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【天沼矛の謎】隕石説

天沼矛あめのぬぼこ
イザナギとイザナミが国生みの時に使った矛です。
その矛で出来たのがオノコロ島。

前回は 天沼矛あめのぬぼこ 海底火山説 を説明しました。
今回は 隕石説 です。
エンターテインメントとして楽しんでね。

前回の海底火山説 を知りたい人はコチラ。


天沼矛が登場する国生みの物語を知りたい人はコチラ。


【天沼矛】隕石説

天沼矛あめのぬぼこは「矛」なので金属が使われているハズです。
 # 鉄とか青銅とか

古代日本の製鉄は、砂鉄を木炭を燃料に溶かしていました。
溶けた金属って沼のようにドロドロしています。
だから、沼矛 という名前が付きました。


たしかに、古代日本では砂鉄を溶かして鉄を作っていましたが、古代日本人が初めて鉄を手にしたのは、「砂鉄を溶かして・・・」ではないと思います。
では、初めは、どうやって鉄を手に入れたのか……

それは 隕石から取れた鉄 です。
ちなみに、隕石から取れた鉄のことを 隕鉄いんてつ と言います。

おそらく、ある日、隕石が落ちてきて、その隕石から鉄が取れました。
「空から石が落ちてくる」なんて、古代日本人からしたら、メチャクチャ大きな出来事です。
現代でも大きなニュースになります。


しかも、鉄は、石を砕いたり木を切ったりなど、古代日本人の生活満足度を一気に上げます。
そりゃ、古代日本人たちは「天(神)からのプレゼントだ!」と喜びますよ。
 # 現代風だとQOLをあげる

ポルトガルの空に落ちた隕石


その隕鉄で矛を作ったのが 天沼矛あめのぬぼこ 。
 製鉄する時って、鉄を溶かして沼のようにドロドロになりますしね。


隕鉄を使って鉄を作り出していたのが、いつしか砂鉄から鉄を取る製鉄技術へと発展しました。

古代日本では、製鉄技術はハイテク技術です。
そのハイテク技術を使って作られた鉄は、とても貴重なものです。
そんな貴重な鉄で作った矛を持てるのは、権力者しかいません。
しかも「矛」は武器にもなり「武器」は力の象徴です。

そして、鉄は生活するのに非常に役に立つものです。
製鉄技術の発展は、国生みのように国を発展させる最初の大きな一歩になります。

それを古事記では、
「イザナギとイザナミが天沼矛を使って初めて島を作った」と表したのかもしれませんね。


ちなみに、日本書紀にほんしょき では、天沼矛「 天之瓊矛あめのぬぼこと表記されています。

瓊 とは のことで宝石のことを指します。
宝石が付いている矛だったとすると宝石を加工する技術もあったことになります。
もちろん、宝石加工技術も当時はハイテク技術。
 # 宝石自体も貴重なもの
 # 現代で貴重だよね

貴重な鉄をハイテク技術の「製鉄技術」で作った矛に、貴重な宝石をハイテク技術の「宝石加工技術」で加工したものを付けたのが、天沼矛あめのぬぼこ だとすると、イザナギとイザナミは、それほど偉大で重要な存在だったことが分かります。


そういえば、「沼」という漢字をよーく見てみると。
 # 前回も同じ様なことしたような…


沼 の漢字は、 から出来ています。

氵 は、水を意味する部首です。
一方、は「地位の高いものが低いものを呼び寄せる」という意味があります。

  が付くと みことのり
が付くと
他にも が付くと  とか。


みことのり は、「天皇の御言葉」の意味があり、上から下へ伝える言葉。その言葉を聞きに人が集まります。

招 は、「招く、招待する」などの意味があり、上から下へ人を招きます。そして、招かれた人は、その場所へ集まります。

は、上から下は光を照らし光に人が集まる。


そんな感じで「召」が付く漢字には、「上から下」「集まる」と言う意味を持っています。

では「沼」は?
沼には、「沼地、自然のどろ深い大きな池」という意味しかなく、「上から下」「集まる」と言う意味がありません。
(漢字辞典調べ)
「召」が付く漢字の中では仲間外れ感があります。


大丈夫。
沼も仲間外れではありません。

なんせ「沼」には、隕石や隕鉄の意味があります。
隕石は、天から落ちてきた石です。
その石から鉄が取れたら隕鉄。
そして、隕石が落ちた場所には人が集まります。

ほら。
沼にも、「上から下」「集まる」という意味がありました。

天沼矛も上から下に滴り落ちた海水が集まってオノコロ島を作りましね。


沼の「口」。
もしかしたら、この「口」って…………

隕石が落ちた場所(クレータ)を示しているのかもしれませんね。

クレータ

やはり、天沼矛あめのぬぼこ は隕石と関係がありそうですね。


まとめ

天沼矛って、古事記に最初に出てくるアイテムです。
そんな大事なものに意味がないハズはないと思い、いろいろ妄想し考えたら、海底火山説 と 隕石説 を思い付いたので紹介してみました。

エンターテインメントとして楽しんでもらえたら嬉しいです。


ちなみに「結局、お前はどっちの説押しなんや!」と言われると、どっちもです。
そもそも、海底火山説 と 隕石説 が合ってるかどうかはさておき、天沼矛には、どちらの意味も含まれていると思ってます。

だって、日本人は昔から 掛詞かけことが が好きです。
掛詞かけことがとは、同音異議を利用して1つの言葉に2つ以上の意味を持たせる言葉のこと。
 # 今だと「ダジャレ」とか「なぞかけ」
 # ねづっち最強

喜撰法師きせんほうしが歌った和歌


それに古事記って、古来からの伝承や神話をまとめた書物。
昔々には、海底火山で島が出来たり、隕石が落ちてきたりしたことだってあるでしょう。
文明も発達する前なので、鉄が手に入ったときは、メチャクチャ感動する出来事だと思います。

そんな出来事を長い年月伝承していく過程で 天沼矛あめのぬぼこ という言葉に集約されたんじゃないかなと思います。


そう思うと、古事記って
やはりスゴイ歴史書ですね。

【天沼矛】隕石説のロゴ


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