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【選挙ウォッチャー】 府中市長選2020・分析レポート。

東京競馬場のある府中市で、1月19日告示、26日投開票のスケジュールで市長選が行われました。現職の高野律夫さんには賛否両論の声があり、批判している人も少なくないのですが、自民・都民F・立憲・社民が推薦する形となっており、最強の布陣で戦おうとしていました。新人の目黒重夫さんは共産党系で、「すべてのカードを揃えた最強の現職vs共産党の新人」という構図になってしまい、ある意味、選挙をやる前から結果が決まっているような選挙になってしまいました。

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高野 律雄 58 現 自民・公明・都F・立憲・社民推薦
目黒 重夫 71 新 共産推薦

八王子市長選が大盛り上がりの中、府中市民の皆さんが「全然盛り上がってない」と嘆いていましたが、それもそのはず、こんな構図では盛り上がりようがありません。府中市は東京都でありながら、駅前から百貨店が撤退し、どんどん寂れていることが問題になっていることに加え、待機児童問題でも遅れを取っていると言われており、市長の手腕が問われています。「市長がポンコツなんじゃねぇの?」という疑念がありながらも、対抗馬が共産党のオッサンのみ。ほぼすべての政党が相乗りで現職に推薦を出しているので、もし共産党のオッサンがめちゃくちゃ素晴らしい候補だったとしても、組織票の段階でまったく勝てる予感がしないという地獄のような構図に仕上がっています。


■ 税収があるのに衰退する無能の街

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どうにかお金のやりくりをしながらも発展している街がある一方で、たくさんお金があるのに衰退している街というのもあります。あれだけ原子力マネーで潤っているはずの東海村が、学校給食も無償化されていなければ、高齢者介護に対する優遇があるわけでもなく、市民の生活が何一つ裕福でないところを見ても、税収があるのに市民のためにろくすっぽ使われていない街があるというのは分かると思います。お金がないのは仕方がありません。しかし、お金があるのに裕福な暮らしができないのは、ただの無能です。家族で例えるなら、お父さんの年収はとても高いのに、家にはろくすっぽお金を入れず、キャバクラやらギャンブルやらってところにジャブジャブとお金を使うばかりなので、その子供が明日食うものにも困るような生活をしているようなものです。

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実は、この府中市もまた税収が豊かだと言われながら、待機児童問題は一向に解決されず、駅前の百貨店や商店街は寂れ、教育や文化にかける予算を削減し、豪華な市役所の新庁舎建設に206億円、駅前の再開発事業に350億円を投じようとしているのです。駅前を活性化できれば人が集まってくるというアベノミクスのトリクルダウンのような理屈を言っているのですが、もし人を集めたいのであれば福祉や行政サービスを充実させることこそ、その第一歩だと思います。そんなわけなので、この府中市の駅前からは伊勢丹が撤退してしまい、周辺の駅ビルも元気がなく、再開発が裏目に出て南北が分断されてしまった上に、自転車を止めるスペースを廃止してしまったために自転車で買い物に来る人がいなくなってしまったので、この衰退は当然だというのです。大切なのは街をデザインし、人々を回遊させ、地元のお店で買い物をしてもらうことですが、外食するよりもテイクアウトの方が消費税が安い時代、ネット通販で注文すれば自宅まで届けてくれる時代に、地元で買い物してくれるようなデザインに挑戦しなければならない。かなり高度な要求が突きつけられているわけですが、それをクリアしなければならないのが、今、行政がやらなければならないことです。共産党出身の目黒重夫さんが市長になったら改善されるのかと言ったら未知数ですが、少なくとも現職の高野律雄さんにはできていないことは確かです。府中市はこれからますます衰退してしまうかもしれません。


■ 高野律雄候補の主張

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高野律雄さんは自民・公明が推薦するオジサンですが、ここに立憲民主党や社民党が相乗りをしているという特殊な構図です。まさに2月2日の京都市長選を彷彿とさせる「共産vs共産以外」という構図に仕上がっているのですが、少し遅れて都民ファーストの会も推薦を出してきましたので、なんなら京都市よりもカオスなことになっていると言っていいかもしれません。それでいて、府中市は京都市ほど日本共産党が強いわけでもないので、高野律雄さんとしては寝てても選挙に勝てると言えます。実際、高野律雄さんは初日に大國魂神社の大鳥居前で第一声をするという告知以外、Twitterもまったく更新されていないのです。どれだけやる気がないのでしょうか。もっとも、やる気がなくても当選はできます。22日は街頭演説が一発用意されている以外は2本の個人演説会があるだけで、企業や団体への挨拶回りに終始しています。

