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ちょっとニッチな児童文学 11 「チキンとプラム」

 ちょっと更新滞ってしまった……のつもりが、気づけば1年3ヶ月ぶりのnote更新になっているMaemichiでございます。
noteのアカウントが生きていることが奇跡です。(ログインパスワードを間違えまくってロックがかかったことはさておき)

 さて今回は、ジェンダーフリーアンソロジー『TRUE colours』より、「チキンとプラム」をご紹介します。いつもながら、多分のネタバレを含んでおりますので、わざわざネタバレnoteなんて見たくないわ!という方はご遠慮ください。

 中学生のすももは父親との関係に悩んでいる。父親がすもものスカートをめくったり、入浴前に脱衣所で服を脱いでいるところに入ってこようとするなど、家庭内セクハラをしようとしてくる(本書ではセクハラと入っていないが)。すももが嫌だと言っても、姉も母も冗談だと思って本気でとりあわず、すもも自身も、強く拒否できているわけではない。基本的に優しくて、友達の間では面白いお父さんだと人気。すもももいいお父さんだとは思っている。
 クラスメイトの雅(みやび)の事情を知り、すももも家でのことを話してスッキリするも、ある日父親の態度に我慢の限界を超えて、家を飛び出してしまう。その帰りの車中で、母親に父親の行動が嫌だということを伝え、母親もすももの気持ちに気が付かなかったと詫びる。姉も父親に対して「私は平気だけど、(だからって)すももも気にするなって話じゃないじゃん。私とすももは別の人間なんだから。」と一蹴する。

 タイトルにあるチキンは臆病者を意味していますが、すももが父親のセクハラを強く拒絶できないこと、自分の気持ちをはっきり言えないことが「チキン」。
父親のセクハラジョークにはザラっとした感覚になる。悪気がなければ何をしても許されるのか?本人の気持ちはどうなるのか?すももは家庭内で不協和音を起こさないよう我慢をしているのは読んでいてどうにかしてあげたくなった。
父親の度を超したスキンシップを、娘がどれほど嫌がっているかわかっていない男親のニブさに怒りさえ湧きそうになる。自分が楽しいからといって、相手も楽しんでいるわけではないのかもしれない、父親としての愛情表現とセクハラを履き違えている父親は、家族である前に異性という前提が抜け落ちてしまっている。
とりあえずこんな親にはなりたくない。

 今回のMaemichiは少々お怒りモードでした。こんな父親、もしくは悪気なくセクハラまがいなことをしてくる異性(もしかしたら同性?)はいませんか?悪気なくセクハラしてくる相手に、される側の心理をすぐに理解してもらうことは難しい。でもチキンにならずに、嫌なことははっきりと嫌と言える勢いと強さがあれば、状況はきっと好転する。
 


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