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『千夜曳獏』試し読み

『千夜曳獏』という本を青磁社から出版することになりました。(青磁社 Amazon )

多くが書き下ろしです。2020年4月30日に予約を開始しました。また、池上きくこさん(葉ね文庫店主)、魚村晋太郎さん(歌人)、橋爪勇介さん(ウェブ版「美術手帖」編集長)から推薦文を頂戴しております。

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獣の獏のように色々な表情を見せる装幀は、濱崎実幸氏の手によるもの。ぜひ手にとってご覧頂きたいのですが、日本はなかなか立ち読みができる状況にないかもしれないので、収録362首から自選12首をここに公開します。

でもそれが始まりだった。檸檬水、コップは水の鱗をまとい

鳥がたまに花を食べるじゃないですか、あれ、めちゃうらやましいなと思う

これ走馬灯に出るよとはしゃぎつつ花ふる三条大橋わたる

このアカウントは存在しません 桃は剥くとしばらく手から香るから好き

枯れるなら声は花かも 鴨川はいくつも声を浮かべ流れる

あなたがたまに借りて返しに来るための白い図書館になりたい

花束を一度ボンネットへ置いた、遠くへ言葉を飛ばそうとして

擦り切れるまで聴いている、雨の音ええなあ、というあなたの声を

千夜も一夜も越えていくから、砂漠から獏を曳き連れあなたの川へ

白に白かさねて塗れば天国は近く悩みと祈りは近く

人生が何度あっても間違えてあなたに出会う土手や港で

僕らより長生きをする亀を飼おう。僕らのいない庭を歩くよ

五〇〇年くらいがいいよ ライターへ炎を仕舞うあなたの鋭(はや)さ

この他、裏切り者とされるユダの決意を綴った連作「ユダのための福音書」や、関ヶ原の戦いで裏切りに傾いていく小早川秀秋の逡巡を描いた連作「金吾中納言」も収録。


予約・注文方法は次のとおりです。多くの方にお読み頂ければ幸甚です。
青磁社からの直接注文(送料無料)
Amazon
・各書店の店頭(千夜曳獏/千種創一/青磁社と伝えれば注文可)

【略歴】千種創一(ちぐさ・そういち)1988年名古屋生。2005年頃作歌開始。2015年『砂丘律』(青磁社)。2016年、日本歌人クラブ新人賞、日本一行詩大賞新人賞。2020年『千夜曳獏』(青磁社)。2021年、現代詩「ユリイカの新人」に選出。

以下に皆様の感想をまとめさせて頂いております。

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