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【選挙ウォッチャー】 NHKから国民を守る党・動向チェック(#247)。

 今年は新型コロナウイルスの影響で苦しい経営を迫られる企業が多く、ボーナスゼロ、あるいは、ボーナスを減らされてしまう人も少なくない。ボーナスがもらえないぐらいならまだマシな方で、9月に入ってからは「コロナ倒産」が月100件以上にのぼり、失業をしたり、新しい勤務先が見つからず、路頭に迷う人がたくさん出てきている。
 そんな中、ジワジワと増えているのがSNSを使って「お金配り」をする人たちだ。条件はさまざまだが、だいたいはTwitterをフォローし、さらにはリツイートした人の中から抽選で選ばれる。元ZOZOTOWN社長の前澤友作氏がその代表格だ。
 前澤友作氏の場合は、自分で稼いだお金の中から「趣味」としてお金を配っており、世の中には変わった趣味を持つオジサンはたくさんいるということで、犯罪でもないし、誰に迷惑をかけているわけでもないのだから、勝手にやったらいいという話なのだが、これと似たようなことを国会議員がやり始めた場合には、まったく意味が異なってしまう。


■ N国党副党首・丸山穂高がSNSでお金を配る

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【お金が本当に必要な方へ】
前回同様に議員ボーナスの中から10万円ずつ7名の方へ直接お渡しします。12月19日までに
①丸山をフォローして
②このツイをリツイート
③希望する使い道をコメントか返信で記載して下さい。
丸山よりDMが届けばそこで話を前へ。
必ず事前に下記添付説明をお読み下さい。

 連日、トラブルしか起こしていない「NHKから国民を守る党」で副党首をしている丸山穂高が、300万円以上もらえる国会議員のボーナスは高いとして、10万円ずつ7名、総額で70万円をフォロー&リツイートをした人に配るというツイートを始めた。まさに、前澤友作氏がやっているアレと同じである。
 冒頭にも述べたが、前澤友作氏がやっている「お金配り」は自由だ。前澤友作氏が自分で稼いだお金をどのように使おうと、どんな理由で誰に配ろうと、そんなものは前澤友作氏の自由である。しかし、丸山穂高の場合は全然違う。原資が我々の「税金」だからである。
 小学校の社会で習うほどの知識も欠落しているようだが、国会議員というのは、国民の暮らしを良くするために各地から国会に送り込まれている。まさに今、最前線で命を懸けて働いているのに給料がちっとも上がらない医療従事者の声や、コロナのせいで首が回らなくなってしまった零細企業の社員や社長の声を届け、きっちりとした政策を実現するのが「仕事」である。
 例えば、新型コロナウイルスの重症患者を手当てしている看護師さんたちが、自分が感染してしまうリスクとも戦いながら、目の前の命を救おうと頑張ってくれているのに、病院の経営が苦しくなっているものだから、給料が上がらないどころか、まともにボーナスももらえないというのが今のニッポンの状況だ。当然、病院を離れる看護師さんは後を絶たず、ただでも足りない受け入れ可能な病床数が減りかねない事態に陥っている。そんな時に、政府が医療従事者に対してお金を配ろうと決めたとして、一体、どれだけの人が反対するだろうか。
 政府が医療従事者にお金を投入し、自分の家族に感染させないようにと半ば一人暮らし状態でコロナと向き合っている看護師さんたちが、もし一時的にリッチな暮らしをしたからといって、ずるいと思う人は少ないだろう。それだけお金がもらえるなら復職しようという看護師さんが出てくれば、受け入れ可能な病床数が増えて、手厚いサポートを受けられるようになり、救われる命も増えるかもしれない。その救われる命は、私かもしれないし、私の両親かもしれない。「お金を配る」ということが私たちの安心できる暮らしにつながる。これが「政治」である。
 ところが、丸山穂高がやっていることは何なのか。お金を配るという点では同じかもしれないが、それは苦しい生活を強いられている国民の足元を見た、卑しさ満点の「宣伝行為」である。


■ 金が欲しけりゃ靴舐めろ!

