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お子さんの言葉の発達に不安を抱える、お父さんお母さんへ

お読みいただきありがとうございます。
言葉好きの言語聴覚士 ちかです。

今日はタイトルの通り、お子さんの言葉の発達に不安を抱える、お父さんお母さんに対してお伝えしたいことをまとめたいと思います。

とはいえ私自身、小児の療育の経験も子育ての経験もないため、
内容に関してご意見があれば聞かせていただきたい 
という気持ちも込めて書いていきます。



お子さんの言葉の発達に不安を抱える、お父さんお母さんへ

 
 お子さんが保育園や幼稚園へ通うようになると、家族以外の人と関わる機会が一気に増えます。家の外のコミュニティに参加し、社会性を身につけるための第一歩と言えるでしょう。
 そこでお友達と遊んだり、先生とやりとりをしたりする時に必要になるのがコミュニケーションです。

 コミュニケーションを取る上で必要な能力は、大きく分けて四種類あります。
言葉を理解する力、言葉を表現する力、相手の表情や声色など言語以外の要素から伝えたいことを理解する力、言葉を使わないで自分の伝えたいことを表現する力です。
 どれが欠けていても、相手とのやり取りに支障が出てしまいます。ですので、お子さんとの関わりの中で、全ての能力を養っていく必要があります。

 一般的に「コミュニケーション」と聞くと、二人以上の人が話をしている場面を想像しやすいでしょう。
 そしてコミュニケーション能力と言われた時に、上手に話す力を想像する方も多いと思います。なぜなら、前述した4つのコミュニケーションスキルの中でも、言葉を話す能力が一番目に見えやすく、わかりやすいから。

 しかし悲しいことに、そのわかりやすさ故に、言葉に障害がある人=コミュニケーションが取れない人と認識されてしまうことが多いです。したがって発音がうまくできないことは、人間関係の障害になるだけではなく、話す意欲の低下、自信や自尊心の低下にも繋がります。
 この二次的な障害が由々しき問題だと、私は思っています。

 では、話すことに少しでも困難を抱えるお子さんが、自尊心を保ちながら、より質の高いコミュニケーションを取るために、どのようなアプローチをすれば良いでしょう。

 一つは、言葉の教室に通い、苦手な発音を練習したり、話せる言葉を増やしていくということ。これは対症療法であり、大部分は専門家に任せること。

 では親の立場からは、どのようなことをすればよいか。それは、その他のコミュニケーションスキルを伸ばすような関わり方をすることです。

具体的な内容は以下の通り。

・いろんなものを見たり、触れたり、味わったり、匂いを嗅いだり、音を聞いたりする機会を与えて、五感を使って自分の周りにあるものを認識させること。

・人や物との関わりの中で、いろんな気持ちを感じさせること。そして人がどのような場面で何を感じるかを教えること。

・そうして獲得した概念や気持ちに「言葉」というラベルを与えてあげること。

少し分かりづらいので、例を挙げます。

 たとえば、お子さんと一緒におやつを食べている時、ニコニコしているお子さんに対して、「ケーキ、甘くて美味しいね」と伝えてあげる。
そうすると、お子さんは「ケーキ=甘い、美味しい」ということを知る。
そして、ケーキを食べるときには、思わずニコニコしてしまうような幸せな気持ちになる。ということを学びます。

 このような体験を重ねることで、お子さんの中にある概念に関する知識、ボキャブラリーが育まれていきます。

また、非言語的なコミュニケーション手段を教えることも重要です。

具体的には

・親が表情や身振り手振り、非言語的な発声(歓声、悲鳴、ため息、唸り声など)を使って、思っていることや感情を表現をして、お子さんに見本を示すこと。

・お子さんが伝えたいことを言葉にできない時に、どのような手段でもいいから表現するように促すこと。

 言葉を使わない表現方法の幅を広げることで、たとえ発音がうまくできなくても、お子さんがコミュニケーションで抱える困難やストレスは軽減できるでしょう。

もしも今、お子さんの発音がおかしかったり、言葉が遅れていたとしても、
お子さんのコミュニケーション意欲を削ぐようなことはしないでください。

他の子や発達段階のスタンダードと比較して、焦るお気持ちも分かります。

ただ、言葉の発達の速さはお子さんによって差がありますし、
大人だって言葉が出てこなかったり、言い間違いをするのはよくあることです。

言葉が遅れているから、障害があるから、会話の時に配慮をすることは大切。
ですが、障害があることを引け目に感じたり、お子さんの性格や性質など、本質的な部分に目を向けられなくなってしまうことは問題です。

お子さんは親の気持ちに敏感です。

幼少期に感じていた親への感情は、大人になっても引きずってしまいます。

言葉の障害の有無に関わらず、コミュニケーションで一番大事なことは、
表現したい内容が、相手に伝わっているかどうか
だと思います。

うまく話ができなくても、お父さんやお母さんが、無条件に自分のことを受け入れてくれている、という安心感をお子さんに与えてあげてください。

これは言語聴覚士の立場からだけでなく、
親から条件付きの愛情を与えられた感覚を引きずっている、アダルトチルドレンの立場からもお伝えしたいことです。

また、悩んだ時には抱え込まずに専門家を頼ってください。
私たちセラピストは、お子さんとの関わりだけでなく、ご家族とお話しする時間も大切にしております。

少しでも、悩めるお父さんお母さんのお力になれたらと思っております。

ここまでお読みいただきありがとうございました。




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