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吉田博展と郷愁

上野に所用で訪れたところ、東京都美術館で吉田博展をやっていたので急遽予定を変更してみにいくことに。

数年前、新宿駅の京王線とJR線の連絡通路で吉田博展のポスターが貼ってあって思わず足を止めた。その時の展示は残念ながら都合がつかず行くことができなかったので、こうしてまた訪れる機会に恵まれて本当に嬉しかった。


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吉田博の版画からは自然に対する畏怖と敬愛がひしひしと伝わってくる。


山の雄大さ、海の煌めき、空の表情の違い


吉田博はホイッスラーなどの西洋画に対し、「自然を尻に敷いている」と評し、自身は「自然を崇拝する側に立ちたい」と述べていることからもよくわかる。

また版画ならではだが、同じ版木を用いて数枚の絵で時間の推移を表現しているのは素敵だった。

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吉田博の描く空と山がすきだ。

私は群馬の平野部の出身なのだが、住宅と田畑しかないため、空を遮るものがなく、子供の頃は空が茜色になってきたら帰っていた。

また群馬は赤城・榛名・妙義・浅間と山々に囲まれており、県民には山で方角がわかる人が多いほど、山は親しみのあるものだった。

群馬で過ごした18年間を思い出させてくれる、そんな版画だったのだ。だからほっとするし、惹かれるのだと思う。

今となっては時間を教えてくれるのは空ではなくスマホのロック画面で、方角のことなど考えない生活を送っているが、吉田博の絵を見て群馬に帰りたくなった。

最後は地元の風景で。

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