 世の中には、本当にお金がなくて困っている人はたくさんいる。今年は特に厳しい状況に置かれている人は多い。そんな中、国会議員が開催した「お金配りキャンペーン」は、まるで「金が欲しけりゃ靴を舐めろ」と言っているに等しい。
 お金をもらうためには、まず丸山穂高のTwitterをフォローしなければならない。どれだけ丸山穂高のことが嫌いでも、お金が欲しければ、その小さなプライドを捨てて跪けというわけである。それだけでは終わらない。お金が欲しければ、丸山穂高様がお金を配っていらっしゃることを自分のフォロワーに宣伝し、さらには、どうしてお金が必要になってしまったのかを明かさなければならない。どうしてお金がないのか、どんな環境に置かれているのか、シングルマザーなのか、会社を解雇されたのか、なぜ貧困に陥っているのかを、恥ずかしながら、その経緯を赤裸々に語らなければならない。
 しかし、10万円がもらえるのは、たったの7人。多くの人は、丸山穂高をフォローし、丸山穂高の宣伝を担い、お金に困るようになった経緯を恥じらいながらも世界に晒し、1円ももらえない。ただ多くのマイナスを背負わされただけで、何のメリットもない。たった7人を幸せにするために、とても多くの人を不幸にする構造を、国会議員自らが作り出しているのである。

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 丸山穂高は、ボーナスの3分の1を「お金配りキャンペーン」に使い、残りの3分の2は医療機関に寄付するとしている。最初から医療機関に全額寄付すればいいものを、なぜ「お金配りキャンペーン」をしているのか。表向きは問題提起のためだと言っているが、結局、フォロワーを増やし、丸山穂高がお金を配る「オモシロ企画」をやっていると多くの人に知ってもらいたいという卑しい気持ちに他ならない。ただ困っている人にお金を配りたいだけなら、わざわざフォローさせる必要はない。リツイートをすればするほど倍率が上がり、もらえなくなってしまう可能性が高まってしまうので、それなら「いいね」の方がいい。あえて自分に当たる確率を下げさせてまでリツイートを要求するということは、すなわち丸山穂高の宣伝だ。ましてや公選法違反が心配なので、近畿地方で暮らしている人には当たらないという。そう言っている時点で、実に不公平な制度だ。
 丸山穂高のツイートには、多くの生活困窮者から生々しい声が寄せられている。ある人は、母の認知症が進行し、介護のために休職を相談したら退職を勧告され、再就職を目指すが蓄えがなくて困っている。ある人は、母子家庭でお金がないのに暖房が壊れ、子供たちも朝が寒い。もっと贅沢を言うならクリスマスケーキやチキンを食べさせてあげたい。ある人は、派遣切りに遭って心身ともにボロボロで、体を売ることさえ考えている。ある人は、父が肺がんを患い、入院や通院治療を支えるために母も自分も働き詰めで、母は10年も前に亡くなった姉の墓参りができていないから、せめて元気なうちに墓参りをさせてあげたいという。どの訴えも切実で、藁をも掴む思いで応募しているはずだ。
 本来、丸山穂高がやらなければならないことは、こういった人たちを一人でも多く助けるために、与党にも、野党にも、メディアにも働きかけ、1ミリでも2ミリでも解決に向けて「政治を動かすこと」である。しかし、丸山穂高はこうした悲痛な叫びの中から、ただフィーリングの合ったものを7つピックアップし、10万円を振り込むだけである。「国会議員のボーナスが高すぎる」という丸山穂高の主張が多少伝わったところで、訴えている人たちの暮らしが良くなることはない。
 どれだけ炎上しても「話題になった」と喜ぶだけの迷惑系YouTuberたちの政党であるがゆえ、私がこうして記事にしたことも、まんまと引っかかって大きな話題にしてくれたと喜ぶことだろう。しかし、私が書いているのは丸山穂高の主張ではなく、丸山穂高という国会議員が、生活に困窮している庶民の足元を見て自己顕示欲を満たす最低の人間だということだ。
 例えば、こうした苦しい生活をしている人たちにとって、NHKの受信料というのは非常に重たい負担になっているはずだ。なのに、NHKの受信料問題に取り組むというワンイシュー政党でありながら、今日の今日までろくすっぽ進展がない。この問題を自民党が多少頑張っているが、それは自民党の努力であって、NHKから国民を守る党のお手柄ではない。ましてや丸山穂高の影響力なんて1ミリもない。たまに過激なことを言って紙面を賑わせたり、非常識な行動をやって炎上するだけの「迷惑系YouTuber」でしかないのだ。


