日本語教師になってから実感した、学部で日本語教育を専攻した意義と難しさ
日本語教師になるには、いくつかの方法があります。私は、大学で日本語教育を専攻して日本語教師になりました。なってみて感じたこと、まとめます。
日本語教師になる方法
現状、日本語教師になるには3つの方法があります。
①大学で専攻・副専攻
②日本語教師養成講座(420時間の講習)を受ける
③日本語教育能力検定試験に合格する
私は①で、学部時代に日本語教育を主専攻にして4年間学びました。現状、というのは、現在日本語教師を国家資格にするなどの動きがあり、今後は変更があるかもしれません。
学部で専攻してよかったこと
4年間じっくり学べた
日本語教育をはじめとする学問を4年間学べたのはよかったと思います。日本語教育をはじめ、関連する言語学などを少しずつ、順番に学べたのはよかったと思います。レポートや発表など、自分で考えてまとめる機会も多かったので、身についたものも大きかったように思います。
また、その専門について研究している先生から学ぶことができたのも、いろいろな分野について見識を深める機会になったと思います。日本語教育に直接関わらない分野(私は日本文学やアメリカのことについても勉強していました)や、英語で日本文化を留学生と一緒に学ぶなど、いろいろな学び・体験と日本語教育を結びつけて学ぶことができたのも大学の醍醐味だったと思います。
現場を見るチャンスがあった
私が通っていた大学には留学生向けの日本語授業があり、見学や参加ができました。2年生ぐらいから、ある先生の授業に参加していました。自分の近くで現場を見ることができたのも、よかったと思います。
実際に教える側になってみると、毎回の授業に日本人がきたりこなかったりというのは結構大変だし、自分の授業に入ってもらうというのは結構な覚悟が必要なので、ありがたいことだったと思います。また、大学の授業1学期(15回)を連続して見ることで、授業の流れや評価へのつなげ方、学生との関係の気付き方や成長も知ることができました。1回の見学ではなく、学期を通して見学することで、またただ見学するだけでなく実際に授業のサポートをすることで分かったことがたくさんありました。
インターンシップができた
私は1年間海外の大学で日本語を教えるインターンシップを行いました。大学に在籍しながらインターンシップができるのも、大学の強みだと思います。私はたまたま交換留学で行けたので単位も(ちょっとだけど)ついたし、よかったです。
学部で専攻して難しかったこと
苦手科目は避ける
大学では単位を取らなければいけないので、私は苦手科目を避けました(ダメですねぇ〜)。取りたい科目を選べるともいえますが…私は日本語の音声学を取らなかったので、日本語教育能力検定試験を受けたときに音声パートで苦戦しました。いまだに発音は苦手で、英語でもインドネシア語でもrとlは適当にやり過ごして生きています。避けずに取っておけばよかったかなぁ、と思います。受ける授業を選択できる分、好きなものを取りがちだよなと思います。
取れなかった科目がある
私はカリキュラム論を取りたかったのですが、留学や他の授業と重なって結局取れませんでした。それ以外にも、科目名を見て「取りたいな」と思っても閉講していたりして…自分で勉強すればいいんですが、大学の授業で他の学生とディスカッションしたり考えながら学べるって特別なので、「取り損ねた!」という授業はいくつもありました。
特に、日本語教育の科目は「ただ座って聞く」という授業が少なくて、周囲とディスカッションしたり発表したりする授業が多かったので、授業をとる意義が大きかったです。
同志が少なかった
大学で日本語教育を専攻しても、日本語の先生になる人は少ないです。私の同期でも数人しかいないんじゃないかな?(そのうちの一人は留学生だし…)。結局就活して普通に就職しがちで、日本語教師について話ができる友達は少なかったです。日本語教師養成講座だったらみんな日本語教師を目指して受講するからそこが違うかな、と思います。
学部で専攻した意義は「研究者のたまご」になったこと
学部で専攻して何がよかったか?結局、即戦力にもなれなかったし(インターンシップしたからかなりマシだったけど、それでも即戦力だとは思わなかった)、4年間で何がよかったんだろうと思うんですが、日本語教育の諸分野を学問的に学べたことがよかったと思います。ただの知識じゃなくて、研究としてはこうですよ、とか、研究に基づくとこうですよ、とか、そういう視点で学べたことも多かったと思います。
それをまとめると、日本語教師としてではなく「日本語教育の研究者のたまご」としての教育を受けていた、といえばしっくりくるような気がします。その後研究者になるかは別として、その土台をいろいろな先生から学んだような気がします。私は大学院にも行きましたが、研究は得意じゃないんです(笑)。でも、その中でも大学の4年間で学んだことを活かして授業を受けることができたように思います。
とにかく日本語を教えたいなら420時間が早いと思いますが、この先ずっと日本語教育で食べていきたい、教えるだけじゃなくていろいろなことをしたいというなら学部で専攻する意義があるのかなと思います。高校生の頃はそうは考えていなかったけど、私は学部で専攻したことが仕事につながっていて、学部で専攻したことが仕事でもいかせているのがうれしいです。
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