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彼らが本気で編むときは、

日本/2017
監督 荻上直子

荻上監督の映画は、ふいに始まります。
ふと気づくと、登場人物のすぐ隣に、いつのまにか自分が立っているような感じ。

ひとりぼっちのトモ。
エサのようにあてがわれるコンビニのおにぎり。
ゴミ箱。
いつも握りしめている古いタオル。
寡黙な画面なのに、それだけで、トモの境遇がわかります。

冬枯れの冷たい橋の上に立つ、よるべないトモの姿。
ひどく悲しいはずなのに、凍りついたような無表情に、こういう扱いを受けることに、すっかり慣れてしまった切なさが、このひとつの場面に溢れています。

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