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おうちで中華 - 汽鍋鶏(雲南式・鶏の蒸しスープ)

今回の料理は、雲南の名物料理・汽鍋鶏(鶏の蒸しスープ)。十数年前に昆明で初めて汽鍋鶏を食べた僕は、その澄み切った旨味に驚愕した。で、家でも作れないかと調べたところ、奇妙な作り方を知って更に驚愕した。

なぜって、鍋の中には水を一滴も入れずにスープを作るというのだ。

汽鍋鶏 汽锅鸡 
qìguō jī

汽鍋鶏(雲南式・鶏の蒸しスープ)

汽鍋鶏を作るには、汽鍋という特殊な鍋を用いる。

火山のように突き出た中央の穴は、鍋の底へ通じている。汽鍋に具を入れて蓋をしたあと、湯を沸かした別の鍋の上に置くと、底の穴から汽鍋の中に蒸気が入ってきて、徐々に水分が溜まってスープになるというわけだ。

こんな感じで蒸す。

時間はかかる。写真の量のスープが溜まるには、2時間は必要だ。その間お湯を沸かしっぱなしだから、ガス代もかかる。なんでわざわざこんな奇妙な作り方をするのかと言えば、旨いスープができるからである。

スープが溜まってる!蓋を開ける瞬間はいつもドキドキ。

見るからに濃厚な黄金色のスープ。煮込むのとは別物の、超特濃スープだ。甘やかな香り。口の中一杯に広がるコク。しつこさはなく、深みのある味わいが身体に沁みていく。時間をかける価値が十分にある旨さなのだ。

美しいスープ。ああ、美しい。

鍋の中で蒸されてホロホロになった鶏肉の柔らかさも、特筆ものだ。歯茎だけでも食べられそうなくらい、するっと骨からはずれる。それでいて、肉の旨味が抜けていない。不思議だなあ。

鶏肉もご馳走。骨周りまで旨い。

「いくら美味しいと言われたって、汽鍋を持っていないよ」。そんな声が聞こえてきそうだ。ご心配なく。こんなマニアックな調理器具も、今の日本なら通販で簡単に買える。

汽鍋さえあれば、作るのは至って簡単。汽鍋を買った時点で完成と言ってもいいくらいだ。必要な食材だって、鶏肉と生姜と塩だけ。あとは時間さえかければ極上スープができるので、我が家では休日の定番になっている。

尚、今回は最も伝統的でシンプルなレシピを紹介するが、アレンジはご自由に。別の具を足してもいいし、なんなら鶏肉を別の肉や魚に変えてもいい。汽鍋の汎用性は意外に広いので、気軽に楽しんで欲しい。

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