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ヘナモンについて その1

私はこんな見た目だが5年間くらい
障がい者のリハビリ施設で生活支援員として勤務している。(普通に金髪ピアスのロックTシャツで働いてた今も)

リハビリ施設とは大まかに言うと
病気とか事故で中途障害(先天性の障害ではないもの)を負った人が病院から退院して社会復帰するまでの期間リハビリをする施設のこと。

施設利用を希望する場合、受給者証を作って県に申請を出す必要がある。
大体1年間入所してそこで24時間生活をする。
利用者の年齢は様々だけど40〜50代が多い。
そして圧倒的に男が多い。八割はオッサン。
その中でも、脳血管系の病気の人がほとんど。脳梗塞、脳卒中などで倒れて障害が残ってしまうケース。

しかし中には私より若い20代や10代の人もいた。若い人は事故が多い。バイク事故、出勤途中の事故、仕事中の転落事故など。

リハビリを前提とした施設なのでそこまで重い障害を持つ人はいない。
とは言え、障害というのは思ってる以上に大変なもの。軽い障害なんて無いんだと思う。

その人によって様々で体のどこに出るか、またはその程度も個々で異なる。
杖で歩ける人もいれば車椅子をこぐのさえ難しい人もいる。片手だけは使える人もいれば両手が上手く動かない人もいる。両手両足に力が入らない人もいる。

そして障害は身体だけに出るとは限らない。
言葉が出なくなる失語症、記憶障害、左右どちらかに意識が行かなくなる空間無視、
そして高次脳機能障害。挙げるとキリが無いほど身体以外の障害はとても多い。

特に高次脳機能障害は最も複雑な障害の一つだと個人的に思う。簡単に言えば脳の障害。
身体障害と併せて持つ人もいれば、高次脳機能障害だけを負う人もいる。後者は見た目では障がい者だと周囲から判断されないため、ただの変わり者とか社会不適合者みたいに思われてしまう事もある。
この障害も人によってかなり様々で、全く同じタイプは今のところ見たこと無い。

記憶力が無くてすぐ忘れてしまう人。
とても怒りっぽく暴力的になってしまう人。かなりマイペースで協調性皆無の人。
時間がまったく守れない人。
ある事に対しこだわりが異常な人。
被害妄想がヤバイ人。
身支度や整容、掃除など衛生管理ができない人。
好きなものを好きなだけ食べたり買ったりしてしまう人。暴飲暴食散財。
何事にも意欲が無く寝てばかりの人。
認知力が低下し物事の判断ができない人。
子どもの様になってしまう人。
などなど。
一見、性格じゃない?なんなら私もそれなんだけど?って感じだけどこれらがかなり顕著に出る。
そして高次脳機能障害の人ほぼ全員に当てはまるのは病識(自分が病気だという自覚)の欠如。ある意味ハッピーかもしれないけど支援側からするとめちゃ厄介。リハビリがリハビリとして機能しない。

それと鬱病などの精神疾患を併発する場合も多い。突然障害を負ったんだからそりゃそうだと思う。

長々と説明したところで
こういった施設で働いてて気づいたことがいくつかある。
脳卒中や脳梗塞など、生活習慣が引き金になってる病気で障害が残ってしまった人たちはこんなケースが多い。
↓↓↓
・未婚もしくはバツイチの単身生活者
・未婚の実家暮らし
・もと引きこもり
・職場めっちゃ転々としてる人
・人と関わるの下手な人

そして凄く嫌な言い方かもしれないけど
もともと発達面や精神的に何か抱えてたのかなって人が多い。

生きてるだけでよくわかんないストレス抱えたり頑張る気力が湧かなかったり。
生活リズムがおかしくなって昼夜逆転したり眠れなかったり一生寝ちゃったり暴飲暴食しちゃったり酒に溺れたりコンビニ弁当ばっか食ったり自分の健康なんて考える余裕もなくボロボロな日常を送ってたらそりゃいつか体ぶっ壊れるよね普通は。おつかれ。

人それぞれ生まれ持った生活力の高さって色々で、もとが超低くても環境とか人に恵まれてグングン生活力上げてく人もいるし、逆もあるよね。私はめちゃドンくさいしストレスにクソ弱くて全然生きていけないタイプだと思うけど環境と人が変えたと思う。

ただでさえ生きることに不器用な人が病気で障害なんて抱えてしまったらより一層重い荷物背負って生きる事になるんだよな。
ましてや、40〜50代と言ったら両親は高齢者世代だし配偶者も子ども居ない。キーパーソンとなる人が居ない、働くことも容易ではないとなったら一体どうすりゃいいの?社会資源を上手く活用すればどうにかなるかもしれないけど、うまく活用する能力ある?どこに誰に聞けばいい?どうやって?そもそも人に上手に助けを求められる人生だった?病気していい方に性格変わる人なんて実際そういないんだよ?

もちろん、しっかりしてる人が病気になることだってかなりの確率であるから一概には言えないんだけど。

話がまとまんなくて伝わらないかもしれないけど私が言いたいのは、色んな理由で最初から生きることが下手な人(愛を込めて私はヘナモンと呼んでる)ってスタートラインから出遅れてるんだよね。まだ会場にすら着いてない。まだ布団で寝てるかもってくらい。
そうゆう人たちにはやっぱり誰かの理解と助けは必要なんだよな。まずは理解だよね。理解しなきゃ助けらんないし。

人間みな平等☆ピース
みたいに言うけど私はぶっちゃけ平等じゃないと思う。だってそう思うでしょ?
要領良くて頭の回転良くて人が何を求めてるのかちゃんと理解できる人もいれば、悪気なくてもそれ全部壊滅的にできない人もいるよね。
協調性の塊みたいな全員マブダチタイプもいれば人類みな敵みたいな人もいる。
道にめちゃ強い人もいれば私みたいに徒歩3分圏内を40分彷徨う人もいる。

この世界は100という絶対数で成り立ってるとは思うんだけど、90持ってる人と10しかない人がいるんだよなって感じ。(算数無理だからあってるか分かんない)全人類同じ数持ってたらキモいしつまらないとは思うけど、90持ってる人は3くらい分けても良いと思うんだな。10人が3分けたら30あるじゃん。
貰いすぎて余っちゃった人は別の人に分けたら良いじゃん。

たぶんこれからの時代ヘナモンはもっと増えていくと思うんだよね。色んなタイプのヘナモンたちが。
愛すべきヘナモンもいれば、マジで手に負えないヘナモンもいるだろうね。いるよ。

そうゆう人たちを隅に追いやったり腫れ物扱いしたり見て見ぬ振りする社会だとたくさんの悪循環が待ってる。
ヘナモンを受け入れるのは大変なことだけど、ヘナモンたちが弱ったり魔法少女化してしまった方が後々大変なことになるんだよ
な。

強要することはナンセンスだから
みんなが自発的に助け合える世の中になればいいのにな。ま、ならないだろうな。
自分と違うものを攻撃するのは生き物の本能だからね。生き物の中で一番本能退化してそうな人間なのに、そーゆー本能は残ってんだよな。
神ってなんなの?

私はヘナモンを救えてるだろうか

#エッセイ #コラム #日記
#障害 #障がい #福祉 #社会

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