【日記】会期最終日の「兵馬俑と古代中国」　ほか

会期最終日の「兵馬俑と古代中国～秦漢文明の遺産～」

会期最終日の混雑具合、すごく怖かった

　11月からやっていた展覧会で、上野に用事があるときよく目の前を通り過ぎることも何度かあった「兵馬俑」展、1月より休みの日に美術館に通う習慣を始めてから興味が湧いてきたので行ってみることにした。

　個人的なスケジュールの都合で会期最終日にしか訪問できなさそうで、どのくらい混雑するか心配していたのだけど想像以上に人が多くて大変だった。自分の鑑賞したい順序やペースで観られるような状況では決してなく、人との距離感に気を遣う回数が多すぎたため、中盤以降は解説等もほとんど読み飛ばして遠目から展示物を一瞥して早々に退散してしまった。今日はエゴン・シーレ展も訪問する予定だったけれど、「兵馬俑」展ほどではないにしても人が多そうだと思いそのまま帰路に着いた。

　思えば、上野はかなりの観光地だから、会期最終日となれば都外からも多くの人が観にきていたんだと思う。私は紀元前の中国史の勉強がしたくて訪問していたんだけれど、そういった目的で鑑賞していそうな態度の人は割合として少なく、アトラクション的に楽しんでいた人の方が多かった（そういう鑑賞の姿勢を非難する意図は一切ない）。私は平日休みが多いため日中に美術館に行くことが多く、そういった時間帯には娯楽目的で訪問しているように見える人の割合は今日ほど高くない。そういう意味で私にとっては珍しい雰囲気を感じられる展覧会で、訪問する時期によってあんなにも会場内に漂う空気が違うものなのだなと面白く感じるところはあった。

　滞在したのは30分ほどという普段の3分の1にも満たない時間になってしまい、2100円という比較的高い入場料を払っておきながら古代中国の文物を満足に観られなかったのは残念だったけれど、今までの美術館訪問では感じられなかった美術鑑賞体験はできたので、得るものはあった。入場料が高価だからなのか、公式図録は分厚く、会場内に記載のない図録限定のコンテンツも多くあって充実していた割に2500円という安価な値段だったのは嬉しかった。

展示物の感想

　先月末、根津美術館で中国殷・周時代の文物を鑑賞していたので、それよりも後年に当たる春秋時代・秦・漢の文物を見られたのは非常に良い勉強になった。紙が発明されて文字情報の伝播が容易になり、文化の発展速度が飛躍的に高まったのも前200年頃の漢の時代で、そういった背景等を踏まえながら観ると、「古代中国」と一括りに言えども各時期によって細かな差異があることに気付きやすくなるのが嬉しかった。

　庶民文化よりも王朝文化に重きを置いていた展示であり、絢爛な装飾や規模の大きさを楽しむのも単純に良かった。観ることができて感激したのは、《「王精」龜鈕金印》、《鎏金青銅馬》。第三章、漢王朝の調度品を並べた箇所は全体的に良かった。図録で見ると理解できない文物のサイズ感を直に把握できるのはやっぱり良い。兵馬俑のスケールも非常に大きく、日本に影響を与えた中国文明の壮大さは例え表面が色褪せども華やかな印象は変わることがなく、強く胸を打たれた。

　一階フロアのカジュアルさは個人的に惜しかったけれど、多くの人々が楽しめるようにする配慮があったと思われるので多くは言わない。人混みの酷さにうんざりしてしまったけれど、今後の訪問スケジュールは慎重に考えようと思える良い機会だったし、こうして文章で振り返ってみれば面白く感じたものは多く、実りある訪問だったと思う。ゆっくり観られなかったものは図録で楽しむ。

午後以降

　午後から頭痛が酷くなり、ほとんど何もできずに過ごした。午前中から美術展でかなりストレスを蓄積して消耗してしまったので止むを得ない。

　この頭痛の根本原因は一昨日と昨日にやった三点倒立っぽくて、入浴して首の筋肉の強張りが解けたらずいぶん楽になった。思えば三点倒立をするのは半年ぶりくらいで、その割に各日10分くらい練習してしまったのが良くなかったと思う。短期間にガツンと鳥くんでもダメで、日々コツコツと積み重ねないと身体の良い成長は見込めないことを再認識した。

　健康第一。

読んだ本

『白』

　30ページほど進んだ。意外と100ページない本なのでもう三分の一。

　記憶から取りこぼしたくなくていつでも引き出せるようにしたいと思う良い情報がたくさん詰まってて、ページを進めるよりも本を開きながら情報を書き取る作業に時間を費やした方がいいんじゃないかと感じる。最近本読んでると毎回このことを考える。

　多読は確かに効果があるけれど、それはどこかで頭打ちになるんじゃないかという気がしてきている。研究のために読書をする場合、本の情報を圧縮する作業がどうしても欠かせないと思う。本との付き合い方を変えないといけない時期に差し掛かってきた。

買った本

　「兵馬俑と古代中国～秦漢文明の遺産～」展の図録と、上野のブックオフで買ったもの。上野のブックオフ、とても品揃えが良くて気に入った。