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中学校の入学式で放たれた衝撃の一言【ヤマシタのおたより#45】

先日この記事↓でご紹介した、中学の時の担任の先生。

この先生は本当に偉大で、入学式したその日から、異次元のすごさを発揮していた。

ちょっと前まで小学生だった私たちが、見るからに大きい制服に身を包み、緊張の面持ちで参加した入学式。
無事に式典が終了し、私たち新入生と保護者達は、ぞろぞろと体育館から教室へと移動してきた。

黒板に貼ってある座席表を確認し、私たちはそわそわと机に向かい、保護者は後ろで我が子を見守る。

なんとも穏やかで晴れ晴れとした雰囲気のなか、担任の先生は、笑顔でこう言った。

「今日から一年間、同じクラスです。よろしく。
さあ、みなさん。
これからみんな仲良く…しなくて構いません」

ざわつく教室。
私はとんでもないところに来てしまったと思った。
だって、少し前まで通っていた小学校では反対のことを教えられていたのだから。

私たち新一年生は、みんなポカーンとしていた。声も出なかった。
そう、ざわついていたのは、恐らく保護者。
なんて先生に当ってしまったんだ!とでも、思ったのかもしれない。

ただ、この先生が、その一言だけで終わるわけがない。
続きは、こうだ。

「これからみんな仲良く…しなくて構いません。
だって、これまで12年間、みんなは違う環境で育ってたんやから。
色んな考え方があって、色んな思いがあります。
でもね、このクラスはそういうこと関係なしに、集められて出来たんです。だから、全員、気が合って、仲良しになるなんて、無理!」

「ただね、それと、いじめや意地悪をするのは、別の話。
どんだけ嫌やなって思う人とでも、グループ学習では協力します。
気が合わへんなって人とも、遠足に行きます。
そのときに、自分が嫌やなって思う人と、どう接していくのか。
大人の付き合いをしていくのか。
それをしっかり考えて学んでいってほしいと思っています。」

「いいですか。
みんな仲良く!は、しなくていいです。
でも、嫌な人、気の合わない人を攻撃したり無視したりするのは、それは
違いますよ。
心地よい距離感を持ってください。
さあ、ここにいるみんなで協力して尊重し合って、クラスを作っていきましょう!!」

私たちは、まだポカーンとしていた。
なんだかすごく難しい話をされた気分だった。

でも、家に帰ると母が「びっくりしたけど、ええ先生なん違う?」と言っていたので、そうかなと思った。(12歳なんてそんなもん)

どういうことなんだろう、と考えながらスタートさせた中学生活。
結果的に、このクラスはとてもいいクラスになった。

もちろんちょっと合わないかも?という人だっていたけど、でも大好きだ。

この考え方はそれからずっと、自分の人間関係のベースになっている。
大人になるにつれて、この考えに助けられることが増えた気さえしている。
ありがとう、先生。

ちなみにこの先生はすごくユニーク。
厳しかったけど、ユニーク。

毎月発行する手書きのクラス通信も、ぶっ飛んでいて大好きだった。
なんか、「友だちに”白ご飯にオレンジジュースをかけたら、つぶつぶジュースみたいになって美味しい”と言われて、嘘や~!!と思ってやってみたら美味しかった!」みたいなことを書いていた気がする。

お友達もぶっ飛んでるし、嘘や~!!と思ったくせに実践するのもぶっ飛んでる。
ほんで美味しかったんかい。

生徒総会前のクラスミーティングで、詳しくは覚えていないけど「生徒は授業に真面目に取り組み、真剣に聞く」というルールを安易に採決しようとしたとき。(どんな項目やねん)

先生は、
「ほんまに?これ採決したら、絶対寝たらあかんねんで。ノートに落書きするのも、ぼーっとするのもあかんねんで。それ約束するってことやで?つまらない授業でも、おもんない話でも、絶対ちゃんと集中して聞きますってことやで?できんのか?????????????」

と真剣に問いかけてきた。

私たちには、これを否決するという選択肢がなかったのでびっくりしたけど、たしかにそれもそうだなと思った。

そこで私たちは、それこそ真剣に話し合い、生徒総会当日。
全校生徒と全教員の前で
「この項目について、私たちは精いっぱい努力をします。
ただ、先生方も、生徒が寝ないような、つまらないと思わなような、工夫に富んだ授業をすることを、心がけてほしいなと思います。」

と堂々と発表した。

当時学級委員だったMくん、あまりに堂々としていて、周りの先生方、あっけにとられていたよ。
その時、生徒会役員として進行していた私は、ほかの役員から「お前の仕業か」みたいな目で見られたよ。(全力で否定した)

でも、これって大切で。
守れない約束はすべきではないし、こちらばかり条件を呑むのはおかしい。

ただなんとなくダラダラとした会議を開いている全サラリーマンに、届け、この想い。


そうだ、私を生徒会に勧めたのも、この先生。
おかげで中学、そして高校でも生徒会に参加し、両方会長までやった。

中3のときなんて、部活に専念するために生徒会の立候補をやめようとしていたら「あんた、他の人が生徒会やっても絶対なんも思えへん?こうやったらええのにって、思わへん??言うんちゃうで、思うんもあかんで」と訊かれて自信がなくなって即立候補した。会長に。

先生、よく分かってらっしゃる。

そしてこの先生は、担任こそ1年生だけだったけど、その後も教科でお世話になり続けた。

クラスのことに一生懸命になりすぎて成績が下がったときに、「あんたの進路がかかってんねんで。バランス考え。」と言ってくれたことも、鮮明に覚えている。そして感謝している。

全回に引き続き、私が今でも感謝している先生の紹介でした。
この恩師シリーズ、続けようかしら。

そして、シリーズにできるほどいい先生に出逢えた私、やっぱり恵まれているなあ。

反対に、「なんやねん」と思い、みんなで反発し続けた先生もシリーズ化しようかな(笑)


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