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2024.7.1 北海道議会 予算特別委員会(第1分科会:総合政策部所管事項)質問

 皆さん、こんにちは。
 北海道議会議員の千葉真裕です。
 令和6年7月1日、第2定例道議会の予算特別委員会(第1分科会)において、質問を行いました。


一 交通政策について

 交通政策について伺います。

(一)北海道新幹線札幌延伸に係る新たな枠組みについて

 まず、北海道新幹線札幌延伸に係る新たな枠組みについてであります。
 先般、北海道新幹線の建設主体である鉄道・運輸機構が、2030年度末の完成・開業が困難との報告を国土交通大臣に行い、これを受け、知事は、国や鉄道・運輸機構、駅が立地することとなる自治体、経済界などと、情報共有や情報の可視化を行うために、新たな枠組みを設ける考えを示されました。この点に関し、以下、伺います。


1 北海道新幹線建設促進期成会の役割などについて

 北海道新幹線の建設促進に向けては、これまで、北海道新幹線建設促進期成会などが熱心な活動を行ってきたものと承知していますが、道や沿線自治体、経済界などは、これまでどのように取り組んできたのか伺います。

【答弁:相内 総合政策部交通政策局交通企画課新幹線推進担当課長】
 期成会などの取組みについてでございますが、これまで北海道新幹線の建設促進に向けては、知事を会長に、沿線自治体や経済界など官民一体で組織いたします「北海道新幹線建設促進期成会」を中心に、オール北海道で陳情や要請活動、広報活動を行ってきたところです。
 また、建設工事の円滑な推進を図ることを目的に、道、鉄道・運輸機構と沿線自治体の事務担当者によります「北海道新幹線建設促進連絡・調整会議」を設置し、トンネル工事による発生土の受入や、受け入れた発生土の管理などについての情報共有と調整を図ってきたところでございます。


2 新たな枠組みの役割等について

 新幹線整備に関連し、様々な目的の会議体が、それぞれ役割を果たしてきたとのことですが、こうした中で新たな枠組みを設けるならば、それぞれの会議体と新たな枠組みとの役割の整理が必要と考えます。
 新たな枠組みにどのような役割を持たせるのか、期成会など従来の会議体との関係をどのように整理するのか、伺います。

【答弁:川村 総合政策部交通政策局新幹線担当局長】
 
新たな枠組みの役割等についてでございますが、この度の鉄道・運輸機構からの国土交通大臣への報告を踏まえまして、今後、関係者間において、新幹線工事の進捗状況について適時適切に確認いたしますとともに、札幌開業を見据えた国の対応などに関する情報共有を充実することにより、1日も早い札幌開業に向けた関係者間の認識を一つにして、相互の連携を強化・確認しつつ、広く道民の皆様などに対しても、工事状況などを速やかに提供し、情報を可視化していくことが重要と考えてございます。
 道といたしましては、今後、新たな枠組みを設置することによりまして、新幹線工事を取り巻く課題を的確に把握することで、それぞれの会議体が有する役割に応じた対応を図ってまいります。


3 新たな枠組みの構成等について

 新たな枠組みに関する、先般の我が会派代表格質問に対し、知事は、各団体のトップで構成する会議体と、下部組織となる会議体の二層構造とするとのことでしたが、具体的にどのような構成を想定しているのか、また、今後どのように進めていく考えなのか、伺います。

【答弁:川村 総合政策部交通政策局新幹線担当局長】
 
新たな枠組みの構成等についてでございますが、今後設置する新たな枠組みにつきましては、国や鉄道・運輸機構、道をはじめ、駅立地自治体など地元関係者で構成することを基本とし、各団体のトップで構成する会議では、国や鉄道・運輸機構に対し説明を求める工事に関する報告をもとに、1日も早い札幌開業に向けた課題への対応などに関し、直接、意見交換を行うことを想定してございます。
 また、この会議体の下には、実務者による会議を設置いたしまして、道民をはじめ地元の関係者の関心が高い工事の進捗状況をはじめ、国の有識者会議において検討されている事項や、トンネル工事の実務に詳しいメンバーにより構成されますワーキングチームにおいて検討、協議されている実務的な内容などについて確認するなど、それぞれの会議を開催した後には、速やかに会議情報を発信してまいる考えでございます。


