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《Vol.1/4 Introduction》 - 「契約のリデザイン」Project log

普段外からは見えにくい「クリエイティブプロジェクトのプロセス」を公開していく試みを、全4回のnoteでお届け。今回の案件は「契約のリデザイン」プロジェクト。note第1回はいわゆる“与件の整理”です。プロジェクトメンバー間でクリエーションの前提を共有します。


《オーナー》 ソーシャルM&Aサービス-GOZEN

私も参画しているGOZEN(ゴゼン)が今回のプロジェクトオーナー(≒依頼主)。GOZENは、美意識あふれるスモールビジネスや社会課題の解決を目指すソーシャルビジネスを対象に、小規模なディールでもM&Aをサポートするサービス(ソーシャルM&A)を運営しています。

「社会的意義が深いこと」と「市場での経済規模が大きいこと」が必ずしもイコールにはならない現在の社会で、規模が小さいからといって意義ある事業を諦めて閉じてしまうのではなく、他の出口選択肢のひとつとしてソーシャルM&Aが生まれました。事業の意味や想いをキープしたままM&A(企業や事業の合併や売却)を行うことで、文化的・社会的・経済的価値を拡大したり、立ち上げたクリエイターがその事業の経営だけに縛られることなく、多様なライフスタイルやキャリアを選べるようになることを目指しています。


《お題》 ビジネス契約書という儀式をリデザインする

スモールビジネスやソーシャルビジネスにとっての『契約』はどんなあり方が美しいのだろう?

GOZENはM&A仲介をメイン事業としている性質もあり様々な外部の方と協力関係を結びながらプロジェクトを進めています。
もちろんM&Aだけでなくすべてのビジネスや利害関係の過程には、大なり小なり必ず「契約」というものが存在します。

いわゆる契約と言うと、A4コピー紙に羅列された頭に入るような入らないような定形書式の文字列を思い浮かべます。
本当に大切なのは、その契約を通じて結ばれる未来に向けての希望や約束のはずなのに、愛を込めにくい、この儀礼的な書式のままで良いのだろうか?

GOZENなりの契約をリデザインすることを通じて、GOZENと関わる方々とのこれからの『関係』、そしてGOZENが体現したい『オルタナティブな資本主義*』を表現する、ある種のスペキュラティブデザインプロジェクトです。

*「オルタナティブな資本主義」:経済規模至上主義ではなく、「美しさと正しさで金儲けする」ニュアンス。詳しくはGOZEN代表布田のnoteもご覧ください→https://note.com/drapology/n/n57e39f58285b


《何をつくるか》 クリエイションのゴール

クリエイションの条件(要件)

  1. 契約書として成立するものであること
    思考実験・アソビとしてのクリエイティブではなく、GOZENが今後ビジネスパートナーと契約を結ぶ時に実際に法的根拠となりえるもの。(※詳細後述)

  2. なんらかの形でソーシャルM&Aの要素が入っていること
    GOZENの存在意義・コンセプトを体現するものとして、サーキュラー・エコノミー(循環型経済)を感じられる体験でありたい。一方通行ではなくグルグルさせること、バトンが回されていくこと、素材に意味があるもの等。

  3. 文脈に精通していなくても分かりやすく映える、おしゃれであること
    GOZENのコンセプト発信・PRも兼ねた取り組みでもある。「クラウドサインの方が楽じゃん」みたいな感情を上回り、その契約書をもっていたくなる/やってみたくなる/自慢したくなる体験。

対象とする契約の種類

GOZENが取り扱う契約の種類も多様なため、今回は「コミュニケーター契約」についての契約書に与件をしぼることとする。

■コミュニケーター契約とは
ソーシャルM&Aのコンセプトに共感する起業家・実業家・クリエイターの方が、”コミュニケーター”としてGOZENと手を結ぶ契約。
GOZENコミュニティ内での情報交換・ネットワーキングも想定されるため、NDA(秘密保持契約)も含む契約を取り交わすことでソーシャルビジネス・スモールビジネスのエコシステムの安心した発展を目指します。
>> GOZEN 100 Communicator Projectについて詳しくはこちら

■契約書として成立する要件
与件の「1. 契約書として成立するものであること」に準拠するため、事前に弁護士に法的に有効な契約書の定義についてヒアリングしました。

基本は口頭のやりとりでも契約は成立する。契約書の印鑑は「お互いに確認しています」という印であり、事後に改ざんされないことが重要。
紙でなければならないというような素材の制約はなく、岩盤に書こうが布に書こうがなんでもいいが、後にバラしたり組み替えたりできる素材では内容の改ざんができてしまうので工夫が必要。

弁護士先生にうかがったヒアリングの大まかなまとめ


イメージリファレンス(プロジェクト初期時点)


プロジェクトメンバー

End-client:GOZEN(布田尚大)
Project owner&organizer:ALFALFA(清水千晶)
Art Director:吉岡洋司

Art Director:吉岡洋司

音楽家、建築家、プログラマー、デザイナーを経て、アートディレクターとして活動。サウンド、3D、アニメーション、グラフィックなど、複数の要素をひとつのコンセプトにまとめることを得意とし、WEBやMVの制作を行う。2018年よりクリエイティブエージェンシー Steve inc. に参画。趣味は読書で、最近は契約書を読むことが多い。


今回Art Director/Plannerとして依頼したのは、清水の前職の同僚である吉岡洋司さん。建築の文脈を持ち、デザインを空間的に捉えるアプローチが特徴(と思っている)の方。「契約に込められた愛」の感情体験をまるごと可視化したい本プロジェクトにおいて、思考実験に寄り添っていただきながら形にするところまで引っ張っていただきたいと思い、ご依頼しました。


以上の目的をすり合わせた上でプロジェクトがスタートしました。
次回はいよいよディスカッション。複数回にわたったMTGの端々を共有いたします。

>> Next 「第2回 Discussion」

ソーシャルビジネス・スモールビジネスに寄りそうM&A仲介サービス - GOZEN

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