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府中市は財政が豊かだと言いますが、市民にどれだけ還元されているのかと言ったら、ろくすっぽ還元されていないというのが現実です。ろくすっぽ還元されていないので、子どもたちの給食費も無償化されていないし、待機児童も解消されていません。財源があるはずの自治体なのに、市民にはろくすっぽ還元されていない様子は、東海村京都市でも見てきましたが、府中市は近隣の自治体に比べて財政が豊かなはずなのに、それがハコモノにばかり消えるという愚策です。高野律雄さんはエアコンをつけたとか、いろいろと実績らしく語っていますが、エアコンをつけるのだって、どこかのエアコン製造メーカーや電気工事会社が潤うわけで、給食費を無償化するとか、保育士の給料を上げるとか、市民が助かるだけで誰も儲からないような政策にはまったく力を入れていないのです。

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昨今のトレンドは膨らみに膨らんでしまった新市庁舎の建設をどれだけ削減するかです。体重が60kgの人が50kgに絞るのは大変ですが、体重が120kgの人が110kgに絞るのは比較的簡単です。ほとんど出来レースのように贅肉だらけの予算を少しだけ削って市民にアピールする市長も多い中、高野律雄さんは150億円だった新市庁舎建設の予算を206億円に膨らませ、削りもせずにデブまっしぐらで立候補しているのですから、マジで太い野郎です。しかし、そんな高野律雄さんを自民・公明のみならず、立憲・社民・都民ファーストの会までももが推薦しているのです。ある意味、京都市よりも深刻な図だと思います。京都市長選のようには話題になりませんでしたが、反共で団結している京都の図とは違い、こちらはナチュラルにくっついているのですから、どんだけ地獄絵図なんだという話です。

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だいたい、駅前の再開発にジャブジャブとお金を使えば、府中市が発展するという「府中版トリクルダウン」をやっているのですが、ジャブジャブとお金をかけている割に、駅前の伊勢丹が撤退し、駅前に巨大な廃墟が残っているのです。自転車置き場を撤去してしまったため、それまで自転車で駅前に買い物に行っていたような人たちがいなくなってしまい、巨額のお金を投入しながら設計がアホなので、余計に寂れるという逆効果。街頭演説を聞く限りではなかなか良さそうなことを言っているのですが、こんなに無能な市長は滅多にいないレベルです。相手候補が共産党なので、圧倒的な差で当選することは目に見えているものの、時代にそぐわないお金の使い方しかできないホゲホゲとしたオジサンに4年間を託すことになっているのですから、府中市はこれから地元経済が後退していくことでしょう。


■ 目黒重夫候補の主張

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共産党出身の目黒重夫さんは、通勤時間帯の朝7時から8時まで、必ずどこかの駅に立ち、有権者に政策を訴えていました。細かく市内を回り、小さな街頭演説を繰り返す、従来の日本共産党らしい戦略が取られていましたが、1月22日には日本共産党の吉良佳子さん、国民民主党の渡辺浩一郎さんが応援に駆けつけました。複雑なんですが、立憲民主党は現職の高野律雄さんの推薦に回り、国民民主党は目黒重夫さんの方を応援しているという構図です。ただし、渡辺浩一郎さんは元衆議院議員であり、今はただの一般人なので、国民民主党の正式な応援という扱いなのかどうかはわかりません。八王子市長選では国民民主党が現職の自民系市長を応援し、立憲民主党が日本共産党と「野党共闘」をなっていましたが、府中市長選は逆です。府中市や八王子市といった多摩地域では立憲民主党と国民民主党で政策が全然違うようです。

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さて、目黒重夫さんなんですが、71歳の共産党出身の候補ということで、だいぶホゲホゲしているのではないかと心配になったのですが、さすがは7期28年にわたって府中市議として活躍してきただけのことはあって、まったくホゲホゲしていないし、政策もしっかりしているし、非常に具体的で現実的な問題を改善することを公約に掲げていました。