4 今後の対応について

 この度の鉄道・運輸機構の報告を受け、地域においては、開業目標が見通せないことに困惑しており、このことは自治体における整備計画や民間投資などへの影響が大きいものと考えます。こうした影響を最小限のものとするためには、新たな枠組みによる対応を早急に進める必要があるものと考えますが、今後、どのように対応する考えなのか、伺います。

【答弁:宇野 総合政策部交通企画監】
  今後の対応についてでございますが、この度の鉄道・運輸機構からの国土交通大臣への報告のほか、5月29日に開催しました関係者会議における北海道新幹線札幌開業を見通せないことによる影響を懸念する意見等も踏まえ、今後、速やかに新たな枠組みを設置するとともに、工事の進捗状況はもとより、有識者会議などでの検討状況を把握し、国における今後の対応を確認するため、実務者による会議を早急に開催する考えでございます。
 道といたしましては、新たな枠組みを通じ、その内容について、広く道民の皆様にわかりやすく情報発信し、沿線自治体や民間企業等が情報を共有することにより、まちづくりをはじめとする懸念の解消や沿線自治体における様々な課題への対応が図られますよう、関係者の皆様と一丸となって取り組んでまいりたいと考えています。

(指摘:千葉 真裕)
 ここまで北海道新幹線札幌延伸に係る新たな枠組みについて伺ってまいりましたが、情報共有や情報の可視化の前提として、重要な情報をいかに早い段階で取得できるかが大変重要であります。この点にも十分留意しながら取組みを進めていただくよう、指摘をいたします。
  この件については、改めて知事の考えを伺いたく存じますので、委員長よろしくお取り計らい願います。(→知事総括質疑へ)


(二)地域における移動手段の確保について

 次に、地域における移動手段の確保についてであります。
 地方部でのタクシー最低車両数の緩和や、従来、北海道内では9つの地域でしか認められていなかった、いわゆる個人タクシーが、最低車両数が1両の地域で一定の条件の下で認められるなどタクシー事業の規制緩和のほか、自家用有償旅客運送制度の運用改善、輸送の安全を確保したかたちでの自家用車活用事業がスタートするなど、地域の足を担う公共交通をめぐる状況が大きく変化しています。
 この点については、私が昨年の第3定例道議会の一般質問でも伺ったところですが、改めて地域における移動手段の確保について伺います。


1 タクシー事業の規制緩和等の具体的内容について

 まず、昨今の、タクシー事業の規制緩和及び自家用有償旅客運送の運用改善、自家用車活用事業の具体的内容について伺います。

【答弁:齋藤 総合政策部交通政策局交通企画課地域交通担当課長】
 
タクシー事業等を取り巻く状況などについてでございますが、国におきましては、昨年から、地域における移動手段の確保に向けて政府の「デジタル行財政改革会議」などを中心に、各種制度の規制緩和などの見直しの検討を進めており、タクシー事業については、交通不便地域などにおいて、法人タクシー事業の維持や新規参入が柔軟に行えますよう、営業所毎の法人タクシー車両の台数基準を一定の条件の下で緩和するなどの見直しを実施したところです。
 また、市町村等が主体となって運行しております「自家用有償旅客運送」についても、運行経費を適切に収受できるよう、従来はタクシー運賃の5割までとしていた運送対価の目安を8割に見直すとともに、ダイナミックプライシングの導入を可能とするよう運用改善を実施しております。
 これらに加えまして、先般、国は、タクシーが不足する地域において、タクシー事業者の管理の下、一般住民等を活用した輸送サービスの提供を可能とする新たな制度として「自家用車活用事業」を創設し、道内においても、先般、札幌交通圏において一般ドライバーの運行によるサービスの提供が開始されたところでございます。


2 地域別検討会議について

 道では、北海道運輸局や北海道ハイヤー協会と連携して、ただいま答弁のあった内容の説明を含む「地域別検討会議」を、先月3日から道内8ヶ所で開催したと承知しています。この検討会議の位置付けと併せて、今回の検討会議では、参加者からどのような意見が寄せられ、今後、どう活かす考えなのか伺います。

