思い出が香る時。
雨の日の、日曜の午後。
窓を開けたら、
何処からともなく金木犀の香りがした。
確かにあったはずの「誰か」との思い出を蘇らせようと、シナプスがザワつくのだけど
それが「誰か」までは絶対に辿り着かない。
きっと過去の遺伝子が何処かで、
「誰か」との、「誰か」への感情を
再演しようとしているのだけれど、
それが「誰だったか」
もう忘れてしまっていること。
それも含めての、金木犀なんだよなぁ
と、
果たして
本当にそこにあったのかうっすらと疑念さえ感じて
輪郭のない思い出だけが 香って終わる。
もしかしたら
「忘れられない思い出」なんてものは
初めからなかったのかもしれない。
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