見出し画像

美容メーカーのマーケターが半年間真面目にSEOに取り組んで気付いたこと

2024.8.2
古い下書きが出てきた&最近またSEOに思いを馳せているので、供養……🙏
~~~

みなさんこんにちは。
単価数万円の美容商材を取り扱う事業会社で、インハウスマーケターをやっている、ままちと申します。

今回は、この秋冬に取り組んだSEO対策について、学びをシェアします。
SEO対策と言っても、実際にやったことはオウンドメディアのコンテンツ追加(と一部外部リンク施策)くらいなので、サイト構造を見直すなどの根本的な施策については網羅していません。


SEO施策に着手したワケ

売上不調による広告費の削減

美容商材と言っても様々なものがあるので一口には言えませんが、私の会社の商品は平均単価が3万円~と高いこともあり「ボーナス商戦」が最も重要なポイントです。
私の担当するブランドは、様々な要因から春夏に取るべき戦略を誤ってしまい、「夏のボーナス商戦」で爆死してしまいました。

ブランドマネージャーとして管理すべきは「利益率」。売上がビハインドしてしまうと、先立つものがありません。
下期に向けてリカバリーをしなければならない。しかし使える広告費は限られている。

リスティング広告やディスプレイ広告など定常で投下しているデジタル予算を削減する動きの中でスポットライトが当てられたのがSEO対策でした。

着手当時のサイトの状況

取り扱うアイテム数も多く、定期的にTVCM等のマス広告にも出稿している当社。
ブランドサイト・ECサイト共に、サイト全体の月間PV数はそれなりのものがありました。

しかしGoogleサーチコンソールで中身を見てみると、流入クエリの9割以上が「指名関連キーワード」(商品名、メーカー名と商品カテゴリの掛け合わせなど)。

リスティング広告で購入している「カテゴリ関連キーワード」や「お悩み系キーワード」は表示すらされていないか、されていても7-8ページ目という状況でした。

先でお話しした「ボーナス商戦が大事」なのは、同業界の競合他社も同じこと。
自ずとリスティング広告の出稿時期や出稿キーワードが被り、CPC(クリック単価)が高騰してしまっていることも、投資を続けられない要因の1つでした。

ブランドサイトとECサイトのどちらを対策強化するかについて、本来であればより購入に近しいECサイトの対策を行うことがセオリーですが、オフラインチャネルも含めた誘導を行いたいという理由から、今回はブランドサイト内にコンテンツを格納することに決めました。

まず何から取り掛かるか


1.目標設定

コンテンツ作成に着手する前に取り組んだのが全体設計の構築です。SEO対策にはリードタイムがかかるので、途中で心が折れたり、予算・リソースを取り上げられたりすることのないようにこの部分を丁寧に行いました。

とはいえ設定したKPIはシンプルで、私の場合は以下の2つを目標として設けました。

1) 狙いたいキーワード(=リスティングで購入している/したいキーワードに近しい)
→大・中・小それぞれで10-20キーワードほど。キーワードの選定はDS.INSIGHTの時系列キーワードやアラマキジャケの周辺ワードなどで候補を出して、実際のSEO状況を踏まえてチューニングしました。
具体例で言うと、「髪の質感を良くするトリートメント機器」の場合は、以下のようなキーワードを設定しました。

大:トリートメント
中:髪質改善、トリートメント おすすめ
小:髪 ダメージ 原因、くせ毛 対策 等

ここで記事の執筆方針が決まるので、製品のターゲットや競合との立ち位置などを今一度明確にして、どのあたりのキーワードを目指すか決める必要があります。

2)「1記事あたりの制作費 < リスティング換算した時の流入数」の状態をいつまでに目指すか

これは完全に決めの問題で、「諦めるライン」を設定しておきました。
私は商品のプロであってもSEOのプロではないので、書いた記事が全て上がるとは限らない。

「公開してから半年間」を1つの期限として設け、そこまでは記事を育てる、というのを1つのルールにしました。その「半年間」が経過し、ある程度の傾向が見えてきたのでこの記事を書いています。

2.記事タイトル作成

ここからは具体的な話です。
1で設定したキーワードを、記事タイトルに落としていきます。「1キーワード、1記事」が原則ですが、あまり細かく分けすぎると文章量を稼げないので、狙いたいキーワードたちをグループ化することで3-4タイトルを作っていきました。
実際に記事を公開する時はもう少し整えますが、この段階では不細工なタイトルで大丈夫です。

例:美容師監修、髪質改善を目指すためのおすすめのトリートメントの選び方、髪質別、髪悩み別、効果的な使い方も

3.構成案作成

2で作成したタイトルを構成案に落としていきます。
狙いたいキーワードによりますが、1記事あたりのテキスト量は大体4000文字くらいをベースにしていました。

大見出し4つ、中見出し3つで12ブロック。
1ブロック300文字ちょいなので、すき間時間でサクサク書けます。
(ちなみにこの記事、ここまでで2000文字です。)

ここでやっておくと楽なのが、各見出しに入れておきたいキーワードの洗い出しです。

例えば先ほどから例に上げている「トリートメント」の記事ならば、以下のような見出しを作ります。

■トリートメントとは?
