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牛肉のビール煮 カルボナード・フラマンド(La Carbonade Flamande)

カルボナード・フラマンド(La Carbonade Flamande)は、牛肉をビールで長時間煮込んだ代表的なベルギー料理です。水は入れずにビールだけで煮込むので、どんなビールを使うかで味が全く異なるのが面白い料理です。ベルギーのブラッスリーではだいたいどこでも食べられるので、食べ比べてみるのも面白いですね。

時間はかかりますが、ビールの種類、お肉の部位、煮込み時間のポイントさえ押さえれば家でも美味しいカルボナードを作ることができます。

カルボナードを作るときのポイント

カルボナードの味はとにかくビールにかかっています。色が濃く、香りが華やかで甘みのあるエールビールを使いましょう。エールビールの中でも、ブラウン(brune)やアンバー(ambrée)が良いと思います。私が好きなのはLeffeのbrune。かなり甘味が強いビールで、フルーティで濃厚な味のカルボナードになります。今回はいつもと違うビールで作ったみたかったのでChimayのbruneを選びました。Leffeよりも甘さ控えめでさっぱりしています。

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今回使ったChimayのbrune、1本(330ml)だいたい1.5ユーロです。

お肉は牛スネ肉などコラーゲンの多い部位を使います。骨は有っても無くても良いですが、骨付きで作るとかなり脂っぽくこってりするので、私はカルボナードには骨無しを使います。

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近所のお肉屋さんで買ってきたJarret de bœuf (牛スネ肉)800g。骨無しです。

煮込み時間は、少なくとも2時間半以上は必ず煮込みます。経験上、2時間だとまだまだお肉が固いですが、2時間半を過ぎたあたりから一気に柔らかくなってきます。私はいつも3時間は煮込みます。

カルボナードの材料

ビールとお肉については上に書いた通りですが、日本では馴染みのない材料が2つあるので説明します。

1つ目はラルドン(lardons)。以前投稿した”ホタテのソテー、チコリとラルドンのクリームソース”でも説明しましたが、豚バラ肉の加工肉を拍子切りにしたもので、フランスやベルギーの家庭料理に良く登場します。

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2つ目はパンデピス(pain d'épices)。スパイスの香りが強く、甘くて油分の無いケーキです。カルボナードにはとろみと甘さをつけるために加えます。パンデピスが手に入らない場合は 牛肉にまぶす小麦粉をたっぷりめにする はちみつを大さじ1程度加える シナモン、ナツメグ、アニス、クローブ等のスパイスを少々加える ことで近い味になると思います。

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ベルギーのスーパーマーケット、Delhaizeで買ったパンデピス。

カルボナード・フラマンドの作り方

このレシピはフランスのクックパッドのようなレシピサイト "Marmiton" で見つけたレシピを参考にしています。

材料(4人分)
牛スネ肉 800g
たまねぎ 400g
セロリ 1本(入れなくても良い)
ラルドン 100g
エールビール(BruneかAmbrée) 330ml×2本
パンデピス 4切れ
バター 25g
マスタード 大さじ2
ブーケガルニ(ローリエ、タイム、パセリ) 1束
小麦粉 適量
塩 適量

胡椒
パセリ

1. 牛肉を適当な大きさにカットする。

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煮込むと縮むので大きめです。適当ですが、この時は5×5×2くらいでしょうか。

2. 深めのフライパン(または鍋)にバターを溶かし、たまねぎとセロリを炒める。

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私はZWILLINGの深めフライパン(24cm)を煮込み料理にも使っています。

3. 全体に油が回ってしんなりしたら、ラルドンを加え更に炒める。

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4. ラルドンに火が通って色が変わったら、フライパンの中身を一旦取り出して空にする。

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5. 空になったフライパンに少し油を足し、小麦粉をまぶした牛肉の表面に焼き色をつける。

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全ての面に焼き色をつけます。

6. 肉に焼き色が着いたら、炒めたたまねぎとラルドンをフライパンに戻し、ビールを加える。

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お肉が水面に出てしまうようなら、ビールか水を足して完全に被るようにしてください。水面に出ている部分は乾燥して固くなってしまいます。

7. 塩少々、ブーケガルニ、マスタードを塗ったパンデピスを加える。

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パンデピスです。1枚ずつマスタードを塗ります。

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こんな感じで並べます。不思議な見た目ですね。

8. 少しずらして蓋をして、弱火で3時間程度煮込む。焦げないように途中で様子を見ながら加熱する。(ブーケガルニは1~2時間で取り出す。)

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1時間煮込んで軽く撹拌したところです。パンデピスは溶けてなくなりました。ここでブーケガルニを取り出します。

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煮込み時間2時間半。カルボナードらしい見た目になってきました。味見をして塩を足します。ここからさらに煮詰まるので、美味しいけど少し薄いかな?くらいで止めておくと丁度良く仕上がります。

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3時間煮込みました。お肉に竹串か爪楊枝を刺して固さを確認します。抵抗なくスッと通ればOKです。スープ部分も良い具合に煮詰まっています。もしシャバシャバしすぎているようなら、蓋を取って火を強め、焦げないように撹拌しながら好みの固さまで煮詰めます。

カルボナードはこれで完成です。

付け合わせ

カルボナードの付け合わせといえばフリッツ(フライドポテト)です。ベルギーのブラッスリーでカルボナードを頼むと、山盛りのフリッツと一緒に出てきます。
お家で食べるときも勿論フリッツでも良いですが、カロリーが気になるので…我が家ではフリッツ風?のベイクドポテトを付け合わせにします。

1. じゃがいもを細長く切り、水から茹でる。竹串がスッと通るくらいの柔らかさになったら、ざるに空ける。(10分以上放置して表面を乾燥させると焼いた後にカリカリになりやすい)

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2. 茹でたじゃがいもを耐熱容器に入れ、オリーブオイルで和える。200℃のオーブンで30分程度焼く。途中で容器をゆすって混ぜ、焼き目が均一になるようにする。

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焼き時間はオーブンによって異なると思うので、様子を見ながら調節してください。美味しそうな見た目になればOKです。

できあがり

お皿に盛り付け、パセリを散らして胡椒をふってできあがりです。

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合わせる飲み物はもちろんベルギービールで!
お肉はしっとり柔らか、フルーティな甘じょっぱさがとっても美味しいです。今回のChimayのbruneで作ったカルボナードは、いつものLeffe bruneで作ったものより甘さ控えめでさっぱりした味でした。次は他のブランドのビールも試してみたいと思います。

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