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ピエール・エルメのCake au citronの作り方

ヨーロッパでのロックダウン中、ピエール・エルメが公開してくれたCake au citronのレシピです。これまでに自分で作ったパウンドケーキの中で、圧倒的に一番美味しくできて、本当に感動でした。それから何度も作っています。
ピエール・エルメはロックダウン中にいくつもレシピを公開してくれていて、材料4つのガトーショコラは日本のSNSでも話題になっていました。Cake au citronは、ガトーショコラと違って工程が長くて少し見慣れない材料が出てきますが、作ってみると意外と簡単で、何より本当に美味しくできます。

Cake au citronの材料

レシピの中に出てくる材料について少し説明します。

まずはクレムフレッシュ(レシピではCrème épaisse)。フランスやベルギーでは料理に良く使われているクレムフレッシュですが、日本ではあまり馴染みが無いかもしれません。クレムフレッシュは直訳すると生クリームですが、日本で言う生クリームとは違い、固くてほんのり酸っぱいです。テクスチャーとしては、クロテットクリームより少し緩いような…。味は、クロテットクリームより酸っぱいけど、サワークリームほど酸っぱくない。そんな感じです。
フランス語ではCrème fraîche épaisseや、Crème épaisseです。また単にCrème fraîcheと書かれていても、この酸っぱい濃厚なクリームを指すようです。液状の生クリームはCrème fraîche liquideか、Crème fraîche fleuretteと書かれています。

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Isigny sainte-mèreのクレムフレッシュ。バターの代わりにパンに塗っても美味しいです。他にもサーモンのサンドイッチ、スープ、魚のソース、ブランケットドゥヴォー(仔牛のクリームシチュー)など、色々使えます。日本では入手が難しいかもしれません。代用品を調べてみたところ、サワークリームと生クリームを2:1~3:1で混ぜると近い味になると書いている方が居ました。

次に、アグリコールラム(Rhum agricole)。サトウキビのジュースを発酵させて作ったラムで、フランスの海外県でよく作られています。世界のラムの8割以上は糖蜜(モラセス)から作るトラディショナルラム(インダストリアルラム)で、アグリコールラムは世界のラム製造量の3%程度だそうです。

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Saint Jamesのアグリコールラム。ピエール・エルメのレシピではホワイトラムを使っていますが、家にあったのがアンバーだったので今回はこちらを使いました。

最後に自家製のレモンコンフィ(Citron confit maison)。ピエール・エルメはオレンジのコンフィのレシピも公開していて、全く同じ作り方でレモンのコンフィを作るように、とのことです。しかし作るのに2日かかるので、今回は割愛します。市販のレモンピールで代用しても良いと思います。

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ピエール・エルメの動画内に登場するレモンコンフィ。バニラビーンズがいっぱいでとっても美味しそうです。余力があれば作った方が絶対美味しいですね。

Cake au citronの作り方

以下のレシピはピエール・エルメのインスタグラムに掲載されているフランス語レシピと動画を私なりに日本語で表現したものなので、細部が異なるかもしれません。正しいレシピが知りたい方は Maison Pierre Hermé Parisのインスタグラム(@pierrehermeofficial)をご覧ください。ご本人がデモンストレーションしながら解説している動画もあるので、見ると分かりやすいです。

Ingrédients /材料( 19×9×6.5の型 1.5個分?)
<ケーキ生地>
375g de farine à pâtisserie
薄力粉…375g
3/4 de cuillerée à café de levure chimique
ベーキングパウダー…小さじ3/4
Le zeste de 3 gros citrons prélevés au zesteur Microplane
Le zesteur Microplane(※)で削ったレモンの皮…大きいレモン3個分
400g de sucre semoule
グラニュー糖…400g
300g d'œufs soit environs 6 œufs moyens à température ambiante 
室温にした卵…300g(Mサイズ卵6個分)
190g de crème épaisse
クレムフレッシュ…190g
30g de rhum blanc agricole
アグリコールホワイトラム…30g
1g de fleur de sel 
フルール・ド・セル(大粒の塩)…1g
135g de beurre doux, fondu et refroidi
溶かして冷ました発酵無塩バター…135g
150g de citron confit maison coupé en cube de 6/8mm
自家製のレモンコンフィ 6~8㎜の角切りにしたもの…150g

<シロップ>
50g d'eau
水…50g
50g de sucre semoule
グラニュー糖…50g
Le zeste d'un citron preleve au zesteur Microplane
Le zesteur Microplaneで削ったレモンの皮…1個分
50g de jus du citron
レモン汁…50g

