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【選挙ウォッチャー】 奥多摩町議選2019・分析レポート。

11月10日告示、11月17日投開票の選挙で、実は、僕が最も力を入れて取材したのは奥多摩町議選でした。ツイキャスでは1日しか中継していないのですが、実は、2日かけて取材しているのが奥多摩町議選です。実はこの奥多摩町議選なんですが、NHKから国民を守る党から規格外のアホが立候補することはなかったのですが、幸福実現党が候補者を擁立し、まさかの当選を果たしています。これで幸福実現党の議員は全国に38人となってしまい、着々と議員の数を増やしています。盛岡市議選で幸福実現党の議員が当選したことは皆さんにもお伝えしましたが、またしても当選の報を皆さんにしなければならなくなりました。

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今年の奥多摩町議選は、定数12に対して16人が立候補する激戦となりました。親戚が多い人が自動的に当選するような田舎の選挙なのですが、やはり16人が立候補するというのは少し多いです。なので、各選挙事務所に行って「激戦だけど、大丈夫なんですか?」と質問してみたのですが、どの陣営も余裕の表情。それもそのはず、このうち3人が泡沫候補で、さらにその中の2人は100%当選することがあり得ない人物だったのです。なので、見た目は激戦のようなのですが、実際のところは通常と変わらない選挙だったのです。


■ 町議選の争点になる「奥多摩病院」の廃止

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実は、奥多摩町には非常に深刻な問題があります。それは厚生労働省が発表した指針により、奥多摩病院が廃止されるかもしれない問題です。全国的に医師や看護師が不足する中、人口約5000人の小さな町の病院を維持するのは難しく、奥多摩病院は廃止の対象になっているのです。そして、もし奥多摩病院が廃止されることになると、奥多摩エリアのハイキングコースで事故が起こった時に、車で約40分かけて青梅市内の病院に搬送しなければならなくなり、一刻を争う患者がいた時に、青梅市の病院では間に合わない可能性があります。

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高齢化が進んでいることもあり、住民にとっても唯一の病院がなくなってしまうのは痛手だと思いますが、ハイキングを楽しむ世代もまた中高年であることを考えても、奥多摩病院の存在は非常に大きく、もしやむを得ずに廃止されることになったとしても応急処置が可能な環境は整える必要があり、119番の通報から病院で処置を受けるまでに1時間以上かかるかもしれない環境は健全とは言えません。ドクターヘリのヘリポート建設など、1分1秒でも早く病院に送り届けられる環境を整えることは不可欠であり、果たして奥多摩町議たちにアイディアを出し、それが実現するまでの実行力があるのかということが試されています。

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ちなみに、この奥多摩病院の問題を公約に掲げているのは、16人の候補の中で共産党の大沢由香里さんだけでした。というのも、ほとんどの町民は奥多摩病院が廃止の対象として名前が挙がっていることすら知らず、廃止される日が来て初めて知らされるかもしれないからです。共産党というのは、時に多くの人が気づいていない重要な問題を語ってくれていることがあるのですが、共産党はどこもかしこも票が減っていて、安倍政権になってネトウヨが隆盛を極めるようになった結果、反共ムードが広がり、どの町でもほぼ例外なく共産党が票を落としています。奥多摩町でも大沢由香里さんの獲得できる票は減っており、4年前は376票だったのに対し、今年は233票しか獲得できませんでした。減少率は38.1%となり、かなり深刻な減り方をしています。

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ネットだけでなく、アナログ的にも「反共ムードは広がっている」というのが僕の肌感なのですが、38.1%という驚異の下落率を見る限り、その原因がムードだけであるとは思えません。長年にわたって共産党を支持してきた人たちが物理的に選挙に行けなくなっている。そう考えるのが自然かもしれません。共産党の選挙を見てつくづく思うことですが、どこもかしこも爺さん婆さんばっかり。4年経ち、8年経ちをすれば、この人たちは選挙に行けなくなってしまう。公明党も高齢化は進んでいますが、世代的に共産党の方が高齢化が深刻であると言えるかもしれません。しかも、公明党は2世や3世がいますが、共産党は宗教ではないので子や孫に引き継がれず、支持者が急速に減り、日本のリベラル層(というか、今は一番の保守)がどんどんいなくなっているのだと思います。この奥多摩町議選は、今のヤバすぎる日本の状況を象徴的に示しており、自治体としてはかなりマニアックなのですが、ぜひ皆さんに読んでいただきたいレポートです。


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