目を背けていました。

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退社後の2年間は自分がやるべきことを探していました。独立した友人の手伝いをしながら、ブログを書いたり、翻訳をやったり、不義理にしていた知人を訪れたりと、少しでも興味を持ったことには未経験でも挑戦してみたり。とにかくいろんなことをしました。

そうすると、だんだんコップの底に沈んでいた石が取り除かれるように「気になっていたこと」が消えていきました。その分コップの水の量が増えるように心のキャパが広がって、「自分のやりたいことは、やっぱり『まごチャンネル』だ!」と腹落ちしたんです。そうしてやっと、起業に向けて動き始めることができました。

テレビを使えば「隣にいる」感じになれる

今、若い世代ではテレビをあまり見ない人も増えていますが、実家には大抵テレビがあるのではないでしょうか。僕が調査したおじいちゃんおばあちゃんの家には、よく40~50インチのテレビが置いてありました。『まごチャンネル』は、この「実家のテレビ」を活用していることが特徴です。

テレビって英語でtele-vision。teleはギリシャ語の「遠く離れた」、visionはラテン語で「視界」ということばが由来です。

テレビを使うと、まるで親が子を愛おしく見ているその視界を、実家にそのまま共有しているような感覚になります。

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大きなテレビで映すと、子どもがほとんど等身大の大きさで映るんです。テレビは音質も良いので声もクリアに聞こえて、まるで「本当にそこにいる感じ」になります。スマホやタブレットに比べて単に画面が大きくなるだけではなく、目の前に子どもがいて遊んでいるようなリアリティや臨場感が加わります。

それに、スマホのようなパーソナルデバイスと違って、テレビはみんなで見ることができます。言うなれば、ソファーに座ったおじいちゃん、おばあちゃんが、子どもが遊んでいるのを遠目に眺めているような感じになる。小さな画面を覗き込むのとは、全く違った体験になります。まさに、孫が実家に遊びに来たような感覚でしょう。

テレビは誰もが迷わずに使えることも大事なポイントです。実家の両親にタブレットを持たせている人もいらっしゃると思いますがなんというか…おっかなびっくり使ってるんですよね。全然自然じゃない(笑)。世の中には、生活に溶け込んでいて何も意識せずに使えるものと、そうじゃないものがある。例えばハサミを使うときは迷ったり、マニュアルを読んだりしない。それと同じで、テレビならどんな人でも当たり前に使うことができる。テレビであれば、どんな人でもなかば無意識のうちに使いこなせる点がすごくいい。

距離も時間も超える「デジタル世代の二世帯住宅」を作りたい

世代の異なる家族との同居は、良い面だけでなく面倒な面もあります。プライバシーの意識が強い現代では、子どもの頃のように三世代での同居というのは正直難しいでしょう。

だからこそ僕は、「デジタル時代の二世帯住宅」のあり方を追求していきたいと思っています。昔のように同居することは難しくても、社名の『チカク』で表現している通り、テクノロジーで距離も時間も超えて大切な人をより「近く」、隣にいるかのように「知覚」できる世界を作りたい。
 
共同創業者の1人である佐藤はバーチャルリアリティの博士号を持っている研究者ですが、彼ともよく話すのは『まごチャンネル』を、バーチャルリアリティの一種だと捉えています。その延長線上にやってみたいことがたくさんあるので、アイディアの実現スピードを早めるためにも、ぜひ新しい仲間に参加してほしいです。

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チカクでは、一緒に働く仲間を募集しています。興味をお持ちの方は、こちらからご応募ください!


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