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【選挙ウォッチャー】 稲沢市長選2020・分析レポート。

11月15日告示、11月22日投開票で、愛知県の稲沢市長選が行われました。名古屋市の隣に位置し、新旧さまざまな住宅が建ち並ぶベッドタウンという感じでしたが、恥ずかしながら、僕は取材するまで稲沢市の存在を知りませんでした。選挙を通じて、どんどん全国の自治体に詳しくなっていきます。さて、今回の稲沢市長選なんですが、立候補しているのは、実質的に自民・国民推薦の現職、共産推薦の新人の2名です。このような構図になってしまった時点で、ある意味、選挙をやる前から結果が決まっているような選挙だと表現していいかもしれませんが、実際、取材をしてみたら、本当に選挙をやる前から結果が決まっているような選挙だったので、このレポートは完全に100円コースです。ただ、現職の加藤錠司郎さんの応援に大村秀章知事がお見えになっていたので、せっかくなので河村たかしさんと高須克弥さんが進めていたリコール運動についても触れておこうと思います。というわけで、このレポートは少しだけ金額が上がります。

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加藤 錠司郎 65 現 実質的に自民・国民が応援
渡辺 幸保  69 新 共産推薦

一応、加藤錠司郎さんは「無所属」ということになっていて、表向きはどこからも推薦をもらっていないことになっているかもしれませんが、実質的には自民・国民推薦だと見ています。いろんな人からガチガチに応援されまくっているので、ほぼ敵がいないと言ってもいいと思います。一方の渡辺幸保さんは、純粋な共産党の候補者で、独特のコミュニティーの中にいます。愛知県の共産党が強いと聞いたことはありませんし、見た瞬間に力の差が歴然すぎて、もはや何のために立候補しているのかが全然わからないぐらいに闇が深いことになっています。


■ 大村秀章知事のリコール運動は不発に終わる

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今回の稲沢市長選には、愛知県の大村秀章知事の姿もありました。大村秀章知事といえば、最近まで「高須クリニック」の高須克弥さんと、名古屋市長の河村たかしさんが中心となってリコール運動をしていたわけですが、結果的には全然署名が集まらず、それどころか、水増ししていた疑惑が浮上するなど、かなり大きなトラブルに発展しつつあります。そもそも、どうして高須克弥さんや河村たかしさんが、大村秀章知事をリコールしたい気持ちになったのかと言えば、2019年の「あいちトリエンナーレ」の中に「表現の不自由展」というものがあり、そこに慰安婦像などのネトウヨの皆さんが発狂するような展示物が置かれていたからです。「こんなものは今すぐに撤去しろ!」と訴えるネトウヨに対し、大村秀章知事は「表現の自由を担保する上で、慎重にならなければならない」という態度を示し、ネトウヨが「反日だ!」と発狂。「大村秀章知事のココがダメだ」を並べ、リコール運動に踏み切ることになったのでした。

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そもそも愛知県の人たちは、大村秀章知事のことを好きでもないかもしれませんが、嫌いでもありません。「こんな知事は今すぐに辞めさせた方がいいんだ!」と言っているのはネトウヨぐらいなもので、だいたいの人には不満がありません。2019年の愛知県知事選では、得票率83.32%、177万票以上を獲得して圧勝しているのです。ライバルの新人が共産党の候補だったとはいえ、獲得した票数は35万5311票。高須克弥さんや河村たかし市長は、100万人の署名を集めてりリコールをするつもりだったようなのですが、このハードルはかなり高く、2人で頑張ったところで、大きなムーブメントにはなりませんでした。それより大きな問題は、河村たかし市長がこんなリコール運動にかまけていたせいで、名古屋市の新型コロナウイルス対策がちっとも進まず、大阪と並んで非常に逼迫した状態になっているということです。バカが市長をしていると、その町は滅びます。これだけは皆さんの肝に銘じておいてほしいのです。


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