※Le zesteur Microplaneは下の写真にあるレモン皮を削る道具の事です。私は持っていないので、目の細かいスライサーで削っています。

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@pierrehermeofficialの動画より。エルメ氏がレモンの皮を削っています。

1. オーブンを180℃にする。型にバター(分量外)を塗り、小麦粉(分量外)をはたく。小麦粉とベーキングパウダーを合わせてふるっておく。レモンの皮を削る。

これより先、写真は左エルメ氏のデモ動画より、右は私の実践です。

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エルメ氏は大きめの型(21×9×6.5?)2つ、私はレシピの1/3量でミニパウンド型(13×6×4)2つを用意。底だけクッキングシートを敷くと剥がれやすくてオススメです。

2. 削ったレモンの皮と砂糖を大きなボウルに入れ、指で良くもむように混ぜる。砂糖がしっとりしてぽろぽろした状態になり、レモンの良い香りがしてくるまで。

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すごく大事な工程なので、絶対に行ってください。レモンの香りの強さが全然異なります。揉んでいるとどんどんレモンの良い香りがしてきます。

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3. 卵を加え、泡だて器かハンドミキサーで良く混ぜる。もったりとして、生地の色が白っぽくなるまで混ぜる。

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エルメ氏はBodumのハンドミキサー使用。泡立て器の場合は気合で頑張ります。湯煎で人肌より少し高いくらいまで温めると泡立てやすくなります。

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汗だくで頑張りましたが、やはりハンドミキサーでのもったり感には少し届きません…。この程度撹拌できていればケーキは問題無く膨らみます。

4. クレムフレッシュ、アグリコールラム、塩を加え、均一になるように良く混ぜる。

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5. 溶かして冷ましておいた無塩バターを加え、生地が滑らかになるまでさらに良く混ぜる。

6. 大きめのスパチュラで下から生地を持ち上げるようにして混ぜながら、ふるった小麦粉とベーキングパウダーを2回に分けて加える。

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文字のレシピでは小麦粉→バターの順番になっていますが、動画を確認した所、エルメ氏はバター→小麦粉の順で入れていました。エルメ氏のようにバターを先に入れた方が卵の大きな気泡が消えて生地がより滑らかになるのでは?と思ったので、バター→小麦粉の順を採用しました。

7. レモンコンフィを入れる場合:型の半分ほどまで生地を注いだら、角切りにしたレモンコンフィをちらす。型の3/4の高さになるまで生地を重ねる。

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私はレモンコンフィ無しで作っています。エルメ氏の生地の方が随分黄色っぽいのは、削ったレモンの皮の状態の違いが原因かと思われます。もう少し皮の繊維が潰れるように削れば、レモンの色素が生地に溶出して黄色い生地になるかもしれません。

8. 180℃のオーブンで55~65分焼く。中心が割れて、黄金色になるまで。50分を過ぎたあたりで小さいナイフをケーキの中心に差し、内部が焼けているかを確認すると良い。ナイフが湿らず、ケーキクラムも付かないようであればOK。内部が焼ける前に表面が焦げそうなら、途中からアルミホイルをかぶせる。

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エルメ氏は50分、私は使った型が小さいので30分焼いて取り出しました。中心にナイフを刺します。

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このようにナイフが湿っていたらまだ焼き足りないとのこと。5分追加で焼きます。

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画像だと分かりづらいですが、ナイフの湿り気は無し。焼き色もばっちりなので、これで焼き上がりです。
私のミニパウンド型では合計35分焼きました。

9. シロップを作る。小鍋に水、砂糖、削ったレモンの皮、レモン汁を入れ、沸騰させる。

ここの部分も文字のレシピと動画内では少し方法が異なったので、エルメ氏の動画の方法を採用。

10. オーブンから取り出し、型から外したケーキの表面にレモンシロップを塗る。ケーキが温かいうちに行う。

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 側面も忘れずにたっぷりシロップを塗ります。2~3回重ねて塗ります。

11. 完全に冷ましたらできあがり。乾燥しないように密閉して保存する。

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美味しそうにできました。

この後、エルメ氏は煮詰めたレモンマーマレードでアイシングをして、レモンコンフィをトッピングしています。オプションとのことなので、私は毎回レモンシロップを塗って完成としています。

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できあがり

生地はしっとりきめ細かく、レモンの香りが最高です。今回も安定の美味しさです。

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ラップして室温で一週間保存できるとのことです。

素敵なレシピをありがとうございました!

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