[エッセイ]変わってゆく服達

服が私を変えるの？
自分の意識が服を変えるの？

こんにちは。
インナーが普通の服だと思って着ていた
チハルです。

みなさん服の好みは何によって変わっていきましたか？
幼い頃から変わってません。と言う方もおられるでしょう。

今回は私のクローゼットの中の服が目まぐるしく変わっていき、最終的にどこにたどり着いたのかをお話していこうと思います。

みんな毛玉のついてない綺麗な服

お古ばかりの幼少期だった私。
学校で辺りを見渡せば、毛玉一つ付いてなどいない綺麗な洋服を着たお友達ばかり。

羨ましかった。

私ときたら、どのお姉ちゃんから回ってきたのかわからないお古の服、いや、もしかしたらぴかぴかの新品だった服だったのかもしれないが、幾度も着たヨレヨレの毛玉付きの服を着ている。

それでも、正直その頃の私には服の良い悪いがあまりわかっていなかった。お古はお姉ちゃんと言う存在の証明でもあり、少しばかり誇らしさもあったのを記憶している。

古着こそがおしゃれ？？？

そして、中学生になり制服デビュー。
相変わらずのお古。学校に関してはまだ良いのだけど、困ったのはプライベート。
友達と遊ぶ時の服装、出かける時の服装、毎度頭を悩ませて…よくわからない服装をしていた。

その頃、お姉ちゃんが古着系のファッション雑誌を買っていたので、見せてもらっていた。そして、"こうゆうのがお洒落なのか!!!"
とその雑誌だけを見て思い、同じような服を古着屋で買った。
それを着た鏡越しでみる私は、困った表情でこちらをみている。似合っているの？？グチャグチャしてるだけ？？とあきらかに顔に書いてあった。

ファッションは個性を表現できる場？？？
海外好きな私の異様なファッション

その頃、服も自分の個性を表現できる場という言葉をあちらこちらで見聞きしていた私は、個性を出さなきゃと意気込んでいた。

中学生くらいの頃、海外にハマった、それはいわゆる"海外かぶれ"だろう。
好きなファッションモデルや女優がきている服をとことん真似した

辺りはチラチラと雪が降っていた頃に、真っ白なタイツと真っ赤な昔のコートに真っ赤なヒール、田舎の町では目立ちすぎるスタイルを生み出した。

これが私の個性！と言わんばかりに堂々と歩き
謎のスタイルを町中に披露して回っていた

好かれたいに振り回される

そして成長するに連れ、少しずつその謎のスタイルもなくなっていき、ボーイッシュなスタイル、かっこいい系のスタイルに変わっていった

でもその時からずっと心の隅どこかで
"可愛くなりたい"と叫んでいた。モテたことのない私はチヤホヤされている子が羨ましくて、軽い嫉妬心をその苦労も知らず抱いていた。そのモテててみたいなどの不純な動機は増すばかりで、人に人気の出そうなスタイルをしていこうと必死になった。

可愛い系、綺麗系、カジュアル、ボーイッシュ、古着系…

入れ替わり立ち替わり。あれやこれやとスタイルを変えていき、最初は楽しんでいたが、好かれたいを意識するあまり、無理をし、季節感にズレのある服装をしていた。終いには服はあるのに、着る物がない！とさえ嘆いていた。

気づいたコト

大人になり、ある日気づいた。

私は人に好かれようとばかりして、勝手に振り回されてる…。
自分に問う、服や見た目をカメレオンのように変えてモテましたか？いいえ。
楽しかったですか？いいえ。
その行動をしていた私を好きでしたか？いいえ。

もう疲れ切っていた。毎日毎日、服装の事で頭を抱え、これを着ればどう思われるだろう、こっちならどうだろ…？決めたと思い外に出るなり、あれにすればよかったと後悔し始める。外出など楽しくできるわけもなかった。
病気なのかとも思ったこともあった。

そんなかな、ふと断捨離がしたくなり、ガサゴソと袋を引っ張り出し、使う物と使わない物、服も家にあるもの全て分けていった。

断捨離が終わり、私のまだ使うだろうと残した服をみてみるとただ"普通"の服だった

白い長袖のシャツ、紺のデニム、紺のTシャツに、グレーのカーディガン。どれも着やすく、コーディネートに困った時に適当に着る服達だった。

私のクローゼットに残った、その"普通"で困った時に適当に着る服達をみて、今までにない安心感と安定感を感じた。嬉しささえ感じた。

この長い間、好かれたい一心に自分を振り回し、自分を傷つけたから。

それからの着替えは、30分ものコーディネートを考える時間があったなど嘘の様に、一瞬で終わり、何かから解放されたかのような感覚がある。

もう悩む事はなくなり、無駄に服を買うなんてこともなく、今着れている服に感謝をしている。

自分が着たい服を着よう。