【選挙ウォッチャー】 衆院選2021・大阪10区レポート。
10月19日公示、10月31日投開票で行われた今回の衆院選で、良くも悪くも驚きを与えた選挙区が「大阪10区」になろうかと思います。ここは長らく辻元清美さんが選出されてきた選挙区ですが、なんと、ここでも日本維新の会が圧勝したのです。事前の情勢では「辻元清美さんだけは残るのでは?」という空気だったのに、比例復活もできないくらいに維新が勝ってしまうのですから、「辻元清美さんが負けた」という衝撃より、どれだけ強い維新の風が吹いていたのかという話だと思います。
大隈 和英 52 現 自民党(公明推薦)
辻元 清美 61 現 立憲民主党(社民推薦)
池下 卓 46 新 日本維新の会
衆院選の後から「維新」の風が吹き荒れ、「なんとなく維新」の勢力は拡大する一方です。維新が何をやったわけではないのですが、立憲民主党がピリッとしないために、自民党に対抗でき得る政党が「維新」だと思ってしまう人が多いのです。まるでデルタ株が去った後のオミクロン株みたいな話ですが、この世論の変化からは目が離せません。さて、今回は大阪10区の分析をするわけですが、基本的には「選挙戦略」について語ります。辻元清美さんの当落について「ざまぁw」と言うつもりもなければ、辻元清美さんがいなくなって寂しいみたいなことを言うつもりもありません。それぞれの勝因と敗因は何なのかという話です。
■ 立憲民主党の比例・近畿ブロックの惨敗
今回、立憲民主党は比例の近畿ブロックで3議席しか取れませんでした。維新が10議席、自民が8議席を獲得する中で、立憲民主党は公明党の得票数さえ下回り、3議席に甘んじたのです。もし4議席獲得できていれば、辻元清美さんは当選していました。参考までに、立憲民主党の名簿を見てみることにしましょう。
[当] 1:桜井 周 現 兵庫6区 惜敗率86.3%
[当] 1:森山 浩行 現 大阪16区 惜敗率85.8%
[当] 1:徳永 久志 新 滋賀4区 惜敗率83.1%
[落] 1:辻元 清美 現 大阪10区 惜敗率82.7%
[落] 1:田島 一成 元 滋賀2区 惜敗率76.7%
[落] 1:安田 真理 新 兵庫7区 惜敗率68.1%
[落] 1:梶原 康弘 元 兵庫5区 惜敗率65.9%
[落] 1:舩川 治郎 新 兵庫1区 惜敗率62.2%
[落] 1:平野 博文 現 大阪11区 惜敗率57.0%
[落] 1:村上 史好 現 大阪6区 惜敗率55.3%
[落] 1:萩原 仁 元 大阪3区 惜敗率52.4%
[落] 1:隠樹 圭子 新 兵庫10区 惜敗率49.0%
[落] 1:今泉 真緒 新 兵庫4区 惜敗率47.4%
[落] 1:長安 豊 元 大阪19区 惜敗率47.1%
[落] 1:山本 和嘉子 現 京都5区 惜敗率46.7%
[落] 1:藤井 幹雄 新 和歌山2区 惜敗率44.9%
[落] 1:尾辻 かな子 現 大阪2区 惜敗率39.2%
[落] 1:猪奥 美里 新 奈良2区 惜敗率38.2%
[落] 1:松井 博史 新 大阪8区 惜敗率36.6%
[落] 1:吉田 治 元 大阪4区 惜敗率26.2%
[落] 1:村上 賀厚 新 大阪1区 惜敗率25.8%
[落] 1:酒井 孝典 新 兵庫12区 惜敗率25.3%
[落] 1:乃木 涼介 新 大阪7区 惜敗率24.3%
[落] 1:川戸 康嗣 新 大阪18区 惜敗率20.6%
[落]30:笹田 能美 新 比例単独
[落]31:豊田 潤多郎 元 比例単独
[落]没収:宇都宮 優子 新 大阪12区 得票率10%未満
立憲民主党の敗北は、ほとんど「近畿エリア」で決まっていると言っても過言ではありません。小選挙区で当選できたのは、京都3区の泉健太さん、京都6区の山井和則さん、兵庫1区の井坂信彦さん、奈良1区の馬淵澄夫さんだけです。不幸なことに、比例復活の1番手は選挙期間中に華麗なる「ナチスポーズ」を決めていたアホの桜井周さん。辻元清美さんは次点に散ったのでした。しかし、こうして見ると、現職の負け方が尋常ではありません。今回落選した立憲民主党の現職で見ると、辻元清美さんを筆頭に、元官房長官で代表代行だった平野博文さん、国会対策副委員長だった村上史好さん、京都の女性エースだった山本和嘉子さん、大阪2区の尾辻かな子さんが比例復活もならずに落選。特に、大阪府は辛うじて森山浩行さんが生き残った以外は全滅してしまいました。実は、自民党も同じくらい壊滅しているので、このあたりの解説は別のレポートでやりたいと思います。
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