見出し画像

モンゴルで見つけた、「大切にしている教え」

影響を受けた人の話、読んだ本でよく思い出すフレーズなど、自分の拠り所になっている「教え」を募集します!

この文章を読んで思い出したのは、モンゴルで働いていた時のことです。

モンゴルで受験指導をする

私は、モンゴルの高校で日本語教師として働いていました。新卒、20代。初めての仕事に「大人にならなきゃ、ちゃんとしなきゃ」と思いながら仕事をしていました。
この学校での特別な仕事が、日本留学のための受験指導。日本の学校で行われているような受験指導を、日本語が母語ではないモンゴル人の学生に行います。外国語で、日本人と同じような筆記・面接試験に挑むため、想像以上に大変でした。特に、日本の大学で4年間学べるよう、頑張れる力をつけること、モンゴルと日本で違うところを認識させるところが大変でした。

背中を見せてくれた、先生

大学を卒業したばかりで大した実績のない私が、年の近い学生を指導するわけですから、わからないことばかりでした。そんな時、色々教えてくれたのが、モンゴル人の先輩の先生でした。
モンゴル人の先生、といっても、日本の大学を卒業しており日本語はネイティブ。日本に留学した先輩ということもあり、受験生の信頼も絶大でした。この先生と一緒に働けるのはうれしかったですが、それ以上に覚えることやできるようになるべきことが多く、「先生がいなくなったらどうしよう?」と思いながら、できる限りのことを吸収しようとしました。

名言が飛び出す「帰りの会」

受験生は12月末になると朝から晩まで高校の教室の一角を借り、缶詰になって準備します。願書ひとつ書くにも、どこを何語で書くか、誰の名前を書くかなど確認することが多く骨が折れました。その後は志望理由書を書き、面接の練習。日本語も指導しながら、合格するよう内容を詰めていきました。
毎日、1日の終わりには「帰りの会」があり、明日の予定などを確認していました。短い期間で成果を出さなければいけないため、求められるものが多い受験生。そんな受験生を鼓舞するため、先輩の先生は帰りの会で受験生たちによく話をしていました。私も教室の後ろで話を聞いていましたが、聞き逃せない名言が飛び出るのです。私は密かにその言葉をメモし続けました。

その中で、一番私の心に残っているのは、

「思い込みは世界を変える」

という言葉です。
自分はできる、こうなる!と思い込むことで、自分が想像している以上の力が発揮できるよ、という意味だったと思います。
今読み解くと色々な読み解き方ができて、「世界」は何を指しているかだけでも、自分とその周りの「世界」なのか、自分の中の「世界」なのか、いろいろ考えられます。

私の生き方そのものだった

この言葉を聞いた時、自分の人生を思い返しました。高校の時、日本語の先生になりたいと思った私は、日本語の先生になるものと思っていました。その心には、迷いはなかった。全然先生になる方法も調べていなかったのに、なれると思っていました。そして、モンゴルで日本語の先生になりました。本当に勘違いで馬鹿だなぁ、と思いながら、思い込んでいたからこそここまで突き進めたのかもしれないと気がつきました。それ以来、「私の人生思い込みと勘違いで…」というのが私の人生の生き方になりました。

真剣に向き合うからこそ、名言が生まれる

面接指導をしていると、「この質問をされたとき、先生はどう答えますか?」と聞かれることがありました。確かに、指導する方が答えを持っていなければ裏付けのある指導はできないと思い、私も面接を受けられるよう準備をするようになりました。実際に受験生が面接官役になり、面接を受けたこともあります(受験生が10人ぐらい見ていたので恥ずかしかったですが…)。
受験指導は受験生の人生を預かっています。私の指導如何で合否が決まってしまうかもしれません。特に、日本に留学するには受験費用が莫大にかかります。飛行機代と滞在費だけでも、親の給料数ヶ月分になることもありました。そんなプレッシャーの中頑張る受験生に対してできることは何か。大学卒業してすぐの私には、真摯に向き合うことしかできないと思いました。だからいつでも面接ができるように私も準備したし、日本の大学で通用するか考えて受験生の様子を観察しました。
そうやっていると、「こうしてほしい」「こうなってほしい」という言葉が出てきます。それが先輩の先生の名言になっていたんだなぁ、と思いました。私がその後名言を発したかはわかりませんが、よく受験生の前で説教めいた話をしていたのは覚えています。

新卒1年目で聞いた、先輩の先生の名言は今もノートに残っています。受験生にあてた言葉ですが、長い人生のどこにも通ずるような言葉ばかりで、ボロボロのノートは私の宝物になっています。

#大切にしている教え

いただいたサポートは、お茶菓子代に使わせていただきます。いつもギリギリで生きているので、いただいたサポートの分、息抜きしたいと思います。