【答弁:齋藤 総合政策部交通政策局交通企画課地域交通担当課長】
 
地域別検討会議についてでございますが、道では、北海道運輸局及び北海道ハイヤー協会と連携しながら、「地域別検討会議」を全道8地域で開催し、先般、国が創設した「自家用車活用事業」の制度理解を深めるとともに、併せて、市町村等が運行しております「自家用有償旅客運送」についても見直し内容を説明するなど、地域における移動手段の確保に向けた取組みを進めているところです。
 当検討会議に出席いただきました市町村やタクシー事業者の方々からは、「制度理解が進んだため、今後の移動手段の確保に向けて地域で検討したい」といったご意見や「現行のタクシーにより、エリアや時間帯がカバー出来ており、新たな制度導入の必然性に乏しい」などといった様々な意見があったところです。
 道といたしましては、これまでも市町村に設置されている地域公共交通会議に振興局職員が参加し、「自家用有償旅客運送」の円滑な運用などにおいて必要な助言を行っているところであり、引き続き、多様な主体と連携しながら、地域の実情に応じた輸送手段が確保されるよう検討を進めてまいります。


3 今後の対応等について

 個別の移動ニーズにきめ細かく対応できる輸送サービスについての財政的支援は、主に域内交通であることを理由に各市町村の役割としていた部分があったと思いますが、各市町村での取組みにも限界があり、地域の足を取り巻く環境は一層厳しさを増しているところです。
 国に財政的支援を求めるのはもちろんでありますが、道においても財政的な支援策について検討することも必要であり、交通モードによる区分けではなく、地域の足を確保するためには何が最善かという観点から、主体的・積極的に取り組む必要があると考えます。
 その点を踏まえたうえで、道がこれまでタクシーなど個別の移動ニーズの確保に向けて実施してきた支援内容を伺うとともに、昨今の規制緩和及び今回の検討会議での意見を受けて、地域における移動手段の確保に向け、今後どのように対応していくのか、道の所見を伺います。

【答弁:斎藤 総合政策部交通政策局長】
 
地域における移動手段の確保につきまして、今後の道の対応などについてでありますが、人口減少に伴う利用者の減少や運転手不足などにより地域の交通事業者を取り巻く環境が厳しさを増す中、道では、これまで、タクシー事業者などに対しまして、国の臨時交付金を活用しました車両維持経費等の支援を行いますとともに、地方部における地域住民の交通手段の確保に向けて、地域づくり総合交付金を活用したデマンド型乗合タクシーの運行支援といった取組みを実施してきているところでございます。
 また、多くの事業者が課題として直面しております運転手確保に向けましては、交通事業者などと連携した合同就職相談会の開催や道外プロモーション活動等を実施しているところでございます。
 こうした中、国において検討が進められておりますタクシー事業をはじめとする輸送手段の確保に向けた諸制度の見直しなどにつきましては、住民の暮らしを支える上で、必要な移動手段の確保に不安を抱えております道内の多くの市町村にとりまして、課題解決の一助になり得るものと考えているところでございます。
 このため、道といたしましては、引き続き、国における新たな法整備の検討に向けた動向などを注視することをはじめといたしまして、これらの制度が地域の実情に応じて効果的に活用できるよう、市町村や交通事業者など関係者と一層、連携しながら、利便性の向上や運転手確保に取り組むなど柔軟かつ幅広い観点を持ちながら、様々な対応を図ってまいる考えでございます。

(指摘:千葉 真裕)
 地域の足を確保するため、制度の規制緩和や運用改善などが大きく進んでいます。そうしたなかで、これを機に、地域交通の担い手として頑張ろうという意欲を持った方々も出てくると思いますが、その方々が「地域の足」として根付くまでは、「添え木」が必要であります。
 そうした意欲のある方々に対して、各市町村のみならず、道としても、財政的支援を含め、しっかりバックアップしていただくよう、強く指摘をいたします。


