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泡沫ちゃん『ダスト8』『アラバスター』を読む

手塚治虫の本人曰く失敗作を読みました。続けて豪華版で復刊されてて、自分の書店でも並べててなかなか好評な売れ行きで気になってたのです。ただ3000円以上も払えないなと思って、うだうだしてたら先日友人宅にて『ダスト8』を発見。即拝借。そして父親に伝えたら二作品とも家にありました。すごい。こういうところが父親の子に生まれてよかったと心から思うのです。というわけで感想をば。

『ダスト8』
設定は面白しいキキモラ? がかわゆい。女の子も男の子も。それで読める。本来死ぬべき8人のエピソードもなかなかだけど、とりたてて面白いのはなかったかなー。ゆりこのエピソードは解せないし、友人が好きだという最後のエピソードはなるほど、と。手塚は全集に入れる際に大幅な加筆をしたという。本来は『ダスト18』だったのが連載が不人気で打ち切りに。全集に載る際に8エピソードで成り立つように、それぞれも簡略化。ゆりこが最後の博士の娘だったりとかもなくしたとのこと。ふーむなるほど。オリジナルを読んでみたいかというとそこまでな気もするし。まぁどちらにしろ終わり方は夢オチ的なかんじでズルイです。

『アラバスター』
美とは何か。顔面を運命くんに否定されて、美醜にいっそう捕らわれているあたしにとって実に由々しき問題。もちろん外面、内面の美しさは違う。内面が大事とはいうけれど、やっぱり見た目も大事でしょう。だって目に見えるのは外側なんだもの。内側の美しさが溢れる時もある。外側の醜さがあわられる時だって。だから本来なら両方美しくあるべきなのです。でも人にとっての美しさってバラバラ。思考、価値観が違うように、美しさの基準だって千差万別。じゃぁあたしは一体誰の美しさの基準に添いたいの。

透明人間、亜美の存在が大きいこの話。亜美がいるから読めます。途中ロックに犯されるところで欲情してしまうあたしは鬼畜です。ただ白粉で普通の人間みたくなれるかしら?
亜美の母親の検事とか、兄のカニ平も気になる存在。物申したい部分はたくさんありますが、失敗作という手塚の気持ちは分からなくもあり分かる気もするかな。

なにがすごいって両作とものあとがきですね。あとがきを本人が書くのはとても良いこと。他人の思い出混じりの解説なんていらない。それよりもずっと気になるし有意義。この二作は特にそう。手塚の全否定ぶりがすごい。特にキャラ否定。自分で生み出しておきながら! むごい。キャラに同情。でも正直に言う手塚が好きだし尊敬します。

アラバスターは復刊にあたり、オリジナルを掲載。全集ではカットされた50頁か50カットを復活させている。その中でロックのナルシストシーンは気になるところ。他にも何があったのかな。

感想はこんなところかな。
次は父が出してくれた『ハトよ天まで』を読みます。

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