見出し画像

理想に近づきたくば、あらゆる失敗をフルコンプリートせよ


気づけばもう7月。
フレッシュな新入社員さながら、働きたてホヤホヤの私は、ここ1ヶ月ほど仕事でのあらゆるアクションを、見事に間違えまくっている。

そして、「次もダメだったらどうしよう…こわいな…」という、生まれたての子鹿のように震え怯えるフェーズに入ってしまった。


もともと要領はあまりよくないし、今までも根性論でなんとか乗りきってきたことが多い。それに加えて、仕事のことを覚えたり考えたりするのだけで、どうやら脳のフルキャパシティが埋まってしまうようだ。

なので、「仕事が一段落したら、今日こそは完成してないパズルの続きをやって、スキンケアもちゃんとして、noteも今日こそ、今日こそは…」とか考えながら、夜には真っ白に燃え尽きていることがほとんど。

文字通り“いっぱいいっぱい”である。

そのはち切れんばかりに詰まった思考回路の中に、「この不安と不甲斐なさと、手探りな状況を乗り越えられたら、どんな景色が見えるんだろう」という淡い期待も、ほんの少しだけど居てくれている。


とはいえ、新しい仕事は失敗の連続。
正解はないとはいえ、その瞬間の最適解でもないものを生み出しまくり、「あれもこれも違う」で、スタートラインに立つのも難しい日々。

経験ゼロの初心者で飛び込んだ割には、なんとかしがみついている…はず…と思うが、どうしても達成できたことより、上手くいかなかったことが記憶に残り、積み重なって気持ちに影を落とす。

そもそも、始めたばかりで急に上手くいくことの方が珍しいのだ。でも「次こそはもしかしたら…」という期待を抱いてしまうから、ダメだった時に当たり前にへこむ。

“自分なりに考えて、良いと思ったものが全く通用しなかった”というショックにまず打たれ、加えて「え、私全然考え至らずじゃん。孫をでろでろに甘やかすじいちゃんばあちゃんもびっくりなくらい、はちゃめちゃに甘ちゃんだな。」と、自分の浅はかさに打ちのめされる2段階ダメージ。

上手くいかないってことは、それだけ気付けることも多いし学びになる。だが大変残念なことに、すぐ切り替えて無駄なくスマートに学べるほど、私はできた人間ではないし、大人でもない。

その結果、ファーストリアクションは「うわーっ!!!!!ダメだったーっ!!!!!キツいーっ!!!!!フォーーーーーっ!!!!!」一択だ。ここ最近は、壊れたおもちゃのように、毎日そのリアクションを繰り出し続けてる。そろそろネジが飛んで分裂しそう。

(確かに、プロから見たら笑ってしまいそうなアイデアばかりかもしれない。でも、足りない頭で真剣に考えた。一旦、きちんとショックを受けたい。アイデアは出した瞬間から、この世に生を受けるんです、我が子なんです。人と同じで、産みの苦しみの大小は問題ではないんです!!うわーん!!)と、一通り頭の中で言い訳を並べてから、順番にダメージを受け入れる。私へのダメージぶち込み列はこちらです、前に詰めてお並びください。

とにかく、核心を掴めず軸がブレブレのままで、一から合格ラインに達するものを生みだすという作業の大変さは、想像以上だった。


ふと、吐くほどしんどかった記憶のある、前職に入社して1年目の頃の自分を思い出す。

叱られ、叱られ、叱られ、珍しく褒められ、かと思ったらまた叱られ…よくもまあ、8時間という就業時間内と限られた業務内容で、ここまで失敗重ねられるなってくらい、端から端までやらかして、叱られまくってた記憶ばかり。先輩方には大変、大変お世話になった。

来る日も来る日も、叱られ祭り。
でも何故か“思い出したくない過去”ではない。
むしろ「あの経験ができてよかったな〜」なんて懐かしく、そして愛おしく思う。


1年目の私は毎日、目の前のことをこなすので手一杯で、同期は出来ている簡単なことにすら躓いてるのが情けなくて、そのくせ生意気な面があるから、先輩にバックヤードに連れられてお説教をくらいながら惨めになって、しょんぼりしながら帰っていた。

「今日もダメだった」って気持ちを、ずるずる引きずって家に帰った時。バカでかいGブリが部屋の壁にいて、精神的にも肉体的にもトドメすぎて、大泣きしながら退治したこともあったな…笑

一年目の気持ちを比率で表すとしたら、2:8くらいで2が楽しかったこと、8がしんどかったことな感覚だ。それに、ようやく一歩進んだと思ったら、五歩下がるくらいの日もよくあった。

それでも懲りずに続けていたら、気付かぬうちに前進していたと感じる瞬間が、必ず訪れた。

これは何年続けても、例外なく訪れ続けた。

例えばスランプに陥ったとして。何ヶ月も突破口が見つけられなくて、しんどくて、もう辞めます!って言葉が喉元まで出かかってるような状態でも、

「選んでくれてありがとう!」
「また会いにくるね」
「お姉さんでよかった」

たった一言だ。面白いことにたった一言で、180度さっきまでの考えがひっくり返ってしまう。働く中で、こんなに面白い瞬間が他にあるだろうか。

そうだ、この瞬間のためにやってたんだっけ。
このたった一言のために頑張ってるんだった。


人間って忘れてしまう生き物だから、その時の気持ちを真空パックしておくことって難しい。でも、思い出せないだけで、続けていれば必ずその気持ちはよみがえる。

明日の自分の成功イメージすら全く浮かばないし、何をするにも「これで本当に大丈夫か…?」って不安に駆られてしまう。けど、大の大人が、嬉しくて人目もはばからず泣いてしまうくらいの経験を、またしたい。


失敗は財産なんていうけど、ほんとにその通りだ。もし、社会人一年目の私がポンコツじゃなくて、挫折を一度も味わわずに、エリート街道を順調に走れるような人だったら。ありとあらゆる失敗を、フルコンプリートしていなかったとしたら。

失敗の感覚を、あの冷や汗が流れる程の恐怖と危機感を、一度も経験しないまま進むのは“失敗ばかりするより怖い”ことだと、私は思う。

失敗を知らない人は、それを乗り越える術を知らないし、壁にぶつかった人の苦労も分からない。だから、失敗し尽くした人間だけが、その怖さを知っている人間だけが、また他の誰かに正しく伝え、繋いでいくことができるのかもしれない。

この世の敏腕指導者たちはきっと、誇り高き失敗のエキスパートだった過去があるのだ。

だから、続ける。
みんなと同じペースじゃなくてもいいし、笑えるほど上手くいかなくてもいい。(編集さんには本当に申し訳ないけど)昨日より今日よかったなと思えることと、失敗したこと、両方ちゃんと連れていこう。

失敗から学んで私を成長させられるのは、当然私だけだが、毎日細かなところまで私を見て褒めてあげられるのもまた、365日24時間体制で私を生きている、私だけなのだ。

よし、切り替えるぞ。たぶんそのうちまた忘れてへこむけど、そんとき思い出せばいい。悩み続けるには人生は短いし、打ちのめされてる間に死んだら困る。


だから今日も、昨日より0.02%くらいは前進できてることを願って。誇り高き失敗のエキスパートとして、失敗と共に進む。

サポートしていただけると、切れ痔に負けず文字書きがんばれます。