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【選挙ウォッチャー】 東京都議補選2020・北区選挙区レポート。

7月5日に行われた東京都知事選は、小池百合子さんの圧勝という形で終わり、あまり面白みのある結果ではなかったのですが、同時に行われた東京都議補選は、なかなか白熱した戦いが繰り広げられており、こちらはなかなか見どころがあったと思います。今年は、全部で4ヶ所で東京都議補選が行われました。その中でも一番の激戦区だったのが「北区」です。ここでは自民党、立憲民主党、日本維新の会、都民ファーストの会が、それぞれエース級の候補を擁立しており、来年の都議補選も見据え、力の入り方がだいぶ違いました。特に、都知事選で小池百合子さんに相乗りせざるを得なかった自民党にとっては、都民ファーストの会と激突する北区の都議補選は絶対に落とすことのできないプライドがかかった選挙となり、完膚なきまでに叩きのめすために国会議員を総動員。立憲民主党も枝野幸男さんや蓮舫さん、福山哲郎さんといったオールスターメンバーが揃い、かなり華やかな選挙になったのでした。本当はこの4人で十分だったのですが、ここに反知性派カルト集団の「ホリエモン新党」が殴り込みをかけてきたため、ますます僕がお伝えするべきレポートになってしまいました。たっぷり書きたいと思います。

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山田 加奈子 48 新 自民党
斉藤 里恵  36 新 立憲民主党
佐藤 古都  32 新 日本維新の会・あたらしい党
天風 いぶき 32 新 都民ファーストの会
新藤 加菜  27 新 ホリエモン新党

欠員1のところに5人が立候補してきました。自民党の山田加奈子さんは、北区議選でトップに近い成績で当選しているベテラン。斉藤里恵さんも北区議選でトップ当選を果たした実績があり、昨年の参院選では比例区で立候補し、国会議員を目指しました。日本維新の会・あたらしい党が推薦している佐藤古都さんは、北区長選に挑戦した音喜多駿さんの元ボランティア。知名度がない分、誰よりもドブ板をこなしてきました。そして、都民ファーストの会から立候補してきた天風いぶきさんは、元宝塚歌劇団宙組の男役。小池百合子都知事の秘書を経験し、このたび、電撃出馬となりました。ここに反知性派カルト集団「ホリエモン新党」が、昨年から密かに関わりがあったという配信者「ゆづか姫」こと新藤加菜さんをぶち込んできました。当初から立候補を表明していた4人の候補者は、社会経験もあり、まさに「才色兼備」といった感じの大人の女性たちだったのですが、ここにいきなり下品な女が出てきてしまったので、本当は「知性」「政策」で勝負する戦いだったのに、こいつのせいでただの「ビジュアル戦争」みたいな感じで報じられるようになってしまい、まさに迷惑千万。政治はうだつの上がらない人間たちのキャリアアップのためにあるものではありません。


■ 衆院選・東京12区の前哨戦だった

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衆院選において、東京12区となる東京都北区は、少し特殊な選挙区であると言えます。というのも、ここでは自民党や立憲民主党が立候補せず、公明党と共産党がバチバチに戦う場所となっているからです。どうしてこんなことになっているのかと言うと、北区には赤羽周辺に公営団地がたくさんあって、ここに創価学会の信者がたくさん住んでいるからです。一方で、共産党を支持する高齢者も多く、少し様子が違うのです。

【2017年の衆院選・東京12区】
[当]太田 昭宏 72 公明党 11万2597票
[落]池内 沙織 35 共産党  8万3544票
[落]中村 勝  66 ゼロ会  2万1892票

野党共闘がどれくらい進むかにもよりますが、おそらく次回の衆院選も同じような構図になることが予想され、今回の東京都議補選は、自民・公明が推薦する山田加奈子さんと、共産・立憲・社民などが推薦する斉藤里恵さんがどれくらい票を取るのかがポイントになっていました。

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公明党は2012年、14年、17年と小選挙区を勝利してきた現在75歳の太田昭宏さんについて「小選挙区で戦うには体力的に厳しくなってきた」として、次回の衆院選では岡本三成さんを擁立することを発表。太田昭宏さんを比例ブロックに回す計画を立てています。創価学会の信者の皆さんにとっては、人が誰になっても公明党であれば投票すると思いますが、今回、山田加奈子さんの第一声では太田昭宏さんの挨拶の際に、後継者である岡本三成さんも来ていて、しっかり顔を売っていました。そんな少し特殊な街であることを踏まえていただいた上で、これからのレポートを読んでいただきますと、ますます楽しめるのではないかと思います。


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