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【選挙ウォッチャー】 和歌山県知事選2022・分析レポート。

 11月10日告示、11月27日投票で、和歌山県知事選が行われ、新人3人の戦いとなりました。現職の仁坂吉伸さんが家族との時間を大切にしたいということで引退することになったのですが、事前に情報をキャッチしていたのか、岸本周平さんは仁坂吉伸さんが引退を表明する前から出馬宣言しており、のちに自民党が独自候補の擁立を検討することになるのですが、二階俊博と世耕弘成の戦いが始まってしまい、調整がつかず、結局、岸本周平さんを推薦する形でまとまりました。
 ご存知の通り、仁坂吉伸さんは「新型コロナウイルス対策をしっかりできている世にも珍しい知事」だったため、和歌山カジノ推進論者でありながらも、コロナ対策では2年連続の「Aランク」に評価されていました。

 すぐ隣に「コロナ対策として、子ども1人につき米10kgを配ろう」と言ってしまう極限のアホがいる中、仁坂吉伸さんは「なるべく入院できるようにする」という徹底した県民目線のコロナ対策を実施。知事として頻繁にメッセージを発信するなど、非常に素晴らしいコロナ対策を実施していました。
 個人的には、仁坂吉伸さんに「もっと知事をしてほしかった」と思いますが、こればっかりは仕方がありません。素晴らしい知事が引退されることは残念ですが、人生を有意義に過ごしてほしいです。おつかれさまでした。

岸本 周平  66 新 自民・立憲・国民・社民推薦
松坂 美知子 66 新 共産推薦
本間 奈々  53 新 無所属(新党くにもり)

 日本のコロナ対策は、ある意味、各都道府県の知事に委ねられてしまった状態にあります。何一つ拘束力を発揮せず、補償が出るわけでもない「メッセージとしての医療逼迫宣言」を出すか出さないかも、知事が決めることになります。出したところで何というわけでありませんが、県民に危険を知らせるかどうかは重要です。「仕事のできる知事」を選ぶことは、とても大切なことです。
 ぜひ素晴らしい仁坂吉伸知事のコロナ対策を、そのまま引き継ぎ、さらにブラッシュアップして和歌山県民の命と健康を守っていただきたいと思うところですが、今回の和歌山県知事選は、選挙が始まる前から結果が決まっているようなものでした。


■ 松坂美和子候補の主張

 和歌山県の共産党は、松坂美知子さんを擁立してきました。
 和歌山市で生まれ、お茶の水女子大学を卒業後、楽器メーカーの社員として働き、茨城県の稲敷市議として8年働き、その後、2011年からは和歌山市議として2期連続当選。2019年には和歌山県議選に立候補しましたが、こちらは落選。現在は共産党和歌山県委員会の常任委員です。
 二階俊博が「自民党王国」を築き上げている和歌山県で、共産党の力は非常に弱く、今回は「新党くにもり」よりも票を取れずに終わってしまいました。ポスターに「カジノはノー」と書いていますが、和歌山県のカジノ構想は現実的ではなくなり、もう誰も話題にしなくなってきています。

ビジュアルが完全に「和歌山の共産党」という感じである

 松坂美知子さんは、全身から「共産党」のオーラが出ています。
 ぶっちゃけた話、ここでは誰も共産党を相手にしていないので、地元紙でさえ、ほとんど相手にしていません。なので、陣営の皆さんも、取材そのものを珍しがっており、どう対処していいのかが分からない感じでした。何かにつけてアホのネトウヨから攻撃される共産党なもので、ネトウヨなのかと思いつつも、「ネトウヨがこんな所まで来るかね?」という感じで、本当に得体の知れないものとして扱われた印象です。
 松坂美知子さんの主張は、いつもの共産党の主張です。良くも悪くも判で押されたように同じことを主張する共産党なので、「県民目線の温かい県政を目指す」という話をしていますが、期待感は一切ありません。この勝負に勝てる予感もしないのです。

街頭演説会には、近所の爺さん婆さんが数人集まっていた

 もはや哀愁すら漂ってきますが、松坂美知子さんの街頭演説では、共産党支持する近所の爺さん婆さんが数人集まり、ベンチやパイプ椅子が用意されていましたので、膝にも優しい感じでした。
 しかし、若者は皆無。さながら「老人クラブ」のようで、この人たちがいなくなったら、共産党はおしまいです。若い人たちに思想が引き継がれていないので、かなり危機的な状態にあると言えましょう。

いつもと変わらぬ支持者の広がらない選挙を惰性でやっているだけである

 共産党の選挙からは、若い人たちに支持されるための「戦略」のようなものを一切感じません。どうせ勝てないにしても、この選挙をキッカケに多くの人に「共産党は、こんなに素晴らしい主張をしているんだ」ということを知ってもらわなければならないと思いますが、「どうせ負けるにしても、前に倒れたい」という精神すらないので、いつもと同じことを淡々と繰り返すだけです。
 今回、カルト的な主張をしていた「新党くにもり」より票を取れなかったのは絶望的であり、爺さん婆さんに期待できるアイディアなんぞ一つもないかもしれませんが、座して死を待つようなことがあってはならないのではないかと思わずにはいられません。


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