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【選挙ウォッチャー】 東海村議選2020・分析レポート。

原子力関連施設がたくさんある、文字通りの「原子力ムラ」として知られる東海村で、1月14日告示、1月19日投開票の日程で東海村議選が行われました。通常、市議選の選挙期間は7日間ですが、町村議選の選挙は5日間となっており、選挙に必要な供託金はかかりません。非常に短い期間で争われるため、無党派層にどこまでアピールできるのかがカギとなります。東海村議会の定数は18で、現職の議員はほとんど引退せず、21人が立候補しました。

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2011年に福島第一原発事故が起こったことで、僕たちは原発事故が起こるとどうなってしまうのかを身をもって体験したはずです。事故処理に国家予算を超える金額が投入される見込みで、故郷は失われ、子どもたちが病気になり、農作物が売れなくなるなどの被害が出ました。もし日本で再び同じような原発事故が起こったとすると、今度という今度は日本が完全終了します。僕たちの子孫は永遠に放射能の掃除をさせられ、明るい未来の描けない「死の国」になってしまうことでしょう。そうなる前に反省すべき点は反省し、二度と同じような事故を起こさないことが大切なのですが、この国には「反省」という言葉が存在しません。今も東海村では東海第二原発の再稼働に向け、前向きに取り組んでいるのです。


■ MOX燃料のゴミ処理に困る世界

大昔から「トイレなきマンション」と言われて久しい原子力の世界ですが、こうしている今もどんどんオワコン化が進んでいます。2020年1月13日、四国電力は定期検査中の伊方原発3号機から、日本で初めてとなる使用済みMOX燃料の取り出しが始まりました。MOX燃料とは、ウランにプルトニウムを混ぜた燃料のことで、従来のウラン燃料棒よりも脆くて危険であると言われています。本当はウラン燃料棒で十分なのですが、なぜウランにプルトニウムを混ぜたMOX燃料が使われるようになったかと言うと、使用済みのウラン燃料棒がどんどんゴミとして溢れるようになって、その処理に困っている現状があるわけですが、少しでも使用済み燃料棒を減らすにはどうしたらいいかということで、使用済みウラン燃料棒からプルトニウムを生成し、それをウラン燃料棒に混ぜて作る「MOX燃料」にしたら、少しだけ核燃料サイクルがうまくいくではないかという発想です。ところが、「MOX燃料」におけるウランとプルトニウムの比率は、だいたい「9:1」であると言われていて、プルトニウムを10%混ぜるぐらいでは、焼け石に水です。しかも、原子力発電の始まりは「無限のエネルギーが手に入る」ということで始まっているのですが、それは核燃料サイクルが成り立っていることが前提です。使用済みウラン燃料棒から抽出したプルトニウムをウラン燃料棒に混ぜて再利用する方法は考えられましたが、その先に再利用する技術はまだ開発されていません。これはどういうことかと言うと、使用済みウラン燃料棒の代わりに、使用済みMOX燃料棒ができて、それをどうしたらいいのかがわからないので、永遠に保管することになるということです。僕たちは未来の子供たちに、この無理難題を宿題として残し、どうしたらいいのかわからない使用済みMOX燃料棒をどんどん増やすということをやっているのです。結局、初めて取り出された使用済みMOX燃料棒は、使用済み燃料棒を保管する原発内の燃料プールで保管されることになるわけですが、この燃料プールというのはご存知の通り、温度を下げる努力を永遠に続けなければなりません。原発を動かすには外部からの電源が必要で、この電源が途切れた場合には福島第一原発事故とまったく同じことが起こる運命にあり、それをこれから100年、200年、500年、1000年と続けていかなければならないという、超絶ヤバい状態なのです。ごく一部の人たちがお金儲けをするために、さらに原発を稼働させるという愚策を突き進んだ結果、未来の子や孫はどんどん不幸になるばかり。「今さえよければいい」というのは、人類滅亡の第一歩です。


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