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夢を諦めた12歳

今日もお疲れ様です。
縄文香る帆立だし味のプライドポテトを食べました。美味しかった!


将来の夢覚えていますか?
叶えた方はいますか?
私は…諦めてしまいました。

3歳から17歳まで習っていたクラッシックバレエ。
発表会は年に一度。衣装やメイク、その他合わせても最低10万はかかる。
シューズにトウシューズ、レオタードにタイツ
レッスン代など年にどれくらいお金がかかったんだろう?よく習わせてくれたと今更思う。

将来の夢はバレリーナか宝塚に行く事。
教室でも何人かの生徒は宝塚を受験していて、誰かがまた受験する、そんな話を廊下で聞いた事は多々あった。

とにかく踊るのか好きだった。
髪をお団子にして毎週レッスンに行っていた。
毎年夏には海外から先生が来る夏期合宿にも行った。
11歳までの発表会は前列で踊り、主役もやらせてもらった。
12歳になり、そろそろ発表会の配役を決める頃に
私は残酷な言葉を聞く。

その日はいつものレッスンとは違い配役を決める日だった。
私は3歳から一緒に習い始めたS子といつも同じバスで通っていた。
その日はたまたまS子の母親が一緒に来ていた。
少しレッスンをして休憩になった時に先生がS子の母親に声を掛けて何やら話始める。
私はその時S子の母親の背後にいたのだ。
嫌でも話が聞こえてくる。

「すみません、お母さん、今回からS子ちゃんが主役になりますから!」
S子母はビックリしている。
「本当ですか?でもいつも夕希ちゃんですよね、何故ですか?」
「いや、ちょっと夕希ちゃんは背が低いので舞台映えしないというか…上手いんですけど、ちょっと背が足りないんですよ。」
「背ですか!でもうちの子もそこまで高くないですよ?」
「いえいえ、上の先生方からも夕希ちゃんの背では主役は無理だと判断しましたので、今回からS子ちゃんになります。よろしくお願いいたします。」

ここまで言い頭を下げた先生。
その時私がS子母の背後にいたのに気付いた。
慌てて私に聞く。
「ゆ…夕希ちゃん、今の話聞いた?」
S子母は後ろを振り返り驚いている。
「ん?何か先生達話してたの?何も聞こえてないよ~」
私は無理やり笑顔を作った。 
「そ、そう、なら良かった!」
そこで大人達の会話は終わった。

子供は時に残酷な言葉を発すると言うが
私からすれば大人も同じだ。
そんな話、レッスン場でしないで欲しかった。
誰が聞いているか分からないこんな場所で…
S子母には良い話かもしれないが
私は立ち直れない位ダメージを食らってしまった。

背が低いとなりたい者にもなれない。
背が低い事をこの時は本当に恨んだ。
宝塚なんて行けるわけがない。
バレリーナなんて夢のまた夢。

帰宅しても親には話せなかった。
1人お風呂の中で泣いた。
悔しかった。
どんなに頑張ってレッスンして上手と言われても
背が低いから無駄だと現実を突きつけられた気がしたから。

私とS子の身長の差は約6cm。
私は6cmに負けたのだ。
6cmも違えば舞台映えする方を主役にするのは当然だ。
納得するしかないから余計に辛かったのだ。

あの時、何で私聞いてないなんて嘘ついたんだろ

夢が12歳で叶わない事を知る。
好きなバレエだったけど幼い時に思った好きと違う。
その日を境にバレエが好きかも分からなくなった。

長い間通っていたプライドなのか何なのかは分からないけどレッスンだけには行っていた。
ただ、思春期になると体つきが変化する。
女性特有の丸みを帯びた体になっていく。  
その変化に心が追いつかない。

次第にレッスンを休むようになった。


もう、続けるの疲れた…

17歳になり母親に言った。

「もう、バレエやめてもいいかな?」








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