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東京マラソンが変えた「市民」のためのマラソン

本日は2022年3月5日。このまま予定通りことが進めば、明日3月6日に東京マラソンが開催されます。

コロナ禍以降、都市型マラソンはエリートランナーに限定した開催が多い中、東京マラソンは市民ランナーの出場も条件付きで認められるようです。

私は、2012年に1度だけ東京マラソンを走りました。多くの人の応援と、沿道で行われる伝統芸能や吹奏楽の演奏、ダンスといったイベントで、充実した42kmでした。

改めて市民マラソンにとって「東京マラソン」とは何であるか、考えてみました。

東京マラソン以前のマラソン

私が始めてフルマラソンを完走したのは2002年。2008年に行われた第1回東京マラソンの約6年前です。

2002年当時、フルマラソンの大会は限られました。私が始めてフルマラソンに参加した日刊スポーツ河口湖マラソンは、事前の応募では定員割れをしており、当日エントリーが可能でした。

事前に応募人数に達するのは、荒川市民マラソンや筑波マラソンなど、一部の大会のみであったと記憶しています。

その後、東京マラソン開催により、マラソンブームが到来。「クリック合戦」、「0次関門」という言葉が出来るほど人気のイベントとなりました。

2002年当時からは、想像も出来ないことです。

東京マラソンが変えたもの

では、東京マラソンは、どんな変化を市民マラソンに与えたのでしょうか。

キーワードは3つ。「東京」、「3万人」、「7時間」です。

都市で、多くの参加者が、長い制限時間の中、走れことができる「市民マラソン」を開催したことが大きな変化でした。

それまで東京やその他の主要都市を走るマラソンはありました。東京国際マラソン、東京国際女子マラソンなどです。しかし、東京マラソンとの大きな違いは、出場資格が厳しく定められていたことです。一部のエリートランナーの大会であり、「観る」スポーツでした。

対して東京マラソンは、参加人数を3万人、制限時間を7時間と多くの人、様々なレベルの人が参加できる市民マラソンです。「観る」から「やる」スポーツに変化したと言えます。

東京の観光地を周る、どこにでもいそうな人達が走るテレビ中継で観て、「私も走りたい」「私も走れるかも」という人が多くいました。

東京マラソン以降、各都市や観光地が市民マラソンを開催する様になりました。コースは観光地を意識。制限時間は、長く設定されるようになります。

市民マラソンの社会性

一方、多くのランナーが参加し、長い時間行うことにより、市民マラソンの地域社会への影響力は、良くも悪くも以前より増したと考えます。道路の規制時間は長くなり、公共交通機関も参加者、応援により混雑します。

コロナ禍での市民マラソン開催の賛否が溢れていることは、それだけ社会への影響力が大きいことの証であるとも言えます。

コロナ禍を契機に、今後の市民マラソンは、社会的な意義を問われることとなります。3万人のランナーだけでなく、多くの人にとって意義のある市民マラソンである必要があるのではないでしょうか。

東京マラソンは「お祭り」

東京マラソンは、当初から「お祭り」というコンセプトを持っています。主役はランナーだけでなく、ボランティアや、沿道で応援する人、応援パフォーマンスのイベントも主役である「お祭り」というコンセントがあります。

コロナ禍で行われる2022年3月の東京マラソンでは、市民ランナーは参加するものの、沿道の応援は自粛、多くの応援イベントは中止となっています。

市民ランナーが参加できる都市型マラソンの開催としては、コロナ禍以降の市民マラソンとして東京マラソンが一歩前に進めたと思います。マラソンを変えた東京マラソンの影響力は大きいと考えます。ただし、東京マラソンのコンセプトからすると、半分も復活していないのかもしれません

東京マラソンをはじめ、多くの市民マラソンが「お祭り」として復活して、今まで以上に「市民」のためのマラソンとして発展することを楽しみにしています。

まずは2022年3月6日の東京マラソンが無事に開催されることを祈っております。参加されるランナーの皆さんは、存分に楽しんでください!!


参考文献『東京マラソンの舞台裏 ー東京を3万人が走るまでー』川端康生著

2012年の東京マラソン出場当時に書いたブログ。

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