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廣川ちあき
2018年11月14日 02:54
むせかえるほどにのぼせそうなほどに街灯にやたらまぶしく照らされた人波その流れをさかのぼって歩みを早めるこんなときくらいは強いシャチのひれでも欲しい人混みの中をすり抜ける耳は浮き立った会話たちのハイライトを拾う遠くの水音が通奏低音のように途切れずに近づいてくる雑踏から取り残された一角にほてった頬を冷ます風が吹いて見上げれば月の光を透かしてふわふわと揺れるハクモクレンはまだ終
2018年10月5日 20:23
僕たちはまだ互いに優しくなるやりかたを知らない月曜朝8時13分発 特急京王線新宿行き 満員電車脱毛サロンのモデルが口を半開きにしてこちらを見ている誰かの舌打ちが聞こえるサラリーマンの肩越しにライブ配信アプリの画面が見える 僕らは互いの心臓のありかさえ知ろうとしないのだ夜道をこちらに向かってくる人の左胸が白く発光していたのを覚えているそれは左胸のポケットに入れたスマートフォンの画面