見出し画像

「量の観光」と「質の観光」は両立できる!(なぜ「観光」なのか?その3)

 こんにちは。ちば真裕です。

 10月11日から、国際的な人の往来再開に向けた水際対策緩和等が開始されました。
 ・1日あたり5万人とされていた入国者数上限の撤廃
 ・個人の外国人旅行者の入国解禁
 ・観光訪問など短期滞在者のビザ免除措置(68の国や地域が対象)再開
 ・コロナ感染が疑われる症状がない限り入国時の検査を行わない
 ・入国後の待機不要に
 併せて、国内でも「全国旅行支援」が開始され、20日から東京でも「ただいま東京プラス」が開始されたことで、全都道府県で実施されることとなりました。

 北海道では、コロナ禍前の令和元(2019)年度、1兆5,159億円あった総観光消費額が、コロナ禍初年度である令和2(2020)年度は4,354億円、令和3(2021)年度は5,481億円と、2年連続でコロナ禍前の水準から約1兆円(経済波及効果を加えればそれ以上)減という大逆風でした。

 今回の「全国旅行支援」は、以前実施された「Go To トラベル」とは異なり、国直轄の事業ではなく、各都道府県が行う旅行支援事業に対して、国が補助する事業です。補助上限額など大枠の取極めはありますが、その範囲内であれば、各都道府県が地域の実情に合わせて制度設計をすることができます。つまり、どういった設計にするか、与えられた予算の範囲でどれだけの効果をもたらすことができるか、各都道府県の力量が試されるわけです。

 また、物価高や原料高というネガティヴな側面が強調される約30年ぶりの円安ですが、インバウンド(訪日外国人旅行者)にとってみれば、「割安で日本旅行ができる」大きなチャンスとなります。そうした意味で、「観光」は輸出産業と同じ性質を持つことにもなります。「ピンチをチャンスに!」、現在の情勢をうまく活用することが重要です。

 ただ一方で、「全国旅行支援」も「円安」も未来永劫続くものではないことに十分留意しなければなりません。「安いから旅行・観光に行く」という旅行者は、裏を返せば「安くなければ行かない」ということになりかねません。また、他の業種にもれず、観光業の「人手不足」も深刻な状況です。関係の皆さんから、人手不足によって、需要を取りこぼしているお話も多数耳にします。

 コロナ禍は、世界中の人々の価値観やライフスタイルに大きな影響を与えました。観光・旅行スタイルは、そうした価値観・ライフスタイルが大きく影響します。
 これからは、従来型の、予めパッケージされた、いわば「受動的」な旅行・観光スタイルから、旅行者がトラベルデザイナーやガイドとともに創っていく「能動的」な旅行・観光スタイルへの関心がより高まっていくと思います。

 その代表的なもののひとつが、「アドベンチャートラベル(AT)」です。
 「アドベンチャートラベル(AT)」とは、「アクティビティ、自然、文化体験の3要素のうち、2つ以上で構成される旅行」と定義されることがありますが、私自身は、英語圏でない私たちにとっては誤解を招く定義だと思っています。(TravelとTourの違いについては、下記をご参照ください。)

 私は、ATに不可欠な要素は、「能動的であること」、「旅行前と旅行後での自己変革・自己革新」であると思っています。そうしたものであるからこそ、いわゆる「富裕層」と呼ばれる方々がそうした旅行形態を好むのです。

 いわゆる「富裕層」は、予算制約なく自らの興味関心で世界中どこへでも旅行することを厭わない人々です。世界の一流のサービスや体験を経てきているわけです。また、多くの場合、「富裕層」は、世界各国の一流の教育を受けた「教養層」でもあります。
 そうした人々を相手にするということは、お迎えをする側も相当な研鑽を積まなければなりません。旅行者がもつ興味・関心・想像力に幅広く対応し、さらに、旅行者が求める以上のモノを返すことができる。そうした「人」の存在が必要不可欠です。裏を返せば、ATにおいて、そうした「人」がいれば、殊更に「観光コンテンツ」を重視する必要はありません。普段の何気ないもののなかからでも、旅行者のもつ興味・関心・想像力に結び付けることができるからです。

 このように、従来型のいわば「量の観光(マス・ツーリズム)」とATに代表される「質の観光」は、組み立ての入口から違います。入口が違うからこそ二律背反ではなく、両立できるものなのです。
 「量の観光」も「質の観光」もどちらも対応できるようになれば、それこそ「鬼に金棒」です。
 私は北海道にはそのポテンシャルが十分にあると思っています。

 最後までお読みいただきありがとうございました!
 Facebookでも活動報告をしていますので、是非ご覧ください!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?