(三)JR北海道の黄線区における利用促進について

 最後に、JR北海道の黄線区における利用促進についてであります。


1 道の認識について

 JR北海道が発表した中期経営計画では、単独では維持困難として地域との協議を求めている、いわゆる黄線区について、徹底した利用促進やコスト削減などの取組みを通じ、令和8年度末までに線区ごとの事業の抜本的な改善策を確実に取りまとめるとの考えを打ち出しています。
 しかし、人口減少が避けられない中で、沿線住民の利用はもちろんですが、国内外からの観光需要を黄線区の鉄道利用にいかに結び付けていけるかが抜本的な改善策のカギを握ると考えます。
 黄線区の沿線エリアは、道が力を入れているアドベンチャートラベルの適地として大きな可能性を秘めており、JR北海道と沿線市町村や地元の交通事業者等が連携して、二次交通を充実させ、来訪する旅行者等の移動ニーズに的確に対応できる、きめ細かなサービスを提供できるよう取り組んでいく必要があります。
 そうした意味で、黄線区の抜本的な改善策は、鉄道のみ、また、線区ごとの利用促進の取組みではなく、面的な広がりをもった、他の交通モードと繋がる取組みでなければならないと考えますが、道の認識を伺います。

【答弁:佐藤 総合政策部交通政策局交通企画課鉄道企画担当課長】
 
黄線区における利用促進についてでございますが、鉄道の維持・活性化に向けては、地域住民の利用促進を積極的に展開していくことをはじめ、コロナ禍後に回復基調にある道外客やインバウンドなど、観光客の利用拡大を図っていくことが重要と考えているところです。
 道では、これまで、沿線自治体と連携しながら鉄道とバスとの連携に係る実証事業や、共通時刻表の作成への支援など、観光利用も含めた需要の更なる取り込みに向けた取組みを進めてきており、引き続き、沿線地域の協議会とバス、タクシーなど他の交通事業者との連携を密にしながら、旅行者の利便性の向上に向けて取り組む必要があると考えております。


2 今後の対応について

 黄線区の利用促進につながる二次交通の充実にあっては、バスやタクシーはもとより、既存の交通事業者が担いきれない部分については、自家用有償旅客運送など、多様な担い手が想定されます。
 これらの方々とJR北海道、関係市町村や多くの関係者との調整等、こうした取組みを円滑に進め、黄線区の維持はもとより、これらの線区が北海道全体の成長・発展に結び付くものとしていくためには、広域自治体である道の役割は極めて大きいと考えます。
 ただいま申し上げた視点も踏まえながら、道は、黄線区の利用促進に向けて、しっかりと役割を果たしていく必要があると考えますが、今後どのように対応する考えなのか伺います。

【答弁:佐々木 総合政策部交通政策局鉄道担当局長】
 利用促進に係る今後の取組みについてでございますが、鉄道の利用拡大を図っていくためには、JRのみならず市町村やバス・タクシー事業者など、関係者間の連携を図るとともに、昨今のタクシー事業の規制緩和や自家用有償旅客運送の運用の改善などといった、国の動向を見据えながら、移動の利便性確保に向けた取組みを進めていくことが重要であると認識しております。
 道といたしましては、これまで、北海道鉄道活性化協議会を中心に、観光利用の促進など、地域と連携しながら、取組を進めてきたところでありまして、今後、こうした協議会の取組みと各線区の沿線協議会の取組みとの連携により、相乗効果を高められるよう事業を展開するとともに、沿線地域における鉄道とバス・タクシーとの連携に係る事業の展開への支援や、釧網線などで実績のあるサイクルトレインの実施など、地域の様々な関係者との連携を図りながら、黄線区の利用促進を進め、本道鉄道網の維持・活性化に向け、取り組んでまいります。

(指摘:千葉 真裕)
 ただいま縷々答弁がございました。
 「連携」が必要なことはもとよりですが、その連携が利用者利便にいかに繋がるかが大変重要であります。いかに利用促進を図っても、利用者にとって不便なものであれば、利用者が増えることはありません。
 特に、インバウンドを含めた観光需要の取り込みにあっては、言語の壁や文化の違い、土地鑑がないなどの要素も十分考慮しなければなりません。
 そうした意味では、答弁では言及はありませんでしたけれども、多様な交通サービスの経路、時刻表等のデータ検索や予約、決済を1つのサービスとして利用者に提供するといった、「モビリティ・アズ・ア・サービス」、いわゆる「MaaS(マース)」の考え方を十分念頭に置きながら、今後、対応していただくよう強く指摘して、私からの質問を終わります。(了)

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