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目黒重夫さんを応援している市民の声で大きかったのは「府中市には避難所がない」ということです。先日の台風19号の時、避難所が満員になってしまい、台風の中を避難所のたらい回しに遭ってしまうということが起こってしまったそうです。府中市には「避難所が足りない」という命に関わる問題があるのに、その対策が何一つできていないばかりか、段ボールの仕切りすらなく、かなり低予算でできるであろうことすら進んでいないのに、駅前の再開発に350億円、新庁舎の建設に206億円を使おうという話になっているのです。しかも、その新庁舎の建設は当初、150億円でできるはずだったのですが、あれもこれもと豪華になっていき、最終的に56億円も膨れてしまっているというのです。

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目黒重夫さんは市議だったこともあり、これらの問題をしっかり認識しています。これから市の問題点を見つけ出していく人ではなく、もう市の問題点をチェック済みで、あとは改善するだけであるという即戦力の人材でした。しかし、構図から考えても、この選挙がだいぶ厳しいことは間違いありません。目黒重夫さんは長らく日本共産党の市議として活躍してきたのですが、ここでは「市政を変える会・府中」という団体を立ち上げ、あくまで共産党ではなく、市民の共同候補という形を取っていました。そのやり方が既に共産党なんですが、「市政を変える」にちなんで「カエル(蛙)」がイメージキャラクターになっており、いろんな所にカエルのイラストを採用してしまうところが爺さん&婆さんのセンスです。きょうび、薬局の前にカエルが置かれていたのも昭和の思い出ですし、令和の時代にカエルを重宝する人はあんまりいません。

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そこにきて共産党の若きエース・吉良佳子さんが目黒重夫さんの応援演説をしていたのですが、話している内容は安倍政権の批判が中心。最近の「桜を見る会」の答弁を聞いていると、こんなアホが総理大臣をやっていたら日本が滅びると思うのですが、誰も吉良佳子さんに府中市の現状をデータにしてあげる人がいないのでしょうか。小池晃さんが応援に駆け付けた際は、必ずデータを引用して街のことを話すのですが、吉良佳子さんの話は国政の話が中心で、果たして、その話を聞いて目黒重夫さんに投票したくなるのかは疑問です。なにしろ、国政の話と市長の話はほとんどカブらないからです。

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吉良佳子さんの応援演説は、どちらかと言うと、そこらへんを歩いている市民に向けてというよりは、会場にお集まりの共産党支持者の皆さんのためであると考えた方がいいかもしれません。共産党を支持している皆さんは、その多くが「安倍晋三総理は頭がおかしい」と思っているはずで、吉良佳子さんの話に溜飲が下がる思いだったことでしょう。しかし、安倍内閣の支持率は最も厳しめの朝日新聞の調査でも、いまだに38%もあるのです。国民の3人に1人以上が「安倍さんマンセー」なのです。街を歩いている人が吉良佳子さんの演説にどれだけ反応してくれたのかは微妙です。だいたい政党支持率が2%程度だったNHKから国民を守る党でさえ、皆さんにろくでもない反社会的カルト集団であることを知ってもらうのに半年以上かかったのだから、安倍晋三総理の無能ぶりを知ってもらう労力は、N国党の比ではありません。

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ただ、最近の僕は「NHKをぶっ壊すとか言っている反社会的カルトのバカをぶっ壊す」ことに成功しつつあるオジサンとして知られています。長きに渡って立花孝志代表とウンコ投げ合戦を演じ、ついにはNHKから国民を守る党の政党支持率が0.0%になりました。最初はたった一人で戦い続けていたので、N国信者を中心に「立花さんが天才で、オマエがバカなだけなんだ!」と言われ続けてきましたが、今となっては誰も立花孝志代表のことを天才だと思う人はいなくなりました。立花孝志代表が次から次へといろんなことをやらかしていることもあるのですが、どうしてお金をかけた地方選まで勝てないレベルでNHKから国民を守る党の支持率を下げられたのかと言ったら、ある時から「N国信者よりもN国アンチの方が多くなったから」です。これは人数の話ではありません。ネット上の大声合戦でN国アンチの方がN国信者よりも大きな声を出せるようになったからです。YouTuberとして人気の高い「みずにゃん」さんや「えらいてんちょう」さんなどがN国批判を繰り出したことで、N国アンチの書き込みをする人が増えてきたというわけです。今では最も面倒臭いメディアの一つ「からあげ速報」にロックオンされてしまったので、やらかすたびに速報でカラッと揚げられてしまい、これからNHKから国民を守る党の人気や支持率が復活することは二度とないところまで追い込まれています。

