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【大学生日記】初めての古着屋は博物館だった

1.古着屋の"ハードル"

古着屋の敷居が本当に高かった。前を通ると感じる独特の空気。一歩店に足を踏み入れれば異国、いや異世界に吸い込まれてしまう気がした。実際、古着屋から出てくる人を見たことがなかった。多分。

古着屋に入るには古着がドレスコードだとも思っていた。高級なレストランにはジャケットで、葬式には喪服で行くように、古着屋には古着で入らなければならないと。ジャケットはレストラン以外で手に入るし喪服は葬式会場の外で購入できる。ただ、古着は古着屋でしか手に入らない。「一見さんお断り」のお店と同様、"1回目"をどうするかが最大の問題だった。

そして今日、その"1回目"に飛び込んできた。中学時代の友人に連れられて古着の本拠地である「下北沢」へ初上陸。四六時中椎名林檎を聞いているような人しかいないという偏見を抱いていたが、全然そんなことなかった。バンプもいきものがかりも乃木坂も、彼らのイヤフォンには流れていたように思う。

2.異世界「下北沢」

初めて足を踏み入れた「古着屋」は、博物館のようだった。これまで着ることのなかったジャンルの、それでいてどこかで見たことがあるような服が並んでいる。歴史の教科書で見たことのある土器や浮世絵を鑑賞したあのときの気分に近い。実際に展示物を触り、試着・購入までできる博物館。楽しくないわけがない。

持つべきものは下北沢に連れ出してくれる友である。さすがにこれぞ古着みたいな服を買う勇気は出なかったが、しっかりと戦利品を右手に異世界を後にした。

実際に古着屋に赴いて思ったが、ドレスコードはちゃんとあった。薄暗さで若干ごまかされてはいたものの、すれ違う客はみな古着に身を包んでいた。ユニクロを着てユニクロに行くのは"恥"であるのに、古着屋は古着で行くのが定石ということか。

納得はいってないが、郷に入るからには郷に従わなければならない。一つだけ確かなことは、ドレスコードのある薄暗い小さな博物館が想像以上に素晴らしかったことである。


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