(小見出し)トリートメントの定義、目的など
■トリートメントの種類
(小見出し)サロントリートメント、市販のトリートメント、縮毛矯正との違いなど
■トリートメントの選び方
(小見出し)悩み別、髪質別
■トリートメントの効果的な使い方
(小見出し)インバストリートメント、アウトバストリートメント

この中の1つ、「トリートメントの選び方>悩み別」の見出しであれば、よく検索される髪悩みを箇条書きで書いておきます。
この記事の最後にも書いていますが、「周辺キーワードの網羅率性を高める」ことが、最も効果のあったポイントでした。

4.デザインのフォーマット化

長期的に複数の記事を公開していく場合は、ある程度フォーマットを揃えた方が分かりやすいです。
WordPress等を使って全てインハウス化出来たら良いのかもしれませんが、今回はデザイン性やスピード感などを考慮して、デザインとコーディングは外部パートナーに委託しました。
(WordPressのデザイン性が低いということを言っている訳ではなく、WordPressでデザイン性の高いページを作る技術とリソースが私に無いため)
この辺りは各社の事情でやりやすい方法を選んでいただくのが良いかなと思います。

5.公開、レポーティング

「公開後6ヶ月」を評価のポイントにしていたので、それまでは1、2ヶ月に1度追加コンテンツを増やしながら、Googleサーチコンソールで記事の状態を見ていきました。

該当URLがクリックされた数を月次で集計し、「リスティング出稿した際の想定費用」を「製作費」で割って、記事ごとの暫定ROASを出していきました。

6.追加コンテンツ

追加コンテンツの量は「大見出一個分(=小見出3個分)」を目安とし、既存記事で網羅できていない周辺キーワードを足すイメージで作成しました。

既存のテキストは極力弄らず、ブロックを追加する形で対応したので、幸運にも順位が落ちることなくクリック数を純増させることができました。

効果のあったもの、なかったもの


効果大:周辺キーワードの網羅

これはシンプルに一番効果がありました。
・狙いたいキーワードで上位表示されているサイトに含まれてるキーワード
・狙いたいキーワードと一緒に検索されている掛け合わせキーワード
上記をひとつでも多く網羅することで、純粋に記事としての読み応えも上がりますし、加速度的に順位を上げることが出来ました。

効果中:公開初期の広告配信

記事が公開した事をGoogleに知らせるために、少額(30万円〜)で記事に誘導をかけるディスプレイ広告・リスティング広告を行いました。

これはパートナー会社からの推奨で実施しましたが、結果的に広告を打っていない記事も同等に順位が上がっていたので、SEO観点での効果の程は分かりません。

但しキーワードとの親和性の高い記事をリスティング出稿することにより、既存の製品ページと比べて1/3〜1/5ほど、CPCを圧縮することが出来ました。
記事を挟むことでCV導線が複雑になってしまうのは紛れもない事実ですが、記事から製品ページへの遷移率は10-15%ほど、CVRも直流入より好調に推移しているので、チューニング次第では広告クリエイティブの一つとしても活用できそうです。

効果小:記事の細分化

「1記事1キーワード」の思想で記事を細分化したものと、3記事分をまとめたものを同時期に公開して比較しました。

キーワードが異なるので単純に比較はできませんが、インデックスされるキーワードが3倍になったので、細分化させれば良いということは無さそうです。

但し、3記事合体版はこれ以上書くことがなく追加コンテンツの捻り出しに苦労しているので、「小さく産んで大きく育てる」方針も、リスクヘッジの一つとしてはありだと思います。

効果小:サイト内からの導線強化

初期に作った記事は、ブランドサイトの至る所からリンクを貼ったり、プレスリリースにURLを載せてもらったりしましたが、そもそものクリック数が少なかったこともあり、あまり影響は見られませんでした。

別の時期に行った外部リンク施策には一定の効果があったので、そちらは必要に応じて活用するとして、「サイト内リンクは導線があればOK」という形に位置付けました。

まとめ⁑メーカーがSEO対策をする時に大切なこと

そろそろ目標の4000文字に届くので結びに入ります。
色々書きましたが、一番大切なのは「目標設定」
予算やリソースが限られている中で、SEO施策に何を担わせるかの握りが大切だと感じました。

今回のケースでは「経費削減」が大テーマとしてあったので、「リスティング換算価値」や「リスティング出稿時のCPCの圧縮」は会社へ報告しやすい内容でした。

初めに述べたように、SEO対策はすぐに効果が出る施策ではないので、根気と熱意が必要です。

大したことは書いていませんが、私の6ヶ月の気づきが、あなたの施策検討の参考になれば幸いです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?