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今、安倍政権を支えているのは、上念司さんや竹田恒泰さんといったデマを流すことに何の抵抗もないネトウヨ軍団です。世の中は相変わらず、ネトウヨの声が大きいのです。かつてはN国信者の声も大きかったです。では、どのように声の大きさを逆転すればいいのか。それは上念司さんや竹田恒泰さんに対して、ウンコを投げることだと思います。「ねぇ、どうして公選法違反の総理をマンセーできるの? なんで? なんで? 答えられないのにマンセーしてるの、ダサくね? アホなん? ねぇ、アホなん?」と、追及していくことが大切だと思います。僕が間違った情報を流したら、やたら炎上するんですから、彼らも同じくらい炎上しなければおかしいのです。いまだにテレビやラジオ番組に出演できているのがおかしい。今は絶対的な物理量で負けているわけですから、物理量で勝たなければなりません。ネトウヨを凌駕するくらいに大きな声で物を申さなければならないのです。ここで吉良佳子さんの話を聞いて「そうだ!」と言いながら持参したタンバリンを鳴らすのもいいのですが、どちらが1票を広げられるのかと言ったら、たった3日間、スマホの勉強をして使いこなせるようになった方が世の中は変わるかもしれません。なにしろ、英語を勉強するのと違って、スマホは極めて短期間でマスターすることができます。もし、共産党を支持している中高年の皆さんがスマホでSNSを使いこなすようになったら、世論はもう少し変わるのではないかと思うのです。共産党を支持している方々が本気で世の中を良くしたいと思っていて、安倍政権を倒したいと思っているのだとすれば、昨今の武器は「スマホ」であることを知っていただきたいと思います。

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目黒重夫さんの主張はものすごく真っ当です。府中市は財源に恵まれた自治体であるにもかかわらず、文化センターなどの公共施設の利用が有料化されてしまう現実。経費削減だと言って、学校のドリルやワークなどの教育費まで削られる始末で、待機児童問題もろくすっぽ改善されていません。駐輪場が撤去されたために駅前に買い物に行く人がいなくなり、駅前の伊勢丹が潰れ、ますます駅前に魅力がなくなっている中で、駅前の再開発すると言っているのだけど、人々が便利に買い物をしたり、カフェでお茶をしたりするための導線がちっとも考えられていないものだから、開発すれば開発するほど不便になってしまう現実。どうすれば街を発展できるかではなく、どうすればステークホルダーたちが儲かるかを中心に考えてしまい、優先順位がおかしくなってしまうものだから、お金をかけて開発すれば開発するほど逆効果になりかねない。こんな姿勢でいいのかということを問うています。

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京都市長選で見た福山和人さんも魅力的な人でしたが、その政策や主張を見れば、目黒重夫さんも市長にするべき人でした。「お金がないから市民サービスができない」というのは仕方がないかもしれません。しかし、「お金があるのに市民サービスをしない」というのは、こんなに無能なことはありません。この状況を何とも思わないバカが恥ずかしげもなく現職を支持しているわけなんですが、どの政党が推薦を出しているのかと言ったら、自民党と公明党、都民ファーストの会、それに加えて立憲民主党と社民党です。こんなことを書くと、また「野党を分断しようとしている!」と言われてしまうのですが、分断しようとしているのではありません。ただ皆さんに現実を伝えているだけです。立憲民主党や社民党がろくすっぽ行政サービスをしない無能のオジサンを支持しているのだから、この構図は京都市長選とまったく同じです。つまり、野党であるはずの政党がマヌケな現職に推薦を出してしまうのは「京都が特殊な場所だからではない」ということです。日頃からマヌケなのです。

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なぜ立憲民主党が大きく成長しないのかと言ったら、結局、立憲民主党がマヌケだからです。自由党が国民民主党と合流したように、社民党も立憲民主党と合流しそうなのですから、世の中の野党らしい野党は、立憲民主党、国民民主党、日本共産党、れいわ新選組ぐらいです。日本維新の会は与党と言った方が近いし、都民ファーストの会も性質は同じです。NHKから国民を守る党は「うんこ」なので論外として、立憲民主党や国民民主党がポンコツだとすると、残るは日本共産党とれいわ新選組しかなくなってしまいます。れいわ新選組に課題が多いことは京都市長選のレポートで示させていただきましたが、日本共産党の選挙戦略が素晴らしいのかと言ったら、それはれいわ新選組がかわいく見えるほどの「地獄」です。

