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ベルリン演劇の講義2(補足・だいすき!マウス「憲法」特集)

以下のリンクは、ドイツの子供番組「だいすき!マウス」、2019年5月26日の憲法特集で放送された動画です。
https://www.facebook.com/watch/?v=887094911841829
’Die Sendung mit der Maus/ Sachgeschichte: Grundgesetz’
(以下、大まか〜な翻訳)

「私は人を観察するのが好きです。いろんな人がいますよね。体が大きかったり、小さかったり、若者、お年寄り、女性、男性。違う国から来て、違う言葉を喋る人もいます。

みんなが一緒にドイツに住んでうまくいくのは、私たちに「規則」があるから。例えば、ご飯を食べたら皿を洗う。誰かが全部一人で片付けることがないように。映画館では、携帯の電源を切る。他の人を邪魔しないように。
スーパーのレジの列では列に並んで、他の人を押しのけてはなりません。(前の人に順番を譲ってもらえた)...こういうのは、わりかし簡単に変更していい規則です。

でも、簡単に変更できない規則もありますね。中でも特別に重要なものに、「Grundgesetz(ドイツ基本法=憲法)」があります。ドイツにある、たくさんの法律の基礎であり、私たちがドイツで他の人と一緒に暮らすために必要なものです。ゲームにルールが必要なように!

その中のもっとも重要な記述に、「全ての人は尊い価値(wertvoll)がある」があります。尊い価値って、たとえば、金の宝物みたいなこと。みんな一人一人が、宝物です。人は、それぞれ別の種類の尊い価値がある。憲法ではそのことを「人間の尊厳」って、言ってます。

内側から光り輝くような「尊厳」を想像してみます。憲法は、私たちに「魔法の保護シールド」のようなものを保証してくれます。普段は目に見えませんが、こんなシールド(盾)を想像することができます。

憲法いわく「誰もが等しく尊い価値がある」。誰でも、どこの出身であっても。だからみんな等しく、この保護シールドで、多くのものから守られています。

たとえば憲法には、「私たちは傷つけられてはならない」とあります。身体の安全についての権利です。これによって、危険から私たちを守る法律が生まれます。もちろん、突然傷つけられることだってありますよ。そうしたらシールドは私たちを守ってくれません。時々、私たちは自分で自分を守らなくてはなりません。

憲法にはこうもあります。「私がいたいように、いて良い」。私は、なりたいものになれます。機械工、化学者、消防隊員。職業を自由に選ぶ権利を持っている。

また、外見的にもしたい格好をして良いのです。憲法の言葉で「個性を自由に発展させる」と言います。他の人から、バカみたいに見えたとしてもOK!

私は言いたいことが言えます。「嫌だ、良くない」と思ったことも。
たとえば、どこかの政治家についてバカだなあと思ったら、言っていいのです。憲法には「誰でも意見を自由に表す権利を持っている」とあります。

そして考えたいことを考えて良いんです。誰にも傷つけれれたり、排除されたりはしません。保護シールド.....憲法によって守られているからです。

憲法のおかげで、私にはとてもたくさんの自由があります。でも、それって、他の人も同じってことですよね。「(人にぶつかって)あ、ごめんなさい!」。だから争いごとだって起こりえます。「ちょっと、何やってんだよ。ぶつかるなよ」、「そんなに怒らないでよ」、「そっちが気をつけろよ」....。でも、私たちには憲法から作り出した法律がありますから、それを使ってお互いフェアに争いごとを扱うことができます。

時々はものすごく状況が悪化して、仲直りできなかったりしますが、そんな時も私たちの人間としての価値、つまり「人間の尊厳」は損なわれません。憲法には「私たちは助けを必要とする人を守る」、ともあります。

自分の母国で危険に晒されている人がいたら、ドイツに来ても良いのです。
彼らは保護を受けられます。憲法では「(亡命者などの)庇護の権利」と言われます。

全ての人には、とても尊い価値があります。自分の愛する人のことだったら、そんなの当たり前、って思えますよね。でも憲法は、私たちが好きになれない人も含めて、ドイツにいる全ての人を守るものです。

私たちはこの保護シールドをよくケアしなくてはなりません。法律によって作られた規則を守らなくてはなりません。それが、私たちみんなが強い保護シールドを維持し、守られ続けるための方法なのです。」


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