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登校渋りの発達グレーゾーンの娘がTMS治療を受けた話 ~はじめに~

TMS治療とは何か?


最近、精神医療の広告で「TMS治療」というものを目にする機会が増えてきたと思っている方も多いのではないだろうか。
TMS治療とはTranscranial Magnetic Stimulation 「経頭蓋磁気刺激治療」の略で、ざっくり言うと磁気を利用して頭に電気刺激を与えて脳神経細胞の働きを正常にするという治療法である。
アメリカでは2008年に承認され、広くうつ病の治療法として使われている。
日本でも2019年に保険適用されたものの、適用条件の高さ、施設の少なさなどでまだまだ一般的とは言い難い。高額な自由診療でなら受けられる病院が少しずつ増えてきている。

TMS治療は発達障害に有効か?

そんな中、発達障害にTMS治療が有効として大々的に広告している病院がある。「ブレインクリニック」という病院だ。
ホームページの立派さやgoogleの口コミの星の高さから、むしろ怪しいと思われる方もいるかもしれない。そもそも発達障害は脳の機能障害であって治せるものではなく、療育でソーシャルスキルを学んでいくことが有効と考えられているのが一般的だ。
しかも躊躇したのは効果だけではなく、高額な医療費である。
これはHP上に載っていないので、病院に行って検査して初めて料金表が渡される。健康保険がきかないので、医師の勧める治療を受けようとすると最初の検査を含め65万以上の金額になる。はたしてそれだけの金額をかけて効果があるのか、我が家もこの治療を受けるかどうかかなり迷った。日本ではうつ病に対するTMS治療さえ一般的ではないのに、それを発達障害に対して行うという治療法。ネット上では専門家でも賛否両論で、まとまった体験談もほとんどなかった。本当のところはどうなのか?と思っている方に我が家の経験をどこにも忖度なしにお伝えしたい。

私の娘は転校した小学校2年生から登校渋りが始まり、学校を多々欠席するようになってしまった。年間30日以上の欠席は不登校扱いなので、3年生は不登校になる。3年生で受けたWISC検査では臨床心理士のテストだったため確定ではないものの、凸凹の激しいグレーゾーンであった。4年生の終わりごろにブレインクリニックを見つけTMS治療を始めた。最初の検査から32回の治療と最後の検査まで約1年弱。現在治療が終わって半年ほど経つ。娘がどう変わっていったのか、何が変わらなかったのか何回かに分けてこれまでの経過をお伝えしていく。

TMS治療を受けた後の娘の変化

結論から言うと、治療を受ける前と後では別人のように元気になった。
登校渋りもなくなり、ほぼ1時間目に間に合うように登校できるようになった。いつも暗く死にそうな顔をしていたが、今では学校でおもしろかったことを思い出し笑いしたりするほどだ。
ある精神科医はHPで「TMS治療は発達障害でおきる二次障害に有効なのであって、発達障害そのものを改善するものではない」という趣旨の話を書いていた。名指しこそしていないものの、ブレインクリニックのことを指していると読める。我が家が治療を始める前、ネットでTMS治療についてかなり検索したが当時この記事は見当たらなかったので、治療を始めた2021年1月以降に書かれたものと思われる。これを先に読んでいたら、治療を始めるのにかなり躊躇したに違いない。この指摘もふまえたうえでこれまで娘を観察してきたが、私には発達障害の症状そのものにも効果があったのではないかと思うところがいくつかある。といってもこの治療ですべて解決したとは言い難いところもあるが、大きな効果があったと言って差し支えないと思う。細かい話はこれから追々書いていく予定だ。

もう一つの大きな疑問は「効果の持続性」についてである。良くなるのはその時だけで、治療をやめたら戻ってしまうのではないか?という疑問だ。これも先に結論を書いておくが、効果は持続しているように感じている。
ブレインクリニックのHPでは、「一度自転車に乗れるようになったらずっと乗れるようなもの」と医師が答えているが、これは嘘ではないと実感している。治療が終わって半年たった今も、娘は元気なままでいる。
これから先、お友達とのトラブルや自分の力ではどうにもならないようなこと、はたまた受験などいろいろな困難と向き合うことになるが、これらをどれくらい乗り越えられるのかはまだ未知数だ。しかし、治療を受ける前と後ではレジリエンス(回復力)が高まったように感じている。以前だと学校が嫌だと言い出したらそこから気分が変わることなく次の日は休んでいたが、今は文句を言いながらもなんとか登校するようになった。外の人間から見たらほんの少しの変化ではあるが、たぶん本人の中では大きい変化なのだろうと感じている。

不登校や登校渋りで悩む保護者の方へ

娘がTMS治療を受けて元気になり、学校へ行けるようになった。
お友達とも良好な関係を築き、楽しそうに生活できるようになった。
当たり前のことのようで、その時の娘にはそれが難しかった。

子供が不登校や登校渋りで悩んでおられる保護者の方はたくさんいると思う。毎日毎日が戦いで、学校へ行くのか行かないのか、このまま過ごしてどうなるのか?この子の将来はどうなってしまうのか?私もストレスで心筋梗塞を起こして若くして死ぬのではないか、と思うくらい度々心臓が痛くなっていた。
私は不登校や登校渋りを全否定しているわけではない。それぞれに個々の理由があり、本人の特性で学校が嫌だと思う理由はそれぞれだからだ。娘の登校渋りが始まった時も、何か大きなきっかけがあったわけではなかった。何がつらくて学校にいけないのか、親としてそこは細かく見ていく必要性がある。これから書く記事は単純にブレインクリニックのTMS治療で不登校が治るかもという話をしたいのではない。2年生から6年生という4年間を振り返ってみて、学校に行く、行かない、または他の選択肢を選ぶにせよ「本人が生きやすくなること」が最も大事なことなのではないかと思っている。TMS治療は医学的なアプローチから「本人が生きやすくなること」に大きく貢献したと思う。その詳細をこれから書いていきたい。

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