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現役の参議院議員である吉良佳子さんや党派を超えて元衆議院議員の渡辺浩一郎さんが応援演説をして、市長候補である目黒重夫さんがしっかりと政策を語った後で、なにやら3人にカエルがデザインされたセンスのない扇子が渡されたのですが、まさに今、この瞬間から地獄の釜が開きました。「これは何に使うんだ?」と、候補者や応援弁士たちが、まるで「笑点」で小道具を渡された師匠たちみたいなリアクションをした直後でした。司会のオッサンが「我々の運動の中で名物になりつつあります、令和オッペケペー節というのがあるんです」と言い出し、ジジィがマイクを握ると「おっぺけぺー」を始めてしまいました。

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僕は基本的に取材中はツイキャスで中継をしており、すべてアーカイブに残すようにしているのですが、当然、この「おっぺけぺー」の瞬間も記録されています。このアーカイブ動画の52分あたりから見ていただければと思うのですが、ジジィが「おっぺけぺっ、おっぺけぺっ、おっぺけっぽっぺっぽっぽー!」と叫び出し、聴衆のジジィとババァが復唱。これほどの地獄絵図は滅多に見られるものではありません。僕も「オッペケペー」という言葉があるのは知っていたのですが、こういうものであることをこの時に初めて知りました。あとでグーグル先生に聞いて、明治に流行した日本で最初のラップのような歌であることを知りました。ちょうど江戸時代から明治時代になって、みんなが日本酒ではなく、ビールやウイスキーなどを飲むようになって「本当にそれでいいのかよ、オッペケペー!」と言っているような歌だったのですが、まさか大正、昭和、平成を超え、この令和の時代に「オッペケペー節」に出会うとは思いませんでした。

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ここで歌われているのは、府中市の問題に置き換えられたオリジナル替え歌の「オッペケペー節」なのですが、歌詞の内容は「おいで皆さん、聞いとくれ。あれから今から4年前、忘れもしない市長選、間違いその時始まった、それ、おっぺけぺっ、おっぺけぺっ、おっぺけぺっぽっぺっぽっぽー」ってな具合です。詳しくはアーカイブ動画を見てもらったら分かるんですが、基本的に歌詞の内容は現職市長に対するディスりで、現代のラップにも相手を即興でディスる「ラップバトル」みたいなものはありますが、よりによってこの時代に「オッペケペー節」でやってしまうところが、ザッツ共産党のジジィって感じです。

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この「令和のオッペケペー節」のような旧式リベラル層の自己満足を、僕はこれから「おっぺけぺー」と呼ぶことにしました。この人たちがどうしてこれをやっているのかと言ったら「選挙を楽しくすることで、皆さんに興味関心を持ってもらいたい」と言うのでしょうけど、本当にこれで興味関心を持ってもらえるのでしょうか。「今、このタイミングでいきなりチンチン出したら面白くね?」と言っているのと同じで、「オマエの中では面白いかもしれないけれど、普通の人からしたらドン引きだからな!」という話になってやしないかと思うのです。それで街を良くしようというだけのポジティブな歌詞だったら、これでも多少はほっこりするのかもしれませんが、まさかの現職ディスです。ドン引き以外のナニモノでもありません。気持ち悪すぎて近づきたくもありませんし、「共産党エンガチョ」です。

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候補者や応援弁士たちも、クソだせぇ扇子を振ってる場合じゃありません。その扇子をハリセンのように使って、歌っているジジィの頭にツッコミを入れて「帰れ!」と言った方がいいです。もし、ジジィが「カエルだけに? ゲロゲーロ!」と返してきた時には許してあげてもいいですけど、オッペケペーは誰も得をしていません。これをやるためにわざわざご丁寧にカエルの扇子まで作り込んで、足元には段ボールで補強した歌詞のカンペを用意し、いろんな所でこれをやっているんです。「町内会ののど自慢大会じゃねぇんだぞ、ジジィ!」です。本当だったら「14番、オッペケペー節!」とコールしてから歌わなきゃいけないヤツです。

