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【言葉を使わないカウンセリング・①親子をつなぐ表現アートセラピー・粘土】


自分を傷つけるようなひどい癇癪があり、お医者さんでADHD傾向と言われている小学校2年生のMちゃん。

Mちゃんは、お母さんに甘えるのが苦手なようです。

お母さんも、Mちゃんを想う気持ちはあるのだけれど、どうやってMちゃんを受容したり、共感したらよいのか分かりません。


こういう場合、お母さんは頭では「子どもを受け入れなきゃ」と分かってはいるのですが、自分がそうされた記憶がなく、成功した体験もなく、どうしらよいか分からないのかもしれません。

【脳が傷ついてる?】


「虐待をするお母さんの脳は、傷ついている」そんなことも言われています。


実際にトラウマのある方に、脳の部分的な萎縮、肥大が目に見える形で認められていて、神経の過敏さや鈍感さにつながっているということがあるのです。

虐待はいけないと、いくら理想的なことを言われても、理屈ではなく本能的に反応してしまうのですね。


この記事では、虐待の事例ではないのですが「共感できない」お母さんと「甘えられない」、そんなお子さんが理屈ではなく自然につながっていく様子を書いています。

子どもの心をどうやって聴くか?分からなくなっている方のために、参考になればと思います。


また、小さい子どもの場合はこうやって心が回復していくんだということ、遊びや表現を通して子どもと関わるヒントになればとも思います。

(以下の事例は、真実を曲げないように、事実は個人が特定されないように守秘義務に配慮しています。絵や作品は同意を得た上で写真を撮り、私がレプリカ仕様にしたものです)


* * *


Mちゃんとお母さんが相談室にやってきました。

座るとすぐにお母さんから、最近のMちゃんの癇癪の様子と、イライラすることが増えているとの話が始まりました。


「そうでしたか。最近はそんな日々だったんですね。」と聴きつつも、Mちゃんの前でネガティブな話が盛り上がっていきそうだったため、私はMちゃんに声をかけ「Mちゃんはどんなこと話したいの?」と聞きました。


するとMは、「嫌なことあった。でも言わない!」と強気な態度です。

それを見てお母さんは「いっつも、そうだよね。あまのじゃくだから言わないんだよねー」と茶化すように話すと、Mちゃんは「ふんっ!」と怒った感じでいます。


私から、Mちゃんに「嫌なことあったけど、言いたくないんだね」と声をかけ、「話したくない時は、絵を描いたり粘土触ったり、何か作ったりしてみよっか」と、作品作りに誘ってみました。


すると、粘土がしたいと言うので「じゃあ、この粘土を3人で分けっこして…」と粘土を三等分して配りました。

そして、私はMちゃんに向かってこう聞きました。

「イライラした気持ち、嫌だったなぁっていう気持ち、どこにあるのかなぁ」


さらに遊ぶような感覚で


「もしかしてここ(胸のところ)?」と、粘土が胸のところから飛び出してくるようなジェスチャーをしながら


「Mちゃんの気持ち、この粘土で作ってみようか」と提案しました。


Mちゃんは粘土を丸くしはじめました。


だんだんハートのような形になってきます。


そして、最後にそのハートを割りました。



②につづく


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