■ 問題はボーナスではなく辞職しないこと

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 確かに、庶民の目から見れば、国会議員のボーナスが高く思えるかもしれない。しかし、もし国会議員がちゃんと仕事をしてくれて、コロナ禍にあっても私たちの生活に不安がなく、安心して暮らせるような社会を実現してくれるのであれば、1億でも2億でも好きなだけ報酬をもらったらいいという話になるだろう。もっと多くのボーナスをもらっている敏腕サラリーマンは国会議員より多いはずで、たかだか300万円のボーナスを高く感じてしまうのは、丸山穂高をはじめ、多くの国会議員が「金額に見合っていない」と思えるような働きしかしていないからだ。
 まさに刑事事件として起訴されている河井案里・克行被告や、秋元司被告が議員報酬やボーナスをもらっていることだって、自らの失敗のせいで国会を全欠席しなければならない状況に追い込まれながら、いまだに国会議員を辞めていないことが大問題なのだ。これはもうボーナスが高いとか安いとかいう問題ではない。どいつもこいつも裏金に手を染めてしまった議員たちが責任を取って議員を辞めれば解決する話だ。
 アジャパーなのは丸山穂高の頭の方だろう。


■ 70万円なんてセコいことを言わなくていい

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 もし困っている人を本気で助けたいと言うのなら、丸山穂高が代表を務めるNHKから国民を守る党近畿支部がお金を出せばいい。昨年だけで1000万円以上に政党交付金が支給されているし、おそらく今年は2000万円以上の政党交付金が本部から振り込まれているはずだ。
 ということは、10万円を7人にあげるなんていうセコいことを言わずとも、もっともっと大きなお金を使って、国民の生活をラクにする方法があるはずだ。政党交付金ということでお金の使い道には制約があるが、これまで法の抜け穴を突いて自由にお金を使ってきた人たちだ。70万円なんてセコい金額ではなく、いっそ3000万円ぐらい出すべきだろう。
 丸山穂高は政党支部に入っているお金をどう使うのか。国会議員のボーナスが高すぎると文句をつけるほど税金の使い方にシビアなのだから、まさか自分の政治団体をもう一つ作ってマルッと寄付するようなことはするまい。さぞかし立派であろう丸山穂高のお金の使い方に期待したい。


■ 国会議員のボーナスより大きな問題

 国会議員のボーナスより、NHKから国民を守る党が受け取っている政党助成金の方が、圧倒的に大きな問題だ。同党は年間約1億6000万円もの巨額の税金が投入されているが、昨年は約1億3000万円が無職のオジサンである立花孝志や立花孝志の会社に貸し付けられている。今のところ、立花孝志に収入らしい収入はなく、貸し付けたお金がきちんと返ってくるかどうかは、かなり怪しい。
 丸山穂高は、そんな「NHKから国民を守る党」の副党首である。党首の不透明なお金には突っ込まず、「国会議員のボーナスが高い」などと主張しているのだから、他人のボーナスにとやかく言う前に、身内のお金の流れを正すべきだろう。ましてや、大臣や官房長官のボーナスと、たいした責任を背負うわけでもなく、端っこで東スポの記事にしかならない文句を言っているだけの末端ヒラ議員のボーナスでは、レベルが違う。果たして、7人に10万円を配るという使い方が本当に国民のためになるのだろうか。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

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 丸山穂高が北方領土で酒を飲んでトラブルを起こし、加えて当時の安倍晋三総理が外交に失敗した結果、巨額のお金をロシアに取られたばかりか、日本の領土であるはずの北方四島がますますロシアのものになりつつある。つまり、丸山穂高が日本国に与えた損害というのは、たかだか70万円を庶民に配るぐらいでは到底償いきれないほどの、国のために100万回命を捧げても取り返せないほどの、とてつもなく大きなものである。
 本来、丸山穂高に与えられる議員報酬やボーナスなんぞ1円たりともないはずで、国会議員がもらっているボーナスが高い安いの次元ではない。責任を取るでも、反省するでもなく、庶民にたかが70万円を配って喜んでいる迷惑系YouTuber政党の副党首。そもそも断罪されずに国会議員として生き残っていることが税金の無駄だというものである。丸山穂高がとっとと辞職をすれば、少しは税金の無駄が減らせるというものだろう。

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