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結局、候補者の目黒重夫さんも、集まっていた市民の人たちも、全員が真っ当なことを言っていたはずなのですが、選挙のやり方が「おっぺけぺー」だから全然伝わらず、いい戦いにもなりませんでした。財政に恵まれていることが自慢の府中市で、市民にろくすっぽ還元されていないなんて、ただただ市長が無能としか言いようがありません。目先の利権のためではなく、市民のために予算を使うだけで街は大きく発展し、それはやがて税収として返ってくるはずなのですが、そんな基本的なこともできない奴は、はっきり言って無能です。新市庁舎を作るのだって、小金井市のように基金を貯めて後世に借金を残さないやり方だってできるはずなのに、100億円は借金で賄うというのですから、これから日本の経済がガタガタになるかもしれないっていう時に借金を作り、これからますます行政サービスが行き届かない環境を作るなんて愚策中の愚策です。これは一人でも多くの有権者に気づいてもらわなければならない話です。が、伝える方法が「おっぺけぺー」なのです。


■ 前回(2016年)の選挙結果

前回も自民・公明・民主・社民推薦の現職・高野律夫さんと、共産推薦の寺下章夫さんという構図になり、4年前も圧倒的な組織力で高野律夫さんが勝ちました。今年も共産党から立候補する人が変わっただけで、構図としてはまったく同じものであり、高野律夫さんは無投票当選を決めているに等しい状態です。それだけ現職が強いということなのでしょうが、長らく市長が変わらないというのは市政に腐敗をもたらします。冷蔵庫の中にある食材と同じで、冷蔵庫に入れたからといって腐らないわけではありません。常に新鮮なものに変えておいた方がいいのです。

[当]高野 律雄 54 現 5万0824票
[落]寺下 章夫 69 新 1万4841票

投票率は32.79%でした。選挙をやる前から結果が決まっているような選挙なので、投票率も低いものになりました。「どうせ選挙に行っても変わらない」というのは、こういう構図になってしまうとその通りなんですが、これが習慣になってしまうのは非常にまずいです。本気で街のことを考える良い候補が立ち上がってくれることを願わずにはいられません。


■ 今回(2020年)の選挙結果

こんなことを言ったら目黒重夫さんを応援していた方々には申し訳ないんですけど、今年の選挙も「選挙をやる前から結果が決まっている」という代表的な選挙でした。なにしろ、府中市長選は全然盛り上がっておらず、盛り上がっている八王子市が羨ましいと言うほどでした。蓋を開けてみれば、ダブルスコア以上の差がついていたのですが、目黒重夫さんの主張や府中駅前の現実をちゃんと見られたら、こんなに差がつくはずはありません。つまり、これだけの差が開いてしまったのは、目黒重夫さんの主張がちっとも伝わっていなかった結果です。「相手候補はものすごい組織票を持っているのだから負けても仕方がない」なんて言っていたら、いつまでも正義が負けることになります。もう一度、その主張をちゃんと有権者に伝えられたのかを振り返ってみましょう。

[当]高野 律雄 58 現 4万6870票
[落]目黒 重夫 71 新 1万9805票

投票率は31.92%でした。圧倒的な組織力を持っている現職の前に、どうせ共産党が勝てないという先入観から、そもそも3人に2人以上が選挙に行っていないのです。しかし、この人たちがこぞって選挙に行けば、結果も少しは変わるはずです。そもそもいい戦いになってもいなければ、危機感がなくなってしまい、やりたい放題は加速します。せめて「次の選挙では落選するかもしれない」という危機感を持たせなければ、ブレーキはかからないのです。勝つことは大切ですが、もし負けるのだとしても「惜しい負け」でなければなりません。緊張感のない政治はますます腐敗します。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

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リベラル層の人たちは、保守層に比べて写真や動画を撮影している人が多いような気がします。僕も写真や動画を撮影してはいるのですが、これはレポートとして世の中に出すためにやっていることで、動画もまた多くの人に見てもらいつつ、記録として残すためにやっています。ツイキャスやYouTubeライブなら、たくさんの人に見てもらうためにやっているんだということがわかるのですが、だいたいは録画だったりします。録画したやつをすぐに編集して出すというのならわかるのですが、僕は写真や動画が活用されているところをあんまり見たことがありません。百歩譲って、吉良佳子さんの写真を撮りまくって、家で萌え萌えしているっていうなら目的がハッキリしているんですが、ただ自己満足のために撮っているだけになっていないだろうかと思うのです。それなら花や野鳥の写真でも撮っている方がよっぽど健全です。早くこの「自己満足」から抜け出し、投票してもらうために呼び掛ける行動へとシフトできれば、もっと